糖尿病の恐怖!絶対に見逃してはいけない初期症状
「こんな症状、知らなきゃ糖尿病かもなんて発想、無理じゃないですか」
今回は「糖尿病の意外過ぎる初期症状!」がテーマです。
意外すぎる糖尿病の危険サインTOP7をお届けします。
※このnoteでは、整形外科医:歌島大輔が医学的根拠をもとに、わかりやく、かつ実践的な医療健康情報をお届けします。
ときどき出てくる「ふんぞり男」とは、その名の通り、ふんぞり返って態度がデカい患者さんです。
意外すぎる‥‥糖尿病の初期症状サイン!
ふんぞり男「お前、また整形外科医のくせに内科の先生の領域を侵しやがって」
いきなりディスってきましたね。
ふんぞり男さんと言います。
今日もちょくちょく出てくると思いますが、悪い人ではないので温かい目で見守ってください。
で、本当そうなんです。
僕自身、糖尿病の治療をすることはほぼありません。
当然、糖尿病内科や代謝内科の先生がご専門で、おまかせしています。
しかし、一方で糖尿病って最初に気付くのが糖尿病内科を受診したときじゃないことって多々あるというか、
「あ、自分は糖尿病かも!」って気付いて、糖尿病内科を受診する患者さんって多くないんです。
ふんぞり男「は?なんでだ?糖尿病だと思ったら、糖尿病内科に行くだろうが」
一番、糖尿病だってわかりやすいのって何だと思います?
糖尿って名前の通り、尿の問題を考える人もいるかもしれませんが、多くの人が御存知の通り、血糖値ですよね。
血糖値が高い状態が続いてしまうことが一番なんですよね。
でも、それって気付きます?
糖尿病と今まで言われたことがない人が、自分の血糖値チェックのために採血とかしないじゃないですか。
多くの病気はそれ特有の症状があって、関係ありそうなクリニック・病院を受診すると診断に繋がるわけですが、糖尿病はそれが難しいです。
なにせ、無症状ってことだって少なくないわけです。
ただ一方で、振り返ってみると「ああ、あれがサインだったのか」っていうこともあるんですね。
ですから、糖尿病の危険サイン、症状について知ることはとっても大切なんです。
その結果、早く診断がついたら、重症化する前にコントロールできますから、糖尿病の様々な悪影響を減らすことができます。
まず最初に、糖尿病の意外すぎる危険サインじゃなくて、一般的によく知られている危険サインを列挙しますので、押さえておきましょう。
ふんぞり男「おいおいおい、こんなん結構俺当てはまるぞ!」
そうなんですよ。
これだけ見ても、そう感じる人は多いですよね。
もちろん、急にこのような症状が顕著になってきたら、ぜひ病院を受診してほしいです。
一方で多少のことなら、「最近疲れやすいなぁ」とか「イライラするなぁ」とか、誰もが心当たりを持ちやすい症状だったりします。
ですから、ここから2つのことが大切だとわかります。
1つは健康診断の重要性。
そして、もう1つは糖尿病の症状により詳しくなっておくことです。
では、「意外すぎる糖尿病の初期症状TOP7」を解説していきましょう!
第7位 頻繁な感染症
糖尿病の方は免疫力が低下したり、血の巡りが悪くなったりして、化膿したりする感染症を発症するリスクが高くなります。
これは結構有名な話なので、第7位にしましたが、めちゃくちゃ重要です。
血糖値が高く、細菌が繁殖しやすい環境を作り出し、免疫反応が弱くなることで、頻繁に感染症が起こる可能性があります。
そして、糖尿病で最もよく感染する部位のひとつが尿路です。
尿路とは、おしっこの通り道のことですね。
これを、尿路感染症と言いますが、このリスクが高くて、かつ、より重症化しやすいことが知られています(*1)。
免疫系のさまざまな障害、代謝のコントロール不良、自律神経障害によって膀胱が完全に空になりにくいことなどが関係していると言われています。
尿路感染症っていわれてもピンと来ないかもしれませんが、一般的には「膀胱炎」が多いと思います。
そして、そもそも感染症っていうのが幅広いので難しいんですが、要は細菌やウイルス・真菌などに感染してしまうものを言っています。
通常は身体の免疫力でそういう外からの攻撃をブロック、退治してくれるわけですが、免疫力が落ちていたり、細菌やウイルスが強力だった場合に感染してしまうわけですね。
本当に多岐に渡っていて、風邪だって感染ですし、重症化して肺炎も感染です。
われわれ整形外科領域でも、手術後に傷が化膿してしまうこともあれば、皮下脂肪や筋肉に膿が溜まってしまうこともあるんです。
本当に何でもありなのが感染なので、注意したいですね。
第6位 視覚の変化
こちらも糖尿病に関連する病気としては有名なので6位にしましたが、必ず知っておくべきものになると思います。
眼の問題ですね。
よくある病名としては、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、白内障、緑内障などがあります(*2)。
実際は、短期的には、高血糖によって視力が低下することは考えにくいですが、最初は目の組織に腫れが生じたりすることがあります。
その結果、眼の働きとして、焦点を合わせるのに役立つ組織が腫れ、目のかすみを引き起こします。
そして、血糖値が高い状態が長く続くと、目の奥にある細い血管が傷つくことがあります。
この損傷は、糖尿病と診断されるほどではないけど、血糖値が通常より高い、いわゆる「糖尿病予備軍」から始まる可能性があります。
その結果、新しい異常な弱い血管が成長し始めることもあります。
これらの血管は、
・目の中央部に出血したり
・傷跡を残したり
・目の中の圧力が危険なほど高くなったり
することがあります。
そのため、眼の異常、視力や視野の異常を感じたら、もちろん眼科を受診するわけですが、
糖尿病の可能性についても相談してみてもいいかもしれませんね。
第5位 子どものおねしょ
糖尿病というと、中高年以上のメタボリックシンドローム、生活習慣病の1つのイメージが強いと思いますが、その多くは「2型糖尿病」です。
2型があるということは、1型もあるってことなんですが、1型は子どもの頃に発症することが多いです。
ただ、ペットボトル症候群が問題になったように2型でも子どもの発症が増えてきているようです。
お子様の場合、すでにトイレトレーニングが済んでいて、夜間もおねしょすることなく眠れるようになったお子さんが、週に2、3回おねしょをするようになることがあります。
このような状況は「夜尿症」と呼ばれ、糖尿病などが背景にある可能性を考えないといけません。
お子様の1型糖尿病の症状の発現は突然であり、発見が遅れると緊急事態に発展する可能性があるため、注意すべき重要な症状と言われています。
この夜尿症を含め、おしっこの量が増えると、通常、喉の渇きや空腹感の増加、体重減少が同時に起こっていたりします。
お子様がいらっしゃる方は注意してあげてください。
第4位 歯周病
いよいよ歯医者さんの領域にまで及んできました。
歯周病はご存じと思いますが、歯茎が歯から引き離され、歯が緩んだり抜けたりする原因になりますよね。
ですから、歯医者さんにいくと、しっかりと歯茎のチェックをしてくれることが多いと思います。
この歯周病は、実は糖尿病がある人はない人に比べて2〜3倍多く見られることが知られています。
この歯周病は、糖尿病患者さんの方が多いだけでなく、進行が早く重症化しやすいと言われています(*3)。
さらに、糖尿病が歯周病を悪化させる一方で、歯周病は糖尿病の特徴である高血糖の危険因子となりうるという、双方向の関係にあるようです。
実際、歯周病があると、過去の平均血糖値を示すヘモグロビンA1C値の上昇と関連することもわかっています。
だいぶ、意外な症状になってきましたね。
第3位 皮膚の変化
糖尿病の大きな合併症として「糖尿病性壊疽」というものがあります。
足にいく血管が傷んでしまって、血が巡らず、末梢神経の問題もあいまって、引き起こされる症状です。
言い方が嫌いですが、俗に言う「足先が腐ってしまう」という状態です。
これは最終的には足の切断が必要になってしまうこともあり、私もそういう手術を何回もしてきました。
整形外科医は糖尿病の怖さを何度も目の当たりにしているんです。
だからこそ、今回のお話とかは大切だなと思って一生懸命お話ししているんです。
しかし、この第3位の皮膚の変化はもっと意外な変化です。
皮膚科の先生や糖尿病内科の先生は当然ご存じですが、一般的には知らない人も多いかなというものですね。
まずは、黒色表皮腫です。
これは、首の後ろ、腋窩(腕と肩がつながっている部分)、鼠径部などの皮膚のしわやひだによくできる、ビロードのような、暗く、ときに厚い皮膚上の斑点です。
もしよければ、その病名で検索してみていただくと、その皮膚の写真が出てきますので、ご覧ください。
この黒色表皮腫は、インスリンが増えると起こりやすくなるため、糖尿病の前兆として気をつけたいサインだと言われています。
さらに糖尿病の危険サインとなる可能性のあるものとして、2つご紹介します。
1つは、手の甲が最も多く、他に額、足、指にできることがあって、皮膚が厚くなり、皮膚が硬く感じられるようになる状態です。
これが糖尿病による変化だった場合は「糖尿病性皮膚硬化症」という病名になります。
もう1つは火傷の水ぶくれに似ているけど、痛くない、そんな状態です。
指、手、足の指、足、時には前腕にできて、数週間で治るのですが、糖尿病が原因の場合は「糖尿病性浮腫性硬化症」という病名になります。
僕も含め、専門外の人間が皮膚の異常を診断するのは難しいです。
当然、皮膚科の先生にご相談いただくことになりますが、そのときに糖尿病のサインの可能性を聞いてみてもいいかもしれませんね。
第2位 聴覚の変化
これまでもだいぶ意外な症状が来ましたよね。
おそらく最初に相談されるとしたら、眼科とか小児科、歯科、皮膚科と多岐に渡るような症状でしたね。
そして、第2位は耳鼻科ですね。
高血糖の状態が長く続くと、耳の奥、内耳と呼ばれる部位の細い血管や神経が損傷することがあります。
事実、糖尿病の人は、そうでない同年齢の人に比べて、難聴が2倍も多くみられます(*4)。
その前段階、糖尿病予備軍の人でさえ、血糖値が正常な人に比べて難聴の割合が30%高いことも知られています。
ふんぞり男 「難聴って言っても、軽い難聴だったら気付かないんじゃないか?」
お、久しぶりに登場のふんぞり男さん、素晴らしいご指摘です。
ですから、アメリカの疾病対策医療センター・CDCが公開している糖尿病による難聴のページの難聴のサインの部分を引用しますね。
ご自身でチェックしてみてください。
これらの中に当てはまることがあれば、耳鼻科の先生に相談してみていただければと思います。
第1位 五十肩
ふんぞり男「うわ、お前、1位で自分の土俵にムリヤリ持ってきたな!」
いやいや、そういうことではないんです。
あ、ちょっとあるかな。
でも、めちゃくちゃ意外じゃないですか?
五十肩が糖尿病のサインとか言われても。
ホント?って思うじゃないですか。
でも、結五十肩の患者さんを多く拝見していると、その関係性の深さは確かに強いなぁと思うんです。
例えばこの論文(*5)では、血糖値のコントロール状況を示す値である、HbA1cが7以上の期間が長いと糖尿病リスクが高いことが示されています。
また、何より五十肩が重症化しやすいのが糖尿病です。
僕の場合は五十肩に対しても重症な場合は肩関節鏡手術をするんですが、その手術の前に必ず採血をします。
そこで血糖値やHbA1cをチェックするんですが、そこで初めて糖尿病が見つかるなんてケースが、年に数人いらっしゃるんですよね。
ですから、本当に五十肩で見つかる糖尿病という患者さんを毎年のように拝見しているので、1位にさせていただきました。
ちなみに五十肩についてはこちらの動画をご覧ください。
いかがでしたでしょうか・・結構意外すぎじゃなかったですか?
こんな症状、知らなきゃ糖尿病かもなんて発想、無理じゃないですか。
だからこそ、知識は武器でもあり防具なんですよね。
そのあなたの知識武装に貢献できたら嬉しく思います。
本日の一言
糖尿病の危険サインはいろんな診療科にまたがっています。
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参考論文
(*1)Nitzan, Orna et al. targets and therapy 2015. Urinary tract infections in patients with type 2 diabetes mellitus: review of prevalence, diagnosis, and management.” Diabetes, metabolic syndrome and obesity
(*2)National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Diabetic eye disease.
(*3)Teeuw WJ, Kosho MXF, Poland DCW, et alPeriodontitis as a possible early sign of diabetes mellitusBMJ Open Diabetes Research and Care 2017
(*4)Centers for Disease Control and Prevention. Diabetes and hearing loss.
(*5)Justin H Chan et al. J Shoulder Elbow Surg. 2017 The relationship between the incidence of adhesive capsulitis and hemoglobin A1c
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