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【痛み止め】恐怖の副作用TOP10【最悪手術!?鎮痛剤】
「これ実際にあったんですよ。痛み止めを使い続けたせいで手術になった患者さん。その患者さんは‥‥」
今回の内容は鎮痛剤(痛み止め)のメリット・デメリットがテーマです。
「鎮痛剤(痛み止め)の恐怖の副作用TOP10【専門医解説】」をお届けします。
痛み止めの正しい使用方法をわかっていますか?
整形外科の外来を長年していると、次のような患者さんのお悩みを非常に良く聞きます。
あなたはいかがでしょうか。
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このような感じで、様々な悩みを相談されます。
今日はこれらのお悩みに回答しながら、痛み止めの副作用として怖い内容をTOP10形式でご紹介します。
怖い順番の基準は、完全に独断と偏見です。
しかし、副作用の確率の高さと、起こったときの重篤度の2つから総合的に判断しました。
紹介する前に、お伝えしたいことがあります。
これから10個も怖い副作用をお伝えしますが、
「痛み止めは飲むな!」と言いたいわけではありません。
なぜなら、僕も普段から痛み止めを処方しますからね。
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ふんぞり男「はあ、どっちなんだよ、お前は!」
このように混乱させてしまってはいけませんので、最初にお伝えしておきたいのです。
副作用のリスクを負ってでも、痛み止めが必要なタイミングって、実は少なくないのです。
僕の外来はおもに「肩関節」の症状を拝見します。
肩が痛くなる症状のなかで特に多いのが、夜間痛で眠れない患者さんです。この眠れない患者さんに対して
「痛み止めは副作用があるんだから、我慢しなさい!」
というのは、拷問だと思いませんか?
感情論だけではなく、眠れないと体調も崩れますし、精神的にも大きなマイナス要素です。
結果として、根本的な治療も進まないことにもなり得るため
「むしろ、痛み止めを飲んでできるだけ寝ましょう」
ということも多いです。
これはほんの一例です。
しかし、痛み止めの意味付けをちゃんとして、そのうえで注意すべき副作用も把握しておけば、多くのケースで過度に怖がる必要はありません。
そこら辺の説明は、僕も含め医師が不足しがちなことです。
そのため、僕ら医師が頑張らないといけないのですが、患者さんもぜひ学んでいっていただければ嬉しいです。
それでは、鎮痛剤の恐怖の副作用TOP10を紹介します。
第10位 体重増加
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ふんぞり男「は?痛み止めで太るのか?」
そうなんですよ。
『リリカ』や『タリージェ』という商品名で有名な
「神経障害性疼痛治療薬」の一部にそのような副作用があるんです。
リリカの添付文書を見ると
長期的な使用で13.5%から28.2%の人に体重増加があったとされています。
なかなかの確率ですよね。
神経障害性疼痛治療薬を長期に使用する必要がある場合は、食生活や運動などの対策が必要になる人もいるかもしれません。
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ふんぞり男「いやいや、痛みでそんなこと考えられねぇだろうが」
はい、そういう方もおられると思うので、副作用次第では別の薬を試したり、どうしようもなければ、手術に至る人もいるわけですね。
さらに、体重増加の原因が浮腫と呼ばれる、手足のむくみにあることもあるので、そこも注意してください。
体重増加も悩ましいですが、この神経障害性疼痛治療薬で特に注意したいのが次の副作用です。
第9位 ふらつき
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「ふらつき」は、経験的にも比較的高齢の女性で多い副作用になります。
そして、この副作用で避けたいのが、転倒による骨折です。
さらに「ふらつき」からの転倒は、骨折だけでなく頭を打ってしまうと、もっと怖い事態になることもあるため、注意が必要です。
「ふらつき」というのも抽象的な表現になりますが、副作用報告ではめまいとか、眠気などと表現されることも多く、こちらも転倒の原因になり得るため気をつけてください。
この副作用を避けるためにも、神経障害性疼痛治療薬を使うときは、少ない量から少しずつ増やしていくことが推奨されています。
ですから、『リリカ』、『プレガバリン』、『タリージェ』などの薬が出されるときは、投与量についても確認すると良いでしょう。
第8位 吐き気・便秘
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吐き気・便秘は、いろいろな薬で起こりうる副作用です。
特に「非麻薬性オピオイド」と呼ばれる『トラマドール』などで頻度が高く起こります。
この非麻薬性オピオイドをざっくり説明すると
「麻薬に近い、強めの痛み止め」です。
商品名でいうと『トラムセット』というアセトアミノフェンとの合剤や
『トラマール』『ワントラム』『ツートラム』などの薬がよく出ます。
これらの吐き気や便秘は、ちょっと副作用が出たらやめないといけない類いのものではありません。
軽い症状なら、吐き気止めや便秘薬を使ってコントロールすることもあります。
コントロールしていると、徐々に副作用が気にならなくなる人もいます。
ですから、非麻薬性オピオイドの薬も、少量から少しずつ増やすことが必要です。
軽い副作用も含めると、かなりの頻度で起こるので、最初から吐き気止めを処方することもあります。
第7位 アレルギー
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アレルギーこそ、あらゆる薬で起こりえる副作用です。
食べ物でも起こりますし、金属アレルギーのように、触れただけでも起こる場合もあります。
強いアレルギー反応や、アナフィラキシーショックなどは、命に関わることもあるほど怖い副作用です。
そのため、われわれ医師や看護師は、過去に起こった「薬のアレルギー」を伺います。
アレルギー反応と言っても、様々な症状があります。
一番わかりやすいのは皮膚が赤くなったり、かゆくなることですね。
そして、アレルギーのなかで怖いのが、血圧が下がることです。
血圧が下がるのに伴い、気分が悪くなり、意識が遠のくこともあります。
そのような経験がある薬は、必ずご自身でも把握しておきましょう。
第6位 肝臓の病気
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飲み薬の多くは胃腸で消化吸収されて、肝臓で代謝され、薬としての効果を発揮します。
ということは、常に肝臓にも負担がかかるってことでもあります。
ですから、あらゆる薬で肝臓は注意が必要なんです。
特に注意が必要なのがアセトアミノフェンです。
カロナールなどで有名ですね。
もともと、アセトアミノフェンは痛み止め、鎮痛剤の中でも相当に副作用が少なく安全性が高い薬として知られています。
とはいえ、こちらの論文(*1)を拝見すると、欧米諸国では薬剤性急性肝不全の最も多い原因となっているようです。
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アセトアミノフェンといえど、投与量を多めに飲んだり、長期的に飲む必要があるときは採血などで肝臓機能をチェックすることも考えたいですね。
第5位 喘息(ぜんそく)発作
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喘息(ぜんそく)発作は、非ステロイド系消炎鎮痛剤で特に注意しないといけないことです。
喘息の中でもアスピリン喘息と呼ばれるタイプで、実際はアスピリンだけでなく、ロキソニンやボルタレンなど非ステロイド系消炎鎮痛剤全般で起こりうると言われています。
ただし、こちらの論文(*2)によると、セレコックスなど選択的COX-2阻害薬は、重篤なアスピリン喘息でなければ、ほぼ安全と考えられています。
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この鎮痛剤による喘息発作は、こちらの論文(*3)では次のような報告があります。
小児喘息では少なくて
成人発症の喘息患者さんの約10%
重症成人喘息患者さんの30%以上
副鼻腔炎を有する喘息患者さんの50%以上
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喘息をお持ちの人で、はじめてロキソニンやボルタレンなどの非ステロイド系消炎鎮痛剤を飲む人は注意が必要です。
そして、過去に痛み止めを飲んだあとに発作が起こった経験がある人は、その薬をしっかりと把握して、今後避けていく必要があります。
第4位 大量出血
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ふんぞり男「え?大量出血ってヤバすぎだろ、もう飲まん!」
‥‥ってなりますよね。
もちろん、そんなことが頻繁に起こるなら、そんな薬は飲んではいけません。
ですから、非常に稀な合併症です。
出血する部位や原因によって、話が変わってきます。
特にお伝えしたいのは、どこでも出血しやすくなる「出血傾向」という合併症です。
注意が必要なのは「ワーファリン」という血液をサラサラにする薬を飲んでいる人になります。
血栓があったり、血栓ができるリスクの高い人が飲む薬ですね。
このワーファリンは人により適した量が決まっています。
それを血液検査の結果を参考に調整が必要です。
血液検査の中に「PT-INR(プロトロンビン時間 国際標準比)」という項目があります。
患者さんの状態にもよりますが、おおよそ1.5-2.5くらいの間におさまるように調節することが多いです。
しかし、ワーファリンを飲む量が多いと、この数値が高くなり「出血しやすい」「血液が止まりにくい」という状態になります。
わかりやすい症状として、ちょっとしたことでアザができるようになったりします。
それだけならまだしも、胃腸の出血では、気付かぬうちに大量出血となってしますこともあります。
とても怖いですよね。
さらに、ここまででてきた「アセトアミノフェン」「NSAIDs」「トラマドール」など多くの鎮痛剤を『ワーファリン』と一緒に飲むと、飲み合わせの問題でPT-INRの値が高くなってしまうことがあるんです。
もちろん、ワーファリンを飲んでいる人全員がそうなるわけではありませんし、実際に併用禁忌にもなっていません。
しかし、ワーファリンの効果が過剰になってしまう可能性を念頭に入れながら、鎮痛剤を使用する必要があります。
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なお、こちらの論文(*4)でも、ワーファリンと併用するときに注意な薬は多くあり、製薬会社であるエーザイさんがPDFファイルを公開していますのでご参照ください。
「Warfarin適正使用情報 エーザイ」
第3位 腎臓の病気
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これは有名ですね。腎臓の副作用です。
特にロキソニンなどの非ステロイド系消炎鎮痛剤で注意しないといけないです。
こちらの論文(*5)でレビューされていますが、腎臓には、急激に腎臓の機能が悪くなる「急性腎不全」という状態と、徐々に悪くなる「慢性腎不全」があります。
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鎮痛剤の副作用としては、どちらも起こる可能性があります。
鎮痛剤の大量投与は急性腎不全と関連し、長く飲み続けると慢性腎不全のリスクがあがります。
そして、毎年250万人のアメリカ人はNSAIDs関連の腎合併症に苦しんでいると報告しています。
腎臓の副作用については、こちらもご覧ください。
第2位 胃腸の病気
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これも非ステロイド系消炎鎮痛剤で特に注意が必要なんですが、先ほどのこちらの論文(*5)では、複数の研究がレビューされています。
インドの研究では痛み止め関連の胃腸トラブルは30.08%あり、さらにパキスタンでの内視鏡検査の研究では14.7%が鎮痛剤関連の胃や十二指腸の潰瘍であったとしています。
さらに、痛み止めの使用期間と使用量が重症度に関係していると報告しています。
やはり、大量に長く飲み続ければ当然、リスクが高まるわけですね。
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このように「痛み止めは胃や十二指腸という上部消化管を荒らす」というのは有名なんですが、上部消化管だけでなく、下部消化管、つまり、腸も荒らすことが知られています。
腸のトラブルは消化不良、腹痛などの症状が起こります。
さらに腸に穴があいてしまったり、イレウスという腸が詰まってしまう「腸閉塞」なんていう怖い状態も報告(*6)されています。
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そのほかにも、腸に関連する興味深い動物実験があります。
非ステロイド系消炎鎮痛剤を使っている状態で、不溶性食物繊維や小麦などに含まれるグルテンを摂取すると腸の細胞が傷みやすいという結果なんです。
ですから、よく言われるグルテンフリーの食事だったり、消化に良いと言われる食事を心がけるのも、もしかしたら多少は予防効果があるかもしれませんね。
第1位 痛みがマスクされる
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第1位はホント少なくないですし、時には手術にもなりかねません。
ふんぞり男「は?なんだそれ、副作用じゃねぇだろう!」
はい、そうですね。
むしろ、痛みを抑えるわけだから、副作用じゃなくて主作用ですよね。
だから、ある意味、痛み止めを使った人全員にあるリスクなんです。
そのため、第1位として注意喚起させていただきたいと思いました。
ふんぞり男「いや、だからなんでそれがリスクなんだよ」
・・・と思われがちですが、これ実際にあったんですよ。痛み止めを使い続けたせいで手術になった患者さん。
その患者さんは工事現場で重労働していた50歳代の男性で、ある時から肩が痛かったようです。
しかし、仕事も休めないため、痛い止めを飲んだり、注射をしたりして、仕事を続けていたそうなのです。
でもいよいよ、それも限界が来て、僕の所にいらっしゃいました。
実は、いらっしゃる前に、他の病院で腱板が部分的には傷んでるけど、手術は必要ないと言われていたそうなんですね。
あ、腱板損傷については、こちらの再生リストをご参照ください。
その患者さんは、腱板損傷があったけど痛み止めでしのいでいたわけです。
そして、僕の外来にいらしたのが、その1年後。
MRIをもう一度、取り直したら、部分断裂だった腱板は完全断裂。
それも大きな大断裂にまで拡大してしまっていたんです。
1年でこの拡大は、ちょっと普通じゃありません。
やはり、痛み止めを飲んだり注射したりしながら、痛みがマスクされた状態で無理をしたことの影響は否定できないと考えました。
結果、その患者さんは手術になったわけですが、これって肩だけに限ったリスクじゃないですよね。
よく「痛みは身体の危険サイン」って言うじゃないですか。
それを痛み止めでマスクし続けること、そして、特に痛みを抑えたまま、無理を身体に強いることについては注意していただきたいなって思います。
僕もよく言うのは、「痛み止めは無理をするために使うモノじゃないです。」ということです。
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無理をしたら、その痛い部分は悪くなるに決まっていますよね。
ですから、根本的に良くなる方向性を探りながら、痛み止めは飲みすぎないようにしましょうということをよく言います。
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ふんぞり男「なんだよ、やっぱり、痛み止めは飲むなってことか?」
いやいや、そうは言ってないですよね。
「飲みすぎないように」と言ってますし、「どのくらいが飲みすぎか」っていうのも病態によります。
ある程度、積極的に、そして、定期的に副作用をモニタリングしながら痛み止めを飲んだ方がいいケースだってありますから、主治医とよくご相談ください。
本日の一言
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「痛み止めは副作用も知った上で適切に飲みたいですね」
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参考論文
(*1)Yoichi Ishitsuka et al. Biol Pharm Bull. 2020
Toxicological Property of Acetaminophen: The Dark Side of a Safe Antipyretic/Analgesic Drug?
(*2)谷口正実ら.アスピリン喘息(NSAIDs過敏喘息).日内会誌.2013
(*3)厚労省.重篤副作用疾患別対応マニュアル――非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作(アスピリン喘息,解熱鎮痛薬喘息,アスピリン不耐喘息,鎮痛剤喘息症候群).2006.
(*4)Warfarin適正使用情報 エーザイ
https://medical.eisai.jp/content/000008483.pdf?20220119093820
(*5)Samik Bindu et al. Biochem Pharmacol. 2020
Non-steroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs) and organ damage: A current perspective
(*6)H Satoh et al. Gut. 2009
Role of dietary fibres, intestinal hypermotility and leukotrienes in the pathogenesis of NSAID-induced small intestinal ulcers in cats
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