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パンクはいつまでも続く

エイコラ、ヒーフー、エイコラ、ヒーフー。
僕はサラリーマン、生活費を稼ぐため、一級河川の堤防を今日も自転車をこいで突きススム。

電車通勤から自転車にかえて、3年目。最初は、3段変速付の自転車に乗る。
いわゆるママチャリってやつ。大特価のセール品、1万6千円の新車だぁ!

このママチャリ。数カ月は、これでよかった。新車らしくスーイスーイ、楽々、快適。
しかも健康的!

だが、通勤経路にめぐまれなかった。なにしろ月に3回という高頻度、ナバーズなら大歓迎なのだが、パンクなのでトホホ・・・。

そして、4度目のパンクは、前輪。見て驚いた。なんと、タイヤのど真ん中、1センチ間隔で縦に金ピカの画びょうが4個、しれーっと刺さっている。

ありえへん。いたずら?それは考えすぎか?
でも~ここには掲示物ないしなぁ?
はぁ~ぁ・・・。

たて続けに自転車通勤の最大リスクを体験するハメに。

しかし、通勤である。パンクしたくらいでは、立ち止まらない。

パンクを遅刻の理由にしたくないのだ。
それは、てんとう虫のオナラで消し飛ぶくらい小さな僕のこだわり。

なので、パンクしてガシャガシャとやかましく、雑多な騒音をまき散らそうが、何事かと振り向かれようが、おかまいなし。
目をすぼめ、視界をぼかしてやり過ごす。

がんばれタイヤ、がんばれ自分。

そして、僕はタイムカードを押すまで、ペダルをこぎ続けるのだ。

さて、自転車パンクの修理は、かなり面倒である。まず、会社に自転車を取りに来てもらい、自転車屋まで搬送しそこで修理する。

手間もかかるし、修理代も高騰する。なぜなら、パンクしてからの無理やり走行は、あまりヨロシクないらしい。

パンク走行は、タイヤチューブがボロボロになり、まちがなくチューブ交換の対象になる。

修理代をガッツリ取られ、ハイ、ご苦労さまでジ・エンド。

なのにこのパンク事件が、月に3回も発生!

どうか、ごかんべ~ん!

あの~もしも~し、修理代で中古自転車が1台買えますよ~っと、修理を終えたママチャリが、にんまり顔でつぶやきました。

パンクすれば、もれなく付いてくるこの労力と出費及び脱力感。これは何とかしなければ・・・。

最近のネット広告にドキッとすることがある。パンク修理を検索すると、こちらが欲している情報を推察し、手当たり次第に関連広告を送りつける。

どこがで見られているような、あなたの考えはお見通し、ってな感じでエサを撒く。

残念ながら、そのエサを食べてしまった。広告主はしてやったりだろう。興味深い広告を見つけたのだ。

なんと、ノーパンクタイヤというものがあるらしい。

エサの先のホームページを見ると、タイヤチューブに釘が串刺し状態の写真、貫通もへっちゃら。これがノーパンクタイヤの真実なのか。

このノーパンク自転車の値段は、約4万6000円、ママチャリは、1万6000円だったので、約ママチャリ3台分に相当する。

少し値段が高いが、迷いはない、購入一択だ。ノーパンク仕様の自転車に乗り換えることにした。

ノーパンク自転車は、乗り心地が悪いらしい。中身が空気でないため、タイヤからの衝撃をじかに感じるためだとか。

しかし、新チューブの採用でこの不快さを従来より軽減したとのこと。どうも、チューブ形状はそのままに超極厚にして衝撃を緩和しているらしい。

要は、ちくわみたいに分厚いゴム、これが良いみたい。

この2代目のノーパンク自転車は、約2週間後に配達された。6段変速、27インチ、色はクリーム色、自動点灯のライト付で、なかなかの高級車。

そして、試乗運転は、すこぶる良好。変速があるのでペダルの重さは気にならない。

振動もサドルのスプリングで吸収されて、心配したほどではない。パンクの呪縛からも解放されグッジョブだ!

やったー、ばんざーい。

あれから2年が経過。後輪もすり減ってタイヤに亀裂が入る。それでもまだ乗れる。さすが、ちくわチューブ。

とはいえ、そろそろ亀裂の入った後輪のタイヤを交換しなくては。とりあえず、購入した自転車屋に問い合わせた。

すると店員
「専用工具がないので、こちらは交換できません」

と、まさかの返答。

僕の脳組織の一部伝達網が混乱。オイオイ、そんなバカな!

僕は、聞かなかったことにして、
「そちらで、購入した自転車なんですが?」

店員
「ノーパンク自転車ですよねぇ、だいぶん前に取り扱いやめたんですよ。それに専用工具がないので、こちらでは対応できないんです。」

おぉっ、そういうことですかって、なりましぇ~ん。

が、しかし、そちらで購入した旨を伝えても、人情味のない音声メッセージのようにあっさり無理だと断られる。

もうやめた。らちが明かない。まるで針の穴にパチンコ玉を通すようなもの。ぜったいムリ~。

他をさがそう。

しかし、ほかの店も同じような反応ばかり。

しかたなく、近くの自転車屋でノーパンクタイヤではなく、専用工具のいらないノーマルタイヤをつけた。

2代目(改)の自転車は、前輪ノーパンク、後輪ノーマルタイヤの珍しいハイブリッド型の自転車。

まいどーいっちょあがり。ダメだこりゃ。

サラリーマン、生活費を稼ぐため、今日も堤防をエイコラ、エイコラ、自転車こぎ。

画びょうを気にしながら、パンクに出逢うその日まで・・・。

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