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ルート66の旅 Day2 アナハイム

僕たちはロサンゼルスから南東におよそ50キロほど進んだ街を訪れていた。1857年にサンフランシスコから入植してきたドイツ系の人々は、この地をアナハイムと名付けた。近くを流れていたカリフォルニア州南部で最大の川、Santa Ana Riverと、家を意味するドイツ語のheimを組み合わせてAnaheim。いかにもドイツらしい地名になっているが、人口比を見てみると白人とヒスパニック系が1:1で暮らすバランスのとれた街である。当初はぶどう農園を拓きワイン作りを主要産業としていたそうだが、疫病と害虫の発生によって畑が全滅し、今ではワイン作りも行われていない。

アナハイムといえば、MLBで初めて"Two-Way Player"として登録されたメジャーリーガー、大谷翔平選手が所属するLos Angeles Angelsが本拠地を置いている。ロザンゼルスを冠した球団がロサンゼルスにないというのは皮肉なものだが、東京ディズニーランドも千葉にあるのだから文句は言えまい。もともとウォルト・ディズニー社が経営に携わっていた頃は、アナハイム・エンゼルスという球団だったが、実業家アルトゥーロ・モレノ氏がオーナーに就任し「ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム」を経て現在の球団名に落ち着いたのだそうだ。ファン層拡大に力を注いだ氏の作戦だろう。残念ながら、大谷がこの球団にやってくるのは2018年のこと。未来の話である。今回の僕たちの目的はただ一つ。Disney California Adventureだ。

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Disneylandに行こうか、Disney California Adventureに行こうか。テーマパークが2つあるのだから、「どっちに行こっか?」という会話があってしかるべきと思うのだが、特に相談をした覚えはない。当然のように後者に行くことに決まった。お互い聞くまでもない、といったところか。今回の旅のテーマはルート66なのだ。初日の記事で触れたが、California Adventureにはカーズを題材としたテーマランドがある。カーズランドは映画の舞台、Radiator Springsの街並みが忠実に再現されていた。当時Vlog習慣がなかったのを悔やんでいるが、youtubeに素晴らしい動画を見つけた。

あまりアトラクションのことを書いても読んでいて面白くない気がするので特に印象的だった一つだけ。カーズランドの広大な土地のおよそ半分を使用した大型のアトラクション、ラジエーター・スプリングス・レーサーズだ。映画に登場するキャラクターのライドに乗り込み、(紆余曲折を経て)レースが始まるアトラクション。ライドは6人乗りで前後2列シート。2台のライドがスタート地点で横に並んだらレースが開始され、最高時速65kmの並走が始まる。どちらの車が先にゴールするかは最後の最後までわからない。そんなレースに共に挑んだ親子連れが面白かったので紹介しよう。

我々3人は車の後列に乗り込み、前列には親子連れが乗っている。このサングラスをかけたお父さんが曲者で、レース開始前に右側に停車している対戦相手の車を煽る煽る(動画開始直後)。「サムズダウンは海外では絶対にやってはいけない」と習ってきたにも関わらず、いきなりの光景にかなりの衝撃を受けたのを覚えている。現在では意味合いが変わっているのかと思いthumbs-downで検索をかけてみたが、相変わらず「海外では単なるブーイングの意ではない」という趣旨の記事しか出てこない。学生が仲間内でやるブーイングサインと、大人が他人にやるサインとでは意味合いがだいぶ変わってくると思うのだが、そういった分野が専門の方の目にこの記事が留まったなら実際のところを教えて欲しい。このレースは我々の車が勝ったので、ゴール直後は6人揃って吠えた。これがディズニーマジックだ。

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今は無くなってしまったバグズ・ランドや、シリキ・ウトゥンドゥの登場しない「タワー・オブ・テラー」、つよしを文字通り震え上がらせた急流下り「グリズリー・リバー・ラン」など、日本のディズニーランドとは一味違う(そしてまたフロリダとも一味違う)アトラクションの数々を体験できたが、今なお印象に残っているのはやはりカーズランドだった。足元の道路に描かれたルート66のサインと街並みを見て、これから自分たちが向かう先にはどんな景色が待っているのだろうと思いを巡らせたあの感覚は今でも鮮明に思い出すことができる。それから、自分の腕よりも太い大きな大きなターキー・レッグをおごってくれたワゴンのおじちゃんのことも。

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<追記>
引き出しの中に眠っていたこのストローも、ここでレモネードかなにかを注文して付いてきたものだと思う。思い出の品だが、まったく吸いにくい。

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