好転

どれがきっかけだったろう。
きっとあの体感15分ほどの時間のお陰なんだろう。

会話が噛み合わないというのは、自分の日本語が悪いのだと思っていた。「相手に伝わっていなければ、伝えた事にはならない」とよく言われることだし、私自身もいつもそれを念頭に置いていた。

しかし、私に足りなかったのは「話し方」じゃなかった。
相手を理解しようとする努力だったのだ。

会話がすれ違う。投げたボールが別の色にすり替えられて返ってくる。ボールの色が変わってしまうのは、相手の心理や状況がそうさせているんだ。

とても優等生っぽい感じなので、彼の方に色が変わってしまう原因があるとは思わなかった。だから自分が悪いと辛かったのだ。

いや、確かに悪かったのだ。どうしてそんな返事になるのか理解しようとしなかったのだから。

これをきっかけに、俯いていた自分が顔を上げて視野が広がる。

心がゴトリと良い方向に動く。
少し体が軽くなって、ひとつ出来ることが増える。
出来る事が増えると余裕ができて少し良い事をしたくなる。
少しだけの良い事で、周りがゴトリと動き出す。

このまま回り出せたら
私もしあわせになれるだろうか。




ペンギンのえさ