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戯曲『人形の家』を読む

イプセン 作 矢崎源九郎 訳

一年ほど前、DMMブックスがセールをしていた時に電子書籍で買っておいたもので、すっかり忘れていたのだが何か読むものは無いかと漁っていたら目に止まった。

以前は脚本という形式の文章を読む事がかなり困難だったが、今なら少しは読めそうな気がした。先日、先生の戯曲本を読んでそう思ったのだ。

戯曲本として・・・というのは相変わらずわからないままだけれど、物語としては思うところが多々多々多々あった。

拙い私の「飛ぶ」とテーマが同じ。鷹の爪という表現もある。ああ、私の文章というのはこれまで先人たちによって紡がれた文字をいつかのどこかで摂取し、無意識的に模写をしているに過ぎないのだなぁと改めて思う。

これは1879年に書かれたもので、テーマとしても時代的な背景の上にしか成り立たない物語。のはずなのだが、未だに「色褪せない」と評されているようだ。その時代から遅々として何も変わっていないからなのか、奥に潜む心理の根本が描かれているからなのか。

それはさておき、これが舞台になった時の事を想像する。

追い詰められていくノラ、リンネ夫人やランク氏は中盤から後半にかけての展開に向かってそれぞれはそれぞれにどう演じていくのだろう。文章だけでは唐突に思えるノラの決意も、そこに至るまでに表情や動きや間などなどに心理の変化を滲ませていくのだろうか。役者さんや演出家さんが台本を読み込むとは、きっとそういう作業なんじゃないかと想像する。しらんけど。

140年の間に数多く上演されてきているようだ。近年でも2018年に北乃きいさんがノラを演じたらしい。

ああ、この作品、いくつかの舞台を見比べられたら面白いだろうなぁ。



ペンギンのえさ