神様時計【ショートショートnote】
ふたつの透明のあいだを
ひとつからもうひとつへ
キラキラと光るそれは光そのもの
サラサラと囁くそれは時そのもの
「バカヤロー」が一粒落ちて「まぁいいか」に変わる
「情けないよ」が一粒落ちて「がんばるか」に変わる
「もうダメ~」が一粒落ちて「また明日から」に変わる
一回でダメならもう一度ひっくり返す
「まぁいいか」が一粒落ちて「大丈夫」に変わる
「がんばるか」が一粒落ちて「大丈夫」に変わる
「また明日から」が一粒落ちて「大丈夫」に変わる
全部が「大丈夫」になるまで何度もひっくり返す
「さびしい」だけが変わらない
何度ひっくり返しても「さびしい」だけはそのままで
ふとした拍子に「愛しい」に戻るだけ
すぐ負の感情に支配されてしまう私に
神様に会える時間をくれる時計だと
プレゼントしてくれたあなたがいないから
「さびしい」だけが「大丈夫」にならなくて
無くならない砂粒
繰り返す砂粒
捨ててしまえばいいのに
捨てられなくて
今日もじっと見つめて過ごす
ペンギンのえさ