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ドライブ                ――画像しりとりはじめました(#91)

(#90) キューピッド→「ど」→ドライブ

「タイガーさん、さすがにシートベルトは締めた方がよくはなくて?」

「君もな…」



安全のためにシートベルトを締めるのはもちろんだが、それよりもまず、そのテの覆面を被ったままの運転はどうかと思うぞ、タイガー。

昔、市内の祭りの練り歩きのために、このテの覆面を被って参加したことがあったのだが、実際に被ってみると、こういう覆面って左右の視界が存外に狭いのだ。

だから、左右の路上からの急な飛び出しへの対応も遅れがちになるやろし、
またミラーによる後方確認についても、古い車のフェンダーミラーならまだいいが、ドアミラーだと相当見づらいような気がする。

なお、画像ネタで言及したシートベルトについて補足しておくと――
日本において着用義務が課されたのは、
高速自動車道では1985年、
一般道については1992年から。

タイガーさんとルリ子ねーさんが楽しく――あんまし楽しくなさそうだが💦――ドライブを楽しんでいる1969年当時では、シートベルト非装着は割と普通に見られる風景だったりもする。
(もちろん、着用義務がないというだけで、シートベルト自体は設置されているのだから (*1)、安全第一が何より大切なアスリートがシートベルト非装着というのは、お世辞にも褒められたものではない( ̄~ ̄))

*1:シートベルト自体は設置されている:日本では、従来、シートベルトは高級車におけるオプション装備という位置づけだったが、欧米でのシートベルト設置義務化の動きを受けて道路運送車両の保安基準を改正され、1969年
4月1日以降、普通自動車の運転席にはシートベルトの設置が義務付けられた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

右目の視力が悪く左目はそもそも見えないという状態の私も、一応、普通免許は持ってたりする。
持病の影響で太陽光に対して致命的に弱いため、日中の運転時には遮光ゴーグル等を装着しないと目を開けることすらままならないが、その点を除けば運転については特にクリティカルな支障もない。

イメージ図

そんな私が北の大地の東の果て、釧路市在住だった頃の話。

生家のある札幌市郊外と釧路とを月イチペースで往復してた私は、その日もいつものように釧路への帰路についていた。

道東自動車道を白糠の先のインターで一般道に出て、海岸線を走る国道38号線を目指し快調に車を走らせる。

時間的には真夜中で、38号線に出るまでは街灯もろくにない真っ暗闇の山道。
ただ、個人的にはゴーグルなしで運転できる時間帯だし、左右から急に人が飛び出してくる心配もない山道かつ一本道でもある。気分的には高速道路の延長線上のような極めて気楽なドライブだ。上記のイメージ図のようにマイクこそ持ってはいないものの、車内一人カラオケボックス状態も極めて絶好調🎤✨。

そんな、車内で一人ノリノリのさなかに事件が起きる。

ライトが照らす前方、道路のど真ん中にシカの親子――まあ親子か夫婦か兄弟か、関係性はよくわからないがとにかくシカのペア――が、よりにもよって道路のまん真ん中に座ってくつろいでいたのだ。

緊迫感はちょっとだけ伝わるが、絶対おまへぢゃない

真夜中の闇夜のドライブなので、危険といえばせいぜい対向車くらいなものであり、その対向車はかなり遠方からライトで確認できるのだから、自分の中での油断があったのは否めない。
こういう夜道の一本道ではライトもハイビームにしとくのがセオリーだが、高速道路から一般道に降りたばかりということもあり、ロービームのままだったのも迂闊だった。
高速から降りたばかりの対向車もいない一本道でスピードがかなり出ていたのも災いした。

まずい!轢いてまうっ!( ゚Д゚)💦

突然、目の前に出現した予定外の障害物に、肝を冷やしながらも急ハンドルを左に切って、すんでのところでかわしきった――

駄菓子菓子だがしかしっ!

シカさんペアの1頭が、あろうことか、左にけたこちらの前に逃げてきたのだ。

うっそ~~~ん!( ゚Д゚)!

これをけるには、ハンドルをさらに左に切るか、そうでなければディオの幽波紋スタンド、ザ・ワールドで時を止めるしかない。

生憎あいにく、当時の私は幽波紋スタンドの使い手ではなかったので (*2)、選択肢としては、自分がよけた方向のさらに左へとハンドルを切るしかなかった。

*2:当時の私は幽波紋スタンドの使い手ではなかった:いや、今も幽波紋スタンドなんて一切使えない( ̄∀ ̄)。

結果的に道路外へ飛び出した我が愛車は土手のようになった土の壁に思いっきり突っ込んだ。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

あまりの衝撃に、頭がクラクラしてしばらく身動きが取れない。

幸いにして、刑事モノのドラマなどでしばしば見るような、車激突後に爆発炎上ドッカーン💥――なんて最悪の事態はどうやら免れたようで、車内なかで少し落ち着いてから、車外に出て状況を確認してみた。

突っ込んだ車の左側のボデーは12Rラウンド打たれまくったボクサーみたいにぐちゃぐちゃに大破し、左側のライトは無残にも潰れ、砕けた破片が周囲に散らばっていた。
ペットがだんだん飼い主に似てくるという話はよく聞くが、愛車も持ち主に似て片目になってしまったということか。

おそろいだね(o^-')b♪
――言うてる場合か(・_・)

ただまあ、不幸中の幸いだったのは、件のシカさんはどうにか轢かずに済んだようで、あたりにはシカっ子一頭いない。

とりあえずケータイでJAFに連絡し、状況を説明した。
向こうはさすがにその道のプロ、真夜中の真夜中というトラブルだというのにさして戸惑う雰囲気すら出さず対応してくれた。
すぐ現場に向かうので待機していてください、とのことだ。

手慣れたもんだ……と初めて活用するJAFのサービスに感心していると、さらに驚いたことに、小一時間もしないうちにレッカー車を伴ってJAFの人が現場にやってきた。
早い。(・_・)
ピザ屋か。

予想以上に早く着いたJAFの皆さんのおかげで、どうにか事件wは解決に向かいそうだ。

こういう事故は初めてだったので、
警察には連絡した方がいいのか?
――と、シロート丸出しの質問をしたが、JAFのおにーさんは、軽く微笑みながら、

「自損事故でもガードレールとか電柱とか、道路の建造物とかを破損した場合は、もちろん警察に報告しないとダメですよー」
「ですよね(^^ゞ💦💦」
「でも――」

おにーさんは手にしていた懐中電灯であたりを照らしながら、

「これはまた、キレイになんにもないトコから道路外に出ましたねー」

そうなのだ。
奇跡的に、我が愛車はガードレールのないところからその先のちょっとした草むらに押し入り、その先の土壁のようになった断崖に突っ込んでいた。乗り上げた縁石も、パッと見、破損しているような感じは見受けられない。

「自然の壁はぶつけられても文句言いませんしねw
 ただ、一応、警察の方には連絡を入れておいた方がいいと思います」
「わかりました。ありがとうございます」

人当たりのよさげなJAFのおにーさん見立てでは、どうやら愛車の廃車行きは免れそうもないらしい。

私がザ・ワールドの幽波紋スタンドを使えないばかりに (まだ言うか) ヒドい目に遭ってしまった愛車がレッカーされていくのを見届け、私の方はおにーさん運転のJAF車で自宅へと送ってもらうことになった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

車内で少し落ち着いた頃、話題が車両保険の話になったことで、私はあることを思い出した。

シカ特約。


釧路に赴任してすぐの頃、職場の業務主任から

「そういえば、松平さん、保険のシカ特約入ったかい?」
「シカ特約?(゜o゜)?」
「そう。あ、その顔はまだ入ってないね。いや、こっちにいるなら入っといた方がいいよ、シカ特約。」

――なんでも、シカにぶつかってこられたり、シカを轢いてしまったりした場合等の物損 (*3) に対するオプションなのだそうで、ここらへんの地域の車両保険では半ば入っといて当然クラスのオプションだというのだ。

*3:物損:シカに限らず、動物を轢いた場合、言葉的にはあまり気分のいいものではないが、法律的には物損事故扱いとなる。

話を聞いたときは、普段あまり冗談も下ネタもよう言わない真面目な主任が珍しく新入りを揶揄からかってるなあ^m^……くらいに思っていたが、こうして実際に遭遇してみて初めてわかるその意味。そしてその有難み。

当初、冗談でしょと心の中で失笑していた私だが、その後も幾度かその主任から同じ話題を振られるので、めんどくさくなって入っていたのだ、シカ特約ww

保険の話の流れからそのことを思い出した私は、JAFのおにーさんに、

「いやー、シカ特約、やっぱ入っといて良かったです♪」

そう切り出した。
……が、ちょっと反応が鈍い。

「あれ?知りません、シカ特約」
「いえ、知ってますよ」
「そうですよね。JAFの方ですもんねw いやもう、最初は私、揶揄からかわれてるんだと思ってたんですけどね。でも、やっぱ入っとくもんです。実際、こうしてシカを轢――」

私はそこで気づいた。
そうだ。ワシ、シカ轢いてないぢゃん(・_・)。

これ、冷静に考えたら、せいぜい深夜の居眠り運転で路外に飛び出した迂闊アホなドライバーの単なる自損事故である。
シカを殺めずに済んだのは不幸中の幸いだが、こと保険のことだけを考えたら「幸い中の不幸」でしかない。

私の沈黙を察したのか、おにーさんが優しい声で静かに言った。

「釧路に着いたら起こしますから、少し寝てください」

どうやらこの夏のボーナスは一切合切消えてなくなるなぁ……
おぼろげにそんなことを思いつつ、JAFのおにーさんの勧めに従い、とりあえず今は眠ることにした。

目が覚めたら、この事故も夢だったらいいのになぁ……
そんな都合のいい願望を頭の片隅によぎらせながら。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

さて、今日の一曲。キーワードはやはり「ドライブ」。
今週の4曲目、中森明菜で『ドライブ』←いや、まんまかい(・_・)

彼女の5thシングル『トワイライト-夕暮れ通り-』のカップリング曲。

タイトルは単純に「ドライブ」だが、歌詞の内容的にはナイト・ドライブ。黄昏時トワイライトから「ナイト・ドライブ」へという一連の流れが美しい(*´∇`*)♪

この曲、曲も歌詞も『メモリーグラス』の堀江淳なのね。
美しい曲を書く人だわ(⌒~⌒)♪

そして、二時間ドラマ『シカ特約をもらえなかった男』(笑) のエンディングにこの曲が流れてくれたら、ちょっとだけコメディ感が拭い去れるかもしれない( ̄∀ ̄)←いや、それはどやろ

おっと、今宵ももうこんな時間だ。夜のドライブに出かける時間だ。

そんなこんなで、
明日も、なるべく多くの人が
シカを見たら右へハンドルを切れる一日でありますよう←なんだそれ



■ おまけ

今回の画像しりとり列車 (91両目) の前の車両です。 タイトル「キューピッド」と右下のネタ画像で、なにこれ?て引っかかりを覚えた方がおられましたら、時間が許すような時にでも、覗いてみてやってください。


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