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カルドハイムリミテッド ガイドライン(中間報告編)

カルドハイムのMTG アリーナリリースから2週間が経ちました。みなさん楽しんでいらっしゃいますでしょうか。

ぼく自身は、これまでプレミアドラフト卓に25回潜り、通算勝率は52%。なんと完走(3敗するまでに7勝)は2回だけ。あまり…いや、かなり振るわない成績と言えます。(いまプラチナ2)

正直、記事として何か書き記すのもはばかられるところではありますが、途中カードの再評価を進めながら、考えたことがあります。
それは、「勝ってないのに語るのはちょっと…」と躊躇うのは簡単だけれども、実際のところ「語ることがないやつは勝てない」のだということ。

マジックは選択のゲームです。ドラフトのワンピック、ゲーム中のワンプレイ、全てが説明できてしかるべきなのです。自分の考えを言語化できていないうちは、正しい選択など夢のまた夢。

ですので約束通り、中間報告という形でぼくの意見をまとめさせていただきました。同じように苦戦している方の一助となれば幸いです。

前置きになりますが、本記事はMTG ArenaのカルドハイムドラフトBO1におけるドラフティングに関する考察となります。
特に今回は、1パック目中盤から終盤のピックに焦点を当て、「このカードがピック出来るなら、このアーキタイプに参入して、こんなデッキを目指そう」という話が中心です。

▼環境のおさらい

ぼくは入門編の中で「予顕と氷雪の2大キーワードを有効に使わせるための、コントロール環境という第一印象。」と語りました。

ここは大きく相違ないでしょう。すでにトッププロも含めた多くの方が、環境の印象を記事/SNSで語っている中で、ここから大きく外れる意見は、それほど見受けられません。発売2週間での共通認識と言ってしまって差し支えないと思います。

しかしながら、「=アグロは勝てない」というわけではないのが、ドラフトの面白さ。
17Lans.comという、アリーナドラフトのビッグデータが集まるサイトがあります。ここの情報によれば、最も高い勝率を挙げているのは、赤白のビートダウンのようです。


また、先日晴れる屋さんの記事で紹介された、「平地13白単」には衝撃を受けました。

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こんなデッキも組めるのか…!
(何勝したかは書いてありませんが…笑)

これを踏まえながら、今回は有力なアーキタイプとして、大きく「緑多色氷雪」「赤系ミッドレンジ」「白系アグロ」という三つについて語りたいと思います。

それぞれについて【概要】【優れている点】。続いて以下のとおり、ドラフティングの方針についてお話しします。
(ちなみに、ドラフトの方針は「決め打ち」「レア寄せ」ではなく、「協調」です。ここは話すと長くなるので、今回は割愛…)

【ピックの指針になるコモン】:「これが1枚も取れない席で、そのアーキタイプをするのは厳しい」というコモンカード。デッキの軸になります。1パック目中盤で回ってくるこのカテゴリーのカードによって、進む色を確定するイメージ。

【底上げしてくれるアンコモン】:コモンが形成するアーキタイプの方針に沿って、デッキの完成度を1段階上げてくれるカード。流れてくるようなら、とても強いサインになります。

【遅い手順で取りたいカード】:「1周期待」「決して“タダツヨ”ではないが、完成形のデッキには入る」というカード。特に1パック目8手目までの感触が良くない場合、ここに注目できれば、2パック目以降での色替え、リカバーの道を探れるかも。


▼アーキタイプ①:緑多色氷雪

【概要】
低速環境であるカルドハイムの本命アーキタイプ。緑青を軸に、スゥルタイ~5色のほか、巨人シナジーに片足を置いたティムールも。

【優れている点】
各色のレアや優秀な除去、緑のカードパワーの高さを、余すところなく活かせる。

【ピックの指針になるコモン】
《サルーフの戦友》《スケムファーのための闘争》《貪欲なリンドワーム》:今セットの緑の強さを支える3枚。

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《冬を彫る者》《輝く霜》《氷皮のトロール》:氷雪パッケージ。競合しにくいので、各パック6~8手目のイメージ。

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《煙霧歩き》:対空防御要員兼終盤のフィニッシャー。鴉や天使を止められるタフネス4がとても重要。これがいないと、飛行ビートで簡単に負けるので、2~3枚欲しい。
青赤ミッドレンジと競合するので、氷雪パッケージより早めに確保するイメージでもよい。
青は《氷縛りの柱》《雪崩呼び》という氷雪専用のアンコモンが強力。《煙霧歩き》の複数回起動のためにも、2色目は青を濃くとりたい。

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赤の除去、《金への捕縛》:タッチで運用するのに最適な除去枠。当然競合しやすい。
これらと同時に、1パック目のどの時点で氷雪土地が消え始めるかに、常に気を配る。4~6手目あたりで、他の色の優秀な除去が残って氷雪土地が消えているようなら、上2席以内にかなり強く氷雪を志向しているプレイヤーがいる。おとなしく非氷雪アーキタイプへの移行を検討したい。

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※ちなみに、1回のドラフトで出る氷雪土地は26枚前後。3人程度で分け合って【1周3枚/ドラフト全体で8~9枚=デッキの土地の半分が氷雪】を、おおよその基準に考えています。

【コモンの戦略を底上げしてくれるアンコモン】
《エルフの弓》:《煙霧歩き》とともに、白系アグロの攻勢を封殺する1枚。防御寄りの性能が他のアーキタイプでは使いにくいので、競合はゆるめ。

《北方の先導》《アルダガルドのスピリット》:純粋な氷雪強化。

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《氷縛りの柱》《雪崩呼び》:前述の通り。他のアーキタイプでは使えないので、3パック目で剥かれてほしいカードTOP2。

《古き神々への束縛》《氷刻み、スヴェラ》:強力で、多色マナを安定して伸ばしたいという、デッキの方向性にもマッチしたマルチカラー。

《背信の王、ナーフィ》:氷雪土地さえ確保できれば、地上の攻防で非常に強力。ゾンビロードの顔をしているが、緑青タッチ黒で運用するのが一番強い笑 《くすねる鷹》で捨てたいカードNo.1。

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5マナのはずが、4マナ+ワンドローに!?

【遅い手順で取りたいカード】《壊れた翼》:基本的に長期戦になるため、相手の強力な置物、英雄譚に付き合わないといけない。アグロの終盤を支える飛行/装備品も必ず対処したいので、《仮面の蛮人》と1枚ずつデッキに入っても問題ないと考える。

注意したいのはエルフシナジー。基本的に「レアが出れば意識する」程度。緑黒を中心にしたエルフ統一は、速度・サイズ感・展開力ともにエッジを出しづらい。レアの軸無しにに寄せる意義は薄いという意見。

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弱いカードも多いですが、絶妙なゴチャゴチャ感が
気に入っているデッキです笑 5勝でした。

▼アーキタイプ②:赤系ミッドレンジ

【概要】
赤のコモンは低マナ域から高マナ域まで使いやすいものが揃っており、アグロや氷雪と多少競合しても、充分に軸を作ることができる。基本的なピックの姿勢として、強いレア、アンコモンが消えた後のパックは、赤の除去からピックしていくのが、最も安定すると考える。
ここでは「5枚以上の氷雪土地と白いカードを使わず、赤絡みの除去とマルチカラーを運用する」という観点で「赤系ミッドレンジ」と括る。

【優れている点】
青赤/黒赤のマルチカラーはどれも強力だが、巨人/狂戦士の部族シナジーがある程度の前提になっており、氷雪では運用しづらい。カードパワーのわりに回って来やすいこれらをうまく拾えれば、遜色ないデッキを組むことができる。

【ピックの指針になるコモン】
赤除去3種:ほぼすべてのゲームレンジで採用されうる、トップカードたち。特に軽い2枚を5手目以降で取れることはかなり稀だが、もし取れれば自信を持って赤に踏み込もう。

《タスケーリの火歩き》《臆病な大男》:6~8手目で、現実的に赤への指針になりそうなのはこのあたり。

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《煙霧歩き》《氷山の徘徊者》:赤青への動機になりうるが、どちらかというと4~6手目のアンコモンから入りたい。

《カーフェルの犬舎主》:赤黒へ。こちらもアンコモンからの参入推奨。《大蛇の餌》はもちろん。

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《サルーフの戦友》《スケムファーのための闘争》《貪欲なリンドワーム》:氷雪と強く競合するのでわざわざ赤緑をやるメリットは乏しく、マルチカラーでのシナジーも薄いため爆発的なデッキにはなりづらい。
が、コモンの質がいい2色の組み合わせなので、安定感が高いとも言える。質のいいクリーチャーを、除去や《猛り狂い》などで押し込んでいく形になる。

【コモンの戦略を底上げしてくれるアンコモン】
《ルーンの冠》:アグロと比べて、タッチに余裕があるミッドレンジなら、他の色のルーンもつまみやすい。
その他の装備品も間違いなく優秀。終盤の詰めを担う《鴉の翼》を中心に、2枚程度装備品があると安心。

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《玄武岩の荒廃者》:赤緑では種族が揃いにくいため若干使いづらいが、それでも十分強力。

《弱者粉砕》:アグロとミッドレンジの分水嶺。特に自軍のタフネスが高く《エーガー》とのシナジーがある青赤では強力。ミッドレンジはこれの被害を少なく、効果を大きくするイメージで構築していきたい。

《氷結する火炎、エーガー》《セルトランドの凍炎》《凍炎の秘儀術師》《星界の瞥見》:青赤巨人の根幹。コモンだけではぼんやりするアーキタイプなので、これらでしっかりと引き締めたい。
なお《巨人たちの侵略》は潤滑油的なカードのため、参入の動機とするのは難しいと考える。9手目以降で回ってくることもままある。

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《カルダールの悪しき復活》《ドゥームスカージ、カルダール》:英雄譚は、多数あるオーラ除去に対する強いカウンターになる、赤黒の軸。
黒の性質に合わせて、肉質を厚め・重めに組むことで、英雄譚3章や、カルダールの能力をより生かすことができるので、黒赤はアグロでなくミッドレンジに分類した。
逆にレアの《血空の虐殺》をピック出来た場合は、数を並べられるアグロに寄せるのも有効。

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【遅い手順で取りたいカード】
《冠雪の山》:スゥルタイカラーではないので、9手目以降も回ってくる。《氷山の徘徊者》にはじまり、アンコモン、レアでも、氷雪の枚数で使用感が変わるものが多い。《島》《沼》が取りにくい分、卓内の《山》は全部取る意気込みで。

《ハギの群れ》:弱いことは書いていないが、マナ域とクリーチャータイプのせいか、それなりに回ってくる。特に赤黒では《厄害のルーン》《棄てられた地の伯爵》とのシナジーがあり、1枚あるとピックの可能性を広げられる。

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完走デッキ。氷雪土地がもう少しあれば《ドローガーの屍術師》を
強く使えましたが、ほぼ文句なしです。

▼アーキタイプ③:白系アグロ

【概要】
まず前述の通り、アグロの立場が良くないことは、環境の前提としてふまえておきたい。低マナ域のパワー不足、《サルーフの戦友》《貪欲なリンドワーム》や優秀な単体除去、アンコモンに2枚/レアに4枚と全体除去の供給が多いなど、理由は枚挙にいとまがない。
その上で、卓内で敬遠される白や赤のアグロパーツを固めとることで、レアに左右されづらいピック、ゲームプレイを目指す。

【優れている点】
ポジショニングさえ間違わなければ、高レアリティカードへの依存度が低く、構築とプレイの再現性が非常に高い。多色の出足の遅さ、マナトラブルに付け込めるのも、見逃せない強み。

【ピックの指針になるコモン】
《確固たる戦乙女》:白アグロの主力。終盤の押し込みを確実にするために、どのアーキタイプでも欲しい。まずは赤・緑の万能カードから入り、これが6~8手目で取れるようであれば、白アグロに舵を切るという指針で居たい。

《金脈のつるはし》:これで序盤にサイズと手数の差をつけて押し込んでいくのがアグロの基本プラン。手札の展開に加えて、誇示、装備と、今回のアグロはマナはいくらあっても足りない。1本目は早めに確保しておきたい。

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《戦場の猛禽》《べスキールの盾仲間》《物語の探究者》:つるはしの担ぎ手となる2マナ以下。9手目以降でこれらをピックできるようであれば、かなりいいポジション。

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【底上げできるアンコモン】
《クラリオンのスピリット》:軽く組むアグロで力を発揮できる。《ドゥームスカールの神託者》と組み合わせて回りだすと、アグロミラーなどでは手が付けられない。

《ケイヤの猛攻》:1マナで決め技になる1枚。各種ジャイグロからの連打、特にトランプルが付く《猛り狂い》との組み合わせは、モダンなどでも活躍した《強大化》+《ティムールの激闘》を彷彿とさせる。

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《ドワーフの鎚》:生体武器(場に出る誘発でクリーチャートークンを生成できる装備品5種)はどれも強力だが、アグロで使う赤が最高峰だと考えている。かわるがわるこれをかついで突っ込ませるだけで、《氷縛りの柱》が取れなかった氷雪コントロールはジリ貧になる。
白アグロ系の中でも赤白の勝率が抜けて高いのは、赤のコモンが優秀なのは当然として、この装備品と《鍛冶場主、コル》《アクスガルドの武器庫》の存在が大きい。ちなみに《武器庫》は《金への捕縛》を持ってくる土地です。つよい。

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《ブレタガルドの守護者、メイヤ》《ブレタガルドの要塞》:白が濃く、氷雪につままれにくいので回ってくる。緑白なら必ず欲しい2枚。

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《血空の狂戦士》:白黒アグロの肝。黒のコモン、マルチカラーに攻撃的な性能のものがそれほど多くない中で、気を吐いてくれる。
(ちなみに、白黒をやるなら墓地回収を絡めたミッドレンジ方向が合っているのでは?とまことしやかにささやかれています。今後の研究に期待。)

【遅い手順で取りたいカード】
《古葉の導師》《ドワーフの援軍》
いずれも4マナ域の横ならべカード。競合するのが、黒赤、黒緑と敬遠されがちなアーキタイプなので、だいたい回ってくる。
装備品で突破する赤白も、横並べする緑白も、欲しいのは頭数。2マナ域の枚数との兼ね合いもあるが、2枚入ってしまっても問題ないと考えている。

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完走デッキ。航空戦力が少ない分、《決戦》が入っていると思えば
及第点でしょうか。《猛攻》でめっちゃ勝ちました。

▼おわりに

以上で「中間報告」を終わります。
2週間後にはこれらをさらにブラッシュアップして、アンコモン以上の優先度も明確にした「まとめ編」を書こうと思います。たかだか25回なので、まだレア以上は、使ったり使われていないものも多いです。

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ちなみに、現段階でぼく的ボムレア6枚。
相手に出されると「はいはい、マジックマジック」と片付けたくなる。

「まとめ編」のイメージとしては「次セット『ストリクスヘイヴン』発売を経た半年後、その記事を読めば、もう一度カルドハイムドラフトに帰ってこられる」ようなものに仕上げたいと考えています。

最後に宣伝。ぼくが参加させてもらっている、Discordサーバーです。画面共有して、ドラフトしたりプレイしたり。完走したデッキを送りあって参考にしたり。オープンなサーバーで、リミテッド上級者から初心者まで参加できる雰囲気だと思います。お気軽に~

さて、ぼくも今回まとめたことを軸に思考を重ねつつ、もう少し勝率がついてこれば嬉しいなと思っています…ごちゃ多色が好きすぎるので、もう少しアグロやるのが、当面の目標です笑
みなさまも引き続き、よいカルドハイムライフを。

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