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退職記念日

2023年7月17日
今日で会社勤めを辞めてちょうど10年になる。

新しいことを始めたくて飛び出した理由でなく、兎に角居たたまれなくなって逃げ出したかった。

ごく僅かの同僚には告げてあったが、当日は誰にも挨拶することなく事務手続きを済ませひっそりと会社をあとにした。
同じ課の同僚だけが玄関の外まで見送ってくれた。

環境をリセットできることへの期待と、将来への不安が入り混じった複雑な心境ではあったが、すっきりとした気分であったと記憶している。

今では社内の情報は全く入って来ないので詳しい現状は分からないが、特に変わりなく存続しているし私自身も取り敢えず生活できているので、何事もなかったということになる。

辞表を忍ばせてなんとかならないかと悪戦苦闘していた日々・・
一体何に対して憤りを感じどうしたかったのか・・・
今となっては朧げに思い出されるだけで、その当時の感情は殆ど薄らいでしまった。

*詳しい経緯についてはこちらを。


少し前までは、自分の境遇を避けて通れない運命的なものと捉えていたのだが、最近読んだ本の一節が嫌に心に響いてきた。

「まずはその偶然性に気づくことが重要で、自分が置かれた状況を必然的なものと捉えないということが、「自分自身に帰る」ための最初の重要な思考の転換です。」

『現代思想入門 (講談社現代新書)』(千葉雅也 著)より


現在は細々と楽器製作を続けているが、ほぼ年金に頼っているような状況である。
先行き少々不安もあるが、自分を曲げずに好きなものを作って生きてゆきたい。

死ぬまで何かつくっているんだろうな。
それが生きている証だから。


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