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あの日は本当にごめんなさい。

私たちは「比較的」近距離で、会おうと思えばすぐに会える距離に居る。仕事柄彼は週末になると実家に帰るので、2時間の移動時間を要する距離ができあがるけれどそれでも私は会えるのなら会いに行ってしまうから、「比較的」近距離に位置しているのだ。

しかし私はわがままなので、そんな近距離の彼とばいばいする時間がこの上なく嫌いなのだ。

叶うことならばずっと一緒に居たい。彼が仕事をしている時間や1人を楽しんでいる時間以外はずっと一緒に居たいと思ってしまう (その結果が今なのだとも思うのだけれど) 。
きっとそれは私が常日頃から、「死」という概念を深く考えてしまうせいでもある。
ここで深く触れることは避けようと思うのだけど、本当に深く考えてしまうのだ。

つい先日のこと。
いつものように彼の仕事終わりに集まって遊び終わりばいばいの時間を迎えた頃。
これまで我慢していた寂しさと不安が爆発してしまった私は、初めて彼の前で涙を流してしまった。それに加え、初めて彼が帰ることを拒否してしまった。

初めて涙を浮かべる私の姿に「何が嫌だった?」「どうしたの」と心配をする彼。

あぁ、困らせてしまった。
早く泣き止まないと。
そういう感情はあるのに止まらなかった。

やっと落ち着いて彼が車から降りた時。
遠くに行ってしまう。離れてしまう。怖い。この手を離したくない。
というような感情が心を支配して、また泣き出してしまった。

一度車から降りたはずの彼は、泣きじゃくる私の姿を見て戻ってきてくれた。
荷物を置いて車のシートを倒し、強く抱き締めてくれた。
「また会えるよ」「大丈夫?」「ほんとにどうしたの」
そんな言葉を繰り返して私の頭を撫でてくれた。

迷惑をかけてしまっていることへの申し訳なさと戻ってきてくれたことや抱きしめてくれていることへの嬉しさで、さらに涙が溢れ出して止まらなかった。

優しく涙を拭く指先。困ったような笑顔。私が鼻をすする度に強まる抱きしめる腕。なだめるように落としてくれた優しいキス。
それら全てが温かくて嬉しくてまた涙が出る。

震えながらごめんなさいを繰り返す私に、「大丈夫大丈夫」「嫌いになってないよ」と背中を摩ってくれた。
それでも嫌いにならないでと涙を流す私に、「こんなことで嫌いにならないよ」と笑ってくれた。
子供のように泣きまくる私を放っておかずに、落ち着くまでそばに居てくれた。

落ち着いた私を見て、「それじゃあ帰るね?」とまた抱きしめてくれた。
もう一度謝る私に「大丈夫。嫌いになってないからね。」とまた言ってくれた。

なんて優しい人なんだろうと思った。
そんな優しさに甘え続けてしまう自分が嫌いだと思った。
こんなに優しい人を困らせてしまった。
彼だって仕事があって疲れているのに遅くまで引き止めてしまった。
本当にごめんなさい。

寒いなぁと感じる季節。
そう感じる度に彼に隣に居てほしいと願う。
彼となら寒い夜も楽しい夜に変わるのに。

家に帰った後のLINEでも嫌いになってないと伝えてくれた彼。
私が不安に感じていることを何も言わなくても汲み取ってくれる彼。

優しすぎる彼に何か恩返しをしていきたい。
それは決してすぐに返せるものではないから、一生をかけて彼に恩返しをしたい。
無条件にそばで支えていきたい。無条件に愛を注いでいきたい。無条件に大切にしていきたい。

過去を含めて初めて私の涙に付き合ってくれた彼には本当に感謝してもしきれない。

もうすぐ私たちは2ヶ月を迎える。
もう困らせないようにするから、この先も隣で笑っていてほしい。
頑張り屋さんな貴方を支えさせてほしい。





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