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歌声紀行/2019.11.16 Disney Girls の秘密

ビーチ・ボーイズのDisney Girlsをヘッドフォンで聴いていると、右からボーカルトラックとは違う「響き」だけが聞こえてくる。

リバーブではなく「響き」だけ。エアーでは聞き取りずらく、ヘッドフォンであっても、普通その響きに気がつくことはないかもしれない。

その響きは聴くものではなく、感じるものだ。

音楽というのは「聴く」というよりも、「感じる」ということが非常に重要であり、その聞こえないものに、人は奇跡とか神がかりのような神秘を感じる。

そして実際、そこには響きがあり、聞こえにくいが確実に存在する。


このボーカルテイクに無性に惹かれる謎を探していたんだけれど、その響きが非常に重要だということを感じずにはいられない。

いい歌というのは、原音以外に響きをまとっているのだけれど、これは響きを足すというアイディアで、歌が何倍も活きている。

その他にも、歌をよりよく聞かせるために、もしくは単体での物足りなさを埋めるためのアイディアとして、ボーカルのダブリングとか、コーラス、リバーブなどもある。

そういった手法は原音に含まれている倍音を可聴化して美しく響かせてくれるものだけれど、このDisney Girlのボーカルは同じピッチで「響き」をまとわせているので、主旋律がより鮮明に美しく聞こえる。
おそらく別テイクで歌ったものを声が聞き取れないくらいのEQを施し、パンを右に振り、その響きを忍ばせている。

しかし、歌声紀行で目指すのは、そういう効果を利用せずとも単体の声で響きまでも作るということである。

ボーカルテイクによって、グッと来る、来ない、の差は偶然に生まれた響きの影響もあるだろうが、特異な響きを意図して声を作ることを、いったいどれだけの歌い手がやっているのだろうか?

そういう音楽家がいたら、是非友達になって一緒に音楽をしてみたいと思う。


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