2019.4.9 数学的
僕は言葉を、選ぶ。
言葉を選んで組んで、輪郭を作って、それが一つの表現になる。
一つの言葉が持つ景色は、決して一つではない。
前後左右、縦横斜め、どこから眺めるか。
視点を変えるだけで、言葉の持つ匂いまでも操ることができる。
単純ではない心の右往左往を取り込んでしまえる切り口は、きっとある。
絵描きが色を混ぜるのと同じように、空の色が決して一つではないように、果てしなくある。
文学や芸術は、突き詰めると、ある瞬間から数学的になってくる。
気持ちでどうにかなることなど、高が知れている。
とか言いつつ、最後はやっぱり気持ちに頼らざるを得ないところが好きだったりする。
そして、気持ちに寄りかかれるまで、ボロボロに鍛えあげた言葉や音だけが、一生付き合えるパートナーになってくれるのだと思う。
案外、簡単に産み落とされたものが良かったりもするけど、それはきっとご褒美だから、ずっと続くとか、それが自分の力だとか、思ってはいけない。
歌声紀行は、数学的だ。
だからこそ、宇宙空間へ飛び出すロケットのように、叡智の塊にこそ、感動できる瞬間がきっと待っている。
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