窓越しの世界 2021年8月まとめ
8/1【諦め】 社会への不信はあるけれど、不満にならない理由はわかっている。
根本的に「諦めている」からだけど、「投げている」それとはちょっと違う。
諦めは理解。諦めは希望。諦めは優しさ。
8/2【ゴミ出し】 先月からマンションの管理形態が変わり、いつでも出せていたゴミ置き場が閉鎖になった。
おかげで週に何度かは8時前に出かける習慣がついて、1日の時間が前倒しになる。
路上に用意されたゴミ置場を見ると、これまでの管理人の苦労がよく分かる。
8/3【待つという不効率の中で】 信号が赤に変わる。いつもならもう一つ先の信号機まで同じ歩道を行くが、今日は立ち止まる。
先日までは新緑だった梢の先端の今は深緑。
待つという不効率の中で世界をぐるりと見ていたい。
8/4【ほどく術】 それぞれの手のひらの中に違う現実が横行して、毎日顔を合わせる人同士でさえ分断が生まれ始めている。
言葉で世界がつながって来た時代は折り返しを迎えている。
断絶が進む前に、ほどく術を見つけたい。
8/5【このさざ波のことが】 前に海に浮かんだのはいつだろうか。
体の隅々までミネラルが浸透して、これが何よりの薬のような気がした。
沖に船が行く度に小さな波が立つ。
あの船にこのさざ波のことが想像できるだろうか。
8/6【そういう問題でも】 そこから先へ行くのを躊躇ったのはサンダルだったから。
ブーツを履いて、肌を守る服装ならば。
いや、そういう問題でもなさそうだ。
8/7【仮想の中には無い質量】 壊しずらいものを作るには時間がかかる。
何事も。
仮想の中には無い質量がある。
8/8【見に覚えのある変換】 台風で船が止まる。
帰れないという状況が、帰りたくない気持ちの言い訳になる。
コロナ禍においても身に覚えのある変換。
8/9【知らずに】 何も知らずに列に並んでから、ふと列に並べない人だかりに気がついた。
何も知らないから並べたのだけれど、すぐに係員に排除されてしまう。
きっと、あのまま船に乗れた未来が今の僕だ。
かつて、知らずに並んで乗り込んだ僕を確かに感じる。
8/10【表裏一体】
街をダメにしたショッピングモールで母とお茶をする。
とてもいい時間だった。
その行為はアマゾンで買い物をするのと同じで、表裏一体。
8/11【どちらも選ばないのが】 叫んで変わることと、叫んでも変わらないことがある。
今がそれなりならば、どちらも選ばないのが人だ。
トトは早くここから出たいと叫んだ。
僕は抱きしめて、キスをするくらいしか出来なかった。
8/12【太古からずっと】 きっと今を誰も理解していない。
それぞれの尺度で解釈しながら進んでいるだけだ。
それは太古からずっと。
8/13【言葉の脆弱さこそ納得】
例えば宗教とは、理解をするものではなく、納得をするもの。
人々は納得の見つからない茨の道を、知らず知らず歩み始めているのだろうか。
納得という方程式は多様で、言葉の脆弱さこそ納得できる。
8/14【自己責任という概念】 自己責任では抱えきれない、格差、運、実力に基づく社会。
資本主義は、自己責任の上に成就してきた。
自己責任という概念こそが限界であるという事が浮き彫りになりつつある。
8/15【沢山の訳】 傘をさしても濡れる雨。
なぜもっと大きな傘がないのだろうか。
沢山の訳がある。
人はその訳を、だいたい共有しているから、ちょっと濡れても我慢するのだ。
8/16【心が乗らない一日】
意味を見つけて始めること。
意味が後からついてくること。
意味にも、それの解説にも心が乗らない一日。
8/17【それに反応する時】
誰かの声を聞きたい。
誰かの考えに触れたい。
それに反応する時、自分を感じることができる。
8/18【言葉そのもの】 敵など、どこにもいなかった。
そうでしょう?
それを作り出さなければ保てないものの正体の一つに、言葉そのものがある。
8/19【太陽を浴びて、汗をかいて】 目に付く言葉全てが「説明」で、めまいがする。
太陽を浴びて、汗をかいて、眠りたい。
本当はその繰り返しだけでいいのに。ゃ。
8/20【ジレンマしか見えない】 政治でしかどうにもならないことが飛び交うのを見ていると虚しくなる。
きっとその頭の良い人達は政治をやろうとしない。
真剣に世界の事を考えているのだが、そこに人生を捧げる価値を見つけられないジレンマしか見えない。
8/21【ロジックと直感】 分からないことが分かっている人の言葉の中には、或る優しさがある。
ロジックでも、直感のアプローチでも、どちらでもたどり着けるその領域がある。
ロジックは直感を補い、直感はロジックを生み出す。
優越は無い。
8/22【鉄格子の無い檻の中】 強者は動かずとも守られ、弱者が歩み寄る世界。
剣を奪われた者たちと、あらかじめ剣すらも無い世界に生まれ落ちた者たちの時代。
平和という見えない檻に気付いた時、人はなにを思うのだろうか。
鉄格子の無い、その檻の中で。
8/23【ずぶ濡れの彼】
ずぶ濡れの彼は、きっと運が悪かった。
すぐに雨は行くというのに。
でも、少し気持ち良さそう。
8/24【思い込み】 思い込み同士が重なって、大人4人が何もできない。
何が思い込みだったのかが解明され、今日は解散。
なるほど。世界はきっと、思い込みでできているし、保たれてもいる。
8/25【夏、終盤】
つくつくぼうしが鳴き出したね。トトに話しかけながらブラッシング。
1時間刻みのTO DOの中にチェロの時間を滑り込ませる。
久しぶりに弾くと少しうまくなっているのはギターの時と同じだ。
夜は寝苦しいくらい、風が無い。
鉄筋コンクリートに溜まった熱がジワリとするので、滅多にかけないクーラーで凌ぐ。
夏、終盤。
8/26【すぐには飛べない】 見る夢の質が変わったのは、今読んでいる本のせいだ。
脱皮というか、変質のような、洗浄とも言える。
ただ、虫達のようにすぐには飛べない。
8/27【それだけは確か】 焼け残った蔵の時空に溶けるギターの響き。
録音されているのは、音楽だけではない。
それだけは確か。
8/28【君はどうだい?】 トトの顎を濡れた布で優しくゴシゴシ。
じっとしているので、気持ち良いのか、本当は嫌がっているのかが定かではない。
僕はすっきりしたけど「トト、君はどうだい?」
8/29【冒険をしている】
僕には決して見えないものを、君は見ている。
僕には決して感じれない事を、君は感じている。
僕は君に尋ねるとき、冒険をしている。
8/30【笑っている】
フレットの無い弦楽器の難しさは、録音をしてみるとよくわかる。
音楽家への尊敬の念が否応なしに湧いてきて、憧れる。
下り坂で酷使した膝みたいに、弓を持つ右手が笑っている。
8/31【ついて来てくれる居場所】
音楽は例えば居場所。
どこにも居場所がなくても、
どこまでもついて来てくれるから安心していい。
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