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愛知リコール不正問題について

(敬称略)

 今週19日、愛知県知事のリコール運動において署名偽造による不正が行われたとして、元事務局長およびそれに関与した関係者が地方自治法違反で逮捕された。地方自治法に求められたリコール、レファレンダム、イニシアティブといった制度は住民の政治参加という意味では民主主義の理念に基づくものであり、リコールにおいて不正が行われたことは、愛知県知事の大村や識者が指摘するように民主主義の理念を踏みにじるものである。(※1)、(※2)

 もし、不正が発覚されなかった場合、偽りの住民意思によって地方自治体の長や地方議会の議員の解職の住民投票を行われる可能性を許すこととなり、制度を悪用して自分の意にそぐわない政治勢力を制度を悪用して抹殺することにつながりかねない。韓国の初代大統領李承晩は、選挙による不正、法制度を歪めることで己の権力を保持し続け、その間自らにとって都合の悪い者にアカのレッテルを貼り、容赦なく弾圧した。1960年、不正によって行われた大統領選挙に対する民衆の不満が爆発し、李承晩は大統領辞任とハワイへの事実上の亡命を余儀なくされ、ハワイで客死したが、その間に行われた政治の弊害は計り知れない。この事例からしても不正リコールの問題は決して軽々しく扱われるべき問題ではない。

 新聞報道によると、元事務局長が不正リコールを主導し、元事務局長の方針に異議を唱える者たちを次々に排除をし、(※3)また、リコールでの不正に異議を唱えなかった者も積極的に行ったというよりは、元事務局長に圧された形で署名をしたとある。(※4)私が疑問に感じるのは、リコールでの不正が明らかになった段階でも、それを止めようとせず、またそうした実態が行われていたことを公表しなかった会長の高須克弥や、応援団としてリコール運動に関わった市長の河村たかしの姿勢である。

 河村も高須も、本人たちは知らなかったということを強調をしているが、意義を唱えた者には河村の関係者がおり、不正署名をした者の中には高須の秘書がいる。高須にしても、河村にしても、リコール運動について関与している以上は当然、リコール運動がきちんと行われているかどうかを確認をする義務を負っているわけであり、それらを怠ったことについて高須や河村の責任は当然問われる。特に河村は名古屋市長であり、法に基づいて市政を担う立場にあるという意味では、高須以上に責任が問われることは間違いないだろう。名古屋市議会は捜査機関とは別に、河村に対して政治的責任の問題として追及をすることはもちろん、不正リコールが行われた背景および動機についても真相追及していくべきであろう。

 最後に、名古屋市民はもちろん私たち自身も民主主義の理念を壊しかねないこの動きを他人事としてとらえずに、そうした行為を許さないという姿勢が求められる。民主主義とは一人ひとりが政治に対して積極的に参加し、その結果について他人事ではなく、自分の問題として考えることが求められるからだ。政治、とりわけ地方自治に無関心な私たちの傾向もこうした不正を許した遠因となっていることも併せて考えていくことが求められる。

皆が集まっているイラスト1

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(※1)

(※2)

(※3)

(※4)


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