完全と不完全のコンチェルト

私はEspoir Choirの指揮者をしている。
団員6人と私一人の少人数アンサンブルだ。
ソプラノにマリィとルシィ、メゾソプラノにソフィとジュリィ、アルトにシルヴィとリリィと各パート2人ずつの、比較的バランスのいい合唱団ではある。
今度の合唱祭に向けて、練習をしているのだが、人間というのは非常に難しい。

「はい、今日はここまで。各パート課題があると思うから、それを忘れないように。それではお疲れ様でした。」

そう、人間は難しいのだ。

「自動人形だったら音のピッチも完璧なのにな。」
どうしても、人間の声と自動人形を比べてしまう。もちろんどちらにも善し悪しがあるものではあるが。

私の本来の職業は自動人形作家。知名度もそこそこ。生計は立てられている。
自動人形にも感情は込められるのだが、それは演奏に関することのみ、原動力の宝石に感情をスパイスさせている。
だが、人間は疲労度やそのときのテンションなどで、毎回ピッチがずれる。ジュリィとルシィは日頃から歌っているためあまり気にならないのだが、ほかのメンバーはすごくバラバラしてしまう。
「アルトにも核になる人材が居ればなあ。」
なんて嘆いても仕方がない。
団員を増やすつもりはみんな無いらしい。エメちゃんとアド、カトリーヌも参加してくれたらバランスかわりそうなんだけれど。
Espoirの方針も考え直さなきゃな。

璃音、詩音、魅音に少し歌ってもらおう。もちろん花音にも後々歌ってもらうけれどね。

人形作家と指揮者の2足のわらじ。決して楽ではないけれど、こうやって人形にも音楽にも触れられているのは幸せなこと。
お客様へ納品のお人形作成の続きをしよう。癒しが欲しいとのことなので、ヒーリング系の宝石いれるかな。明日中には動いてくれるだろうから、もう少しがんばろう。

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