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NFTのRevealと賭博法

以前会社で1万点のジェネラティブNFTプロジェクトを検討していて、その時に法務面で国内で「NFTのReveal」について賭博法の観点から実施しても問題ないのかという点について議論したものがあったので、忘れないうちに纏めておきます。

※あくまでも会社やプロジェクト毎の判断になるので、実施する場合は事前に法務確認が必要になると思います。

賭博法について

賭博法は
①偶然性に依拠して②財物の③得喪を争う
の3つを満たしている場合該当します。
そのため、Revealの場合はランダム販売で①に該当し、NFTは売買できるので②に当てはまるため、論点は③になります。
③に関しては、購入に使った金額よりも価値が下がってしまうと③の「喪」に該当する可能性があり、賭博に該当しないという整理をするためには、必ず購入した金額以上の価値を提供する必要があるので、NFTの価格に関わらず変動しない価値(ユーティリティ)を設計することが重要になります。

解釈①:NFTのPropertyに依らず、ユーティリティを同じにする

Property毎に排出率が異なるため、それによってNFTのレア度は異なりますが、それによって得られるユーティリティに差分はなく、あくまでもそのユーティリティを提供することを目的とする場合、③の「得喪」に該当しない場合があります。
NFTプロジェクトでは、レア度によってユーティリティを変更するのではなく、所有枚数によってユーティリティを変更する形がよく見られるのもこれ理由である場合が多いです。

解釈②:「得喪」が起きるのは対ユーザー間であって、対運営ではない

これはかなり怪しいですが、運営は定価でNFTを販売し、あとは二次流通でユーザー間で価格の変動が起きるため、運営には関係ないという見方をすることもできます。
トレーディングカードゲームは今まさにこのような状況になっていますが、NFTの場合は二次流通で運営に必ず収益が入ってくることもあり、また元から流動的な価値を持つデジタルデータであることもあり、関係ないという立場を貫くのは個人的には難しいと思います。

解釈③:「NFTビジネスに関するガイドライン」に従う

「NFTビジネスに関するガイドライン」というものがJCBA(日本暗号資産ビジネス協会)によって定められており、日本の法令を遵守した上でNFT事業を立ち上げるためのガイドラインが作られています。
この中に賭博法についても記載があり、購入者が販売価格に応じたNFTを獲得していると評価できる事情があれば得喪を争うものではないと整理できると記載があります。
ただし、サービス形態に応じた個別具体的な検討が必要なので、事前の法務確認は必須です。

参考:日本暗号資産ビジネス協会 NFTビジネスに関するガイドライン
https://cryptocurrency-association.org/nft_guideline/

ベンチャー企業などであれば上記の解釈を元にReveal形式のNFT販売を実施することは可能だと思いますが、上場企業ではこの辺りまだまだ判断が難しい部分もあるので、上記はあくまでも参考程度にお願いいたします。


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