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[ネタバレ]美の総攻撃・舞台 刀剣乱舞「禺伝 矛盾源氏物語」考察


要点は作中で説明が入るので、源氏物語を知らなくても大丈夫です。

「知っているとより深く楽しめる」という内容でした。


この先は、ネタバレするので自衛してください。



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「禺伝 矛盾源氏物語」が発表されたときなんで大炎上しているんだろうと不思議だったんですけど、流れてきた感想を見てやっと理解できた。


源氏物語、おもに光源氏の制御できない下半身事情を知らないんだ。

歌舞伎や宝塚歌劇団(以下、ヅカ)のように性別を超えた演目じゃないと現代の倫理観では完全アウト、極端な思考のフェミニストがヒステリックに攻め込んでくる内容だと知らないんだ。




ヅカのトップスター集結した源氏物語とか、見なくても美の暴力確定。

女が演じるのがダメ?ヅカのスターは「女性が好きな男性像」を演じるプロ中のプロだよ?

観劇後は絶対に誰かの女になっているよ???




開演直後の男士6振の口上でもうダメ。

美の正拳突き。



どう見てもオスカルいるけど、私が見ているの「ベルサイユのばら」だっけ?

一文字一家が、大倶利伽羅が、歌仙兼定が造形美で殴りつけてくる。


キラキラ波状攻撃で「ムリぃ」となっていたのに、間髪入れず全キャストによる舞い。

男士と十二単(簡易ver)の舞、雅の具現化で開演5分でノックアウト。




源氏物語が現実になった世界を元に戻す任務と「付与された逸話による強化の観察」がヅカ本丸の役割。

その役割もステ本丸・三日月宗近に繋がると、ステ本丸に関わりあるけど詳細わからずが今までの話との繋がり。



歌仙兼定をはじめ「元主」の物語を色濃く受け継ぐ男士の中で、一文字則宗だけが「刀工ベース」「現実でも沖田総司の刀だったという創作の物語が付与されている」


歌仙・大倶利伽羅は自力で光源氏の設定から抜け出す物語を持つけど「創作の中の沖田総司の物語」では式神にすら太刀打ちできない、付与された物語の限界値。


「物語が嘘ならば、物語を礎とする我らもまた大嘘ではないか」

「必ず終わりがある、全54帖の先には決して続かない」


「創作としての物語」を持つ則宗にこの台詞を言わせる刀ステくん鬼かな?




本筋。


現実と物語が反転した「源氏物語」の中で光源氏を演じている名もなきガチファンの紫式部&物語への愛がマリアナ海溝よりも深く「うわぁぁぁ…」と引くどころの騒ぎではないベビー級の愛。


これに源氏の君の「初恋の人が忘れられないから女グセ悪いんだよ!」うっとおしぃ……報われない激重感情が重なってお腹いっぱい。

食あたりする。胸焼けすっごい。



源氏の君の装束(直衣でいいのかな?)全体に模様が入っていたけど、和装はあの模様の入れ方はしない。

抽象化されていたけど「藤」の花の模様は「藤壺の宮(初恋の人)への想いでいっぱいだよ!」ですよね。


重い重いおもいっ!!!



ちなみにですね。

息をするようになめらかに人妻を口説き夜這いをかけた「空蝉」のところ。


あの内容がずっっっっっと続くのが「源氏物語」

(源氏の君のバックハグさすがのヅカパワー美が集結していた、あれはムリだ断れない)


このシーンで「より人の営みのそばにあった短刀の子らのが適任だったかもしれない」と、言いまわしが組長の貫禄・山鳥毛が言ってたけど、短刀ちゃんたちこの世界にある年数高いけど見た目は子どもだから大人の事情でアウトなの。



サラっと流していたけど、あの時代の慣習だとしてもアウト事案を踏み抜いてズンズン進んでいく源氏の君。


自分で「傾国のイケメン」と言い放ち、女性には学は必要ないと笑い値踏みして利用する。

後半は千年経っても変わってねぇか。



1部前半で源氏の君が女性を従えて舞っていた美しきヅカ様式シーンの歌ありますよね。

あれ彼の女性遍歴です、女性の名前だけで1曲できちゃった。



やったらドラマチックに描かれていた若紫との出会い(恋に落ちる歌仙さんとか2次創作かな?)は、幼女誘拐事件。

しかも「自分好みの女に育てて妻にする」ヤバみの限界突破、移動する性犯罪者。



源氏の君の想い人である藤壺の宮に現実での推し・紫式部を配して、名もなきガチファンである自分が源氏の君として不義密通のうえ子を宿すとかドン引きレベルの話ではない。

(歌仙さんverで話が進んだことになってるの?)



完全に壊れてますやん。




盲目的に信奉し「物語は"嘘"、嘘は御仏の教えで禁じられているから地獄に落ちる」と当時の慣習に縛らる名もなきガチファン。


最終目的が「紫式部を地獄に落とさないために。僕を救ってくれた物語の光源氏として死んで骨を埋め、千年先に歴史として発見される」とか恐怖でしかない。


やべぇのがいるぞ。目を合わすな全力で逃げろっ!!!




壇上には女性のみヅカの美で殴り、「源氏物語」で目がシパシパ自己発光する平安絵巻の眩い世界を描くと思っていたらメンタルめった刺し血まみれ恐怖物語だった。


刀ステくん、裏切らない(褒めています)




このヤバみの塊・源氏の君 / 名もなきガチファンを嫌味や嫌悪感なくひたすら美しく演じることができるの、やっぱりヅカしかないですよ。


天海祐希さんが演じた光源氏も「あっ…源氏の君は実在したんだ…」となったけど、今回も「源氏の君は実在している」となるヅカ説得力たるや。



大倶利伽羅に光源氏役が渡ったとき余裕クールに去っていく姿は「あぁ…これヅカ様式なら作中でシヌやつや…」となるし、見ていて忙しい。


ここの源氏の君、アップで抜いてほしかった。

片方だけ広角を上げる「ハン!」みたいな笑顔なら「めっちゃヅカ!!!」ってペンライト全力振りしていた。




色恋沙汰どろどろゴタゴタに1番縁遠いであろう大倶利伽羅を、物語破綻のためとはいえ歴代女性大集合の修羅場に放り込む刀ステくん。

ごめん、笑ってもうた。



源氏の君に弄ばれることになった女性陣の恨み節は「せやな、平安文化だとしてもこの扱いは文句のひとつも言いたくなるよな」の納得しかない。

(伽羅ちゃん完全にトバッチリだけど)




紫式部が光源氏に背負わせたのは「女に学は必要ない」「男だったら」と自身が受けた理不尽な評価。

やんごとなき血筋・容姿端麗・文武も秀でた傾国のイケメンでさえ、どうしても叶わない「想い」の呪い。



名もなきガチファンが深く愛した「源氏物語」そのものが「呪い」となり(時間遡行軍の力もあると思うけど)現実と物語を「反転」させるほどになった。


人物も現実から物語に入った人たちではなく「物語の中で作り上げた現実の人物」とか反転パワーすげぇ!




紫式部「私の作品を愛してくれるだけでいいのです」

ガチファン「物語を歴史として千年先へ届ける」




刀ステや刀剣乱舞のみならず。


すべての創作にかかわる人たちと、その作品に心を寄せ愛する人たちへ向けた物語。

(ここまで突き抜けたガチファンになると危険人物すぎて逮捕案件になるので要注意)



刀ステくんが繰り返し言ってきた「物が語る故に”物語”」



舞台を見ている私たちの”物語”でもあるお話でした。


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