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ユーザーファーストの解像度

"ユーザーファースト" というキーワードのもと事業を進めるケースは多いんじゃないでしょうか。

ユーザーの満足度を最優先する

サービス設計をしたり、プロダクト設計をしたりするうえで重要な視点です。

ただ、しばしば "ユーザーファースト" というキーワードが独り歩きするようなケースもあって、注意すべきなんじゃないかなと思ったのでnoteを書いてみます。

端的に言えば "ユーザーファーストの解像度を上げよう" という話です。

カスタマーサクセスのケース

例えば、BtoBサービスでデータの管理が必要なサービスの場合、高頻度で「こういうデータがほしいんだけど抽出してくれないか?」という問い合わせが来たりします。

カスタマーサクセスのコンテキストでは、それらを1秒でも早く用意することを目指すでしょう。
「ユーザーファーストに則ってアクションしているんです」という風に担当者に説明されれば、特に違和感はありません。

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少し立ち止まって考えてみたいのですが、 "ユーザーファースト" って一体なんなんでしょうか?

"ユーザーの満足度を最優先する"

ユーザーファーストの姿勢で日々の業務にあたる、ユーザーファーストに基づいたUI/UX設計、ユーザーファーストな経営方針などなどあらゆるコンテキストで用いられると思います。

どんなコンテキストでも、いつもそこにはユーザーの声を聴くというニュアンスがついてまわります。

ユーザーの満足度 = ユーザーの声をどれだけ実現するか

で推し量ろうとしてしまいがちです。

"ユーザーファースト" でググればすぐに答えは出るのですが、これは間違いです。

ユーザーの満足度がどのように高まるかはユーザーも把握していません。
先のデータ抽出をした結果「あ、実はこういう制約があるので、追加条件としてなになにした結果のデータがほしいんでした、もう一度お願いできますか?」というような新たな要望が発生するかもしれません。ユーザーも自分が何がほしいのかわかっていない可能性があります。それはBtoCであれ、BtoBであれ同じです。

ここでは、そのデータがほしいという目的を正しく理解することが大事なんじゃないかと思います。
そのための手段はサービス提供者から提案した方が、早くユーザーの期待に答えられるはずです。
サービスに詳しいのは間違いなくサービス提供者なのですから。

可変するユーザーの満足度という指標

"ユーザーの満足度"というキーワードを見つめ直すプロセスが、常に必要なんじゃないかと私は思っています。

ユーザーの満足度 = ○○○

というように必ずしも何か絶対的な定義が存在するかというと、そうではないんじゃないかというのが私の考えです。

サービスのフェーズや、ユーザーのステータス(どれぐらいサービスを使い慣れているか等)によって、ユーザーの満足度という指標は常に変化するものだと思うからです。
あるいは、複合的にいくつかの要素の総合得点で満足度は推し量れるかもしれません。

少なくともサービス提供者として「今サービスはこういうフェーズだから、ここはマストで抑えて対応するようにしよう、あるいは対応しないようにしよう」とか「(ユーザーを習熟度でカテゴリライズして)このユーザー層には、こういったカスタマーサクセス体験を中心に据えて対応しよう」とか、 "うちのユーザー満足度の定義" を持っていると、ユーザーファーストを適切に扱うことができるんじゃないでしょうか。

具体例を挙げるなら、先のデータ抽出の例において、

データ抽出をして何を達成したいのか?をどれだけ丁寧にヒアリングしてそこにコミットできるか(たとえデータ抽出というアウトプットを出すまでのリードタイムがこれまで以上にかかったとしても)が、 "うちのユーザー満足度" 

という感じです。

ユーザーファーストの解像度

ユーザーファーストというキーワードは、その字面からなんとなく「ユーザーを優先しよう」というざっくりとした印象を持ってしまいがちですが、サービスを提供するうえで、 "うちのユーザー満足度" 、 "うちのユーザーファースト" は何なのかというのを議論し、定義することが大事なんじゃないでしょうか。

言い換えれば、ユーザーファーストの解像度を高めるプロセスが必要なんじゃないかと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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