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【ネタバレあり】「ククルス・ドアンの島」感想

「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」の感想…というか、思ったことをメモっておこうと思います。

本記事はネタバレを含みます。

「ククルス・ドアンの島」の思い出

まずはこの「ククルス・ドアンの島」、1979年に放映された「機動戦士ガンダム」の15話翻案したもの、ということですね。
「ククルス・ドアンの島」が映画化されるというニュースが入ってきた時、漫画で出ていたククルス・ドアンの島の劇場版なのかな、と思ったのですが、これとはまた違ったものでしたね。
私は漫画「ククルス・ドアンの島」は未読なのですが、漫画「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」をベースとしたスピンオフ作品として、ククルス・ドアンの過去が語られていた作品なのだそうですね。
今回の映画は、この漫画とは関係なく本当に原作の15話の「ククルス・ドアンの島」のエピソードを元に作られた、とのことでした。

個人的に、ファーストガンダムは再放送組だったのですが、最初に見た時は普通に「いい話だなー」っていう素直な感想でしたね。
当時はテレビアニメで作画が乱れることなんて日常茶飯事だったので、多少のことは気にしないような時代だったんです。
色んなことが「勢い」で進んでいた空気感というか…。
ザクが岩を投げたり、パンチで相手のザクを倒すなんてのも、素直に受け入れていました。
後になって、あのザクが作画崩壊だとか言われて、そういえばそうだなと思ったりしたぐらいです。

安彦監督がインタビューで言っていた通り「いい話」だったので、これは映画化しても良い感じになるのではないかと期待していました。
あとは、映画を観る前にサザンクロス隊とか色々と楽しみな情報も入ってきていたので、ワクワク感も否応なしに高まっていましたね。

ドアンが格好いい映画です

観終わった感想は「とにかくドアンが格好いい」ということでした!
確かに原作でもいい奴でしたけど、こんなに格好良く描かれてしまって良いのだろうかというぐらいに格好良かったですね。
戦闘で一般人に犠牲を出してしまったことを悔やむシーンもありましたが、そのへんの苦悩の表現はほどほどにしてあって、キャラクターが重くなりすぎていないところも良かったです。
過去のあやまちをジメジメと引きずるような感じではなく、前向きに今をしっかり生きていこうという域に達しているところが、また良いのかも知れません。
かといって、すっかり忘れているわけではない、ちょうどよい感じでしたね。
過去を背負ったおじさんとして満点の魅力を持っていて、しかも子供の世話も出来るし、生活力もあるし、メカにも強いし、なんといっても戦闘力がやたら高い。

子供たちについては、原作よりも数が増えていて大丈夫かなと思ったのですが、ちゃんとそれぞれのキャラクターが個性的に魅力的に、しかも丁寧に描かれていました
原作に登場したロランは、髪の毛が緑色のせいか、個人的にちょっと不思議少女なイメージでしたけど、今作ロランのポジションで登場したカーラは、もっと親しみやすい女の子でしたね。

とにかく、ドアンと子供たちには、この後も幸せに生きて欲しいなと願わずにはいられませんでした。
まあ1年戦争はもうすぐ終わるわけですけど、その後も色々ありますし。
映画が終わる時点で、子供たちのことが結構好きになっているということは、この作品の素晴らしいところなのかも知れません。

キャラクターを丁寧に描いた映画

サザンクロス隊についても、個性的なキャラクターばかりで、登場シーンはそんなに多くなかったですけど、かなり魅力的でした。
それぞれが、ドアンに対する想いを持っていたりして。
ただ、ドアンが強すぎて、意外にもあっさりやられてしまいましたけど。
ちゃんと連携して攻撃すれば、もっと善戦できたはずなのに、ドアンが相手だったせいで冷静でなくなってしまっていたみたいですね。
セルマ・リーベンスとか、なんだか可哀そうと思えてしまうぐらいには共感してしまいました。

サザンクロス隊、ジムとかガンキャノンには強かったんですけどね。
高機動型ザクの動き、映像化されるとめっちゃ格好良かったです。
インタビューを読んだところ、ドムとは違って、スケートみたいな動きにしたそうです。
確かにドムの動きが基本的に脚を動かさないスキー的な動きだとすると、脚が動いているスケート的な動きで、新鮮でしたね。
それにしても、ガンキャノンがあんなに壊れまくるとは思っていなかったのでビックリでした。

ホワイトベースの面々も、人物描写を丁寧にしていて良い感じでしたね。
原作のブライトはちょっと若くみえなかったのですが、この映画ではちゃんと19歳だか20歳だかの設定通り、若く見えました。
というか、19歳よりも、もっと若く見えるぐらいでしたね。
フラウ・ボウがちゃんと可愛く描かれているのも良かったです。
軍法会議ものと知りながら、ホワイトベースの面々がアムロの捜索に出る場面なんかも、すごく人間味があってテンション上がりました。

アムロに関しては、とにかく古谷徹が元気だなという感じでした。
ファーストガンダムに出演して、もう亡くなってしまった声優さんも多い中で、この元気さはさすがとしか言いようがありません。
原作での面倒くさい性格も、そんなに前面に出ていなくて、ちょっと爽やかさも感じられたりしましたね。
悪夢の中でちょっと悩みを抱えているという描写もあったりしたのですが、これもドアンと同じく話を重くジメジメさせるほどではなかったです。
アムロの悪夢の中でしたが、しっかりシャアが登場したのも嬉しいポイントでした。

マ・クベは、アニメがCGで作られるようになった恩恵なのか、髪の毛がグラデーションになっていましたが、おしゃれというか妖怪感がアップしていた感じでしたね。
マ・クベの壺もちゃんと登場していました。

キャラクターの描写については、安彦キャラが結構コミカルな表現もしていて、みんな表情豊かで良かったです。
ちょっと絵柄が古い感じもするのですが、そこがまた味があって良いんですよね。
安彦キャラの影響で、ストーリーが重くなりすぎなかったところもあると思います。

モビルスーツも魅力的

ガンダムに関しては、そんなに登場シーンが多いわけではなかったのですが、後半アムロがガンダムに乗って、ザクがシートを外したらガンダムがいたシーンの「白い悪魔」な感じが、かなりテンション上がりました。
ジオン兵にとっては、とにかく悪魔のようなモビルスーツが、いないと思ったところにいたというこの恐怖感の表現がヤバいですね。
ザクを倒した後、生身の人間を踏んでしまうシーンはちょっと悪魔を越えて衝撃的でしたけど。

ガンダム、最初のドアンザクとの戦闘では、すっかり引き立て役でしたけど、この戦闘シーンもかなり躍動感があってすごかったです。
というか、ドアンザクの動きが尋常じゃないですね。
作画崩壊ザクをモチーフに、顔が長い感じにデザインされているのですが、そんなことは忘れてしまうぐらいの格好良さです。

インタビューによると、モビルスーツにもかなり表情をつけるようにしたとのこと。
確かにモビルスーツが演技しまくっていましたね。
最後、やられそうになったドアンザクなんて、かなり痛そうにしてましたし。

シンプルなストーリー展開

話の展開としては、そんなに複雑になることもなく、ガンダムの映画にしてはわかりやすかったですね。
原作から幅を広げて、ゴップ将軍やら、マ・クベやらが出てきて、政治的な駆け引きとか出てくるのかと思いきや、それほど掘り下げているわけでもなかったですし。
ガンダムならではのニュータイプ論も全く出てきませんでしたね。

閃光のハサウェイみたいに、色々抱えすぎている主人公というわけでもなく、登場人物の心境がわかりにくいということもありませんでした。
シンプルだから単調ということはなく、シンプルだからこそ人物の描写がしっかりと伝わってきて、活き活きとしていたと思います。

最終的にククルス・ドアンの島から、核ミサイルが発射されたのにはびっくりしましたけど。
連邦にもジオンにも、こんなに注目されてしまって、大丈夫なのでしょうか。
無駄に注目されて、ドアンと子供たちの生活が乱されたりしないのか心配してしまいました。
まあ、この後オデッサの激戦があるので、両軍ともそれどころではなくなってしまったのかも知れませんけど。
ラストシーンでも、なんかのん気に暮らし続けるみたいな感じだったので、これはもうハッピーエンドだったと思って良いのかなと思います。

まとめ

とにかく「ガンダムの映画」としてだけではなく、ひとつの「アニメ映画」として、かなり秀逸な作品だったと思います。
人物もモビルスーツも、活き活きと描かれていて、とても人間味が溢れていました。
これはやはり安彦監督ならではだったのではないかと思います。
なにやら監督をするのはこれが最後と言っているようですが、ぜひ「ジ・オリジン」を最後まで映像化して欲しいものですね。

というわけで、長々と書いてしまいましたが、読んでくださりありがとうございました!

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