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【舞台出演】 清流劇場7月公演 「Alcestis −a strange episode アルケスティス異聞」

芸術文化振興基金助成事業

三日間ずっと考えていたのです、助かった命をどう使おうかと。
思いがけなく授かった二度目の人生をどう生きようかと。
あなたはきっと気にするの。
私があなたの身代わりに死んだことが重荷になるの。

【原作】エウリピデス【原作翻訳・作・ドラマトゥルク】丹下和彦
【構成・演出】田中孝弥

【出演】髙口真吾 泉希衣子 倉増哲州(南森町グラスホッパーズ) 
服部桃子 日永貴子 永津真奈(Aripe) 立花裕介 萬谷真之 
上海太郎(上海太郎カンパニー) 
【音楽・演奏】仙波宏文

【上演日時】
7月11日(木)14時(青)/ 19時(白)
7月12日(金)19時(青)
7月13日(土)14時(白)/ 19時(青)
7月14日(日)14時(白 / 終演後、アフタートークあり)
※全公演に全員出演しますが、配役が各回により異なります。
青組公演はアルケスティス役を泉希衣子・ヘラクレス役を立花裕介が演じます。
白組公演はアルケスティス役を永津真奈・ヘラクレス役を倉増哲州が演じます。

【劇場】
一心寺シアター倶楽
http://isshinji.net/kura/index.html

【料金 / 5月12日(日)10:00発売開始】
立花ご予約窓口 http://ticket.corich.jp/apply/99661/011/
(↑立花のギャランティに直結します。どうぞよろしくお願いします!)
一般前売券 / 4,300円
当日券 / 4,600円
ペアチケット / 8,000円(前売のみ)
U-22券 / 2,500円(前売のみ・22歳以下の方を対象。要・証明書提示)
シニア券 / 4,000円(前売のみ・65歳以上の方を対象。要・証明書提示)
*開演1時間前より整理券を発行、開場は開演の30分前です。
*小学生以下のお客様はご入場になれません。

【作家紹介】
エウリピデス(Euripides 紀元前480年(『エウリピデス伝』『スーダ辞典』による)〜紀元前406年)
ギリシア三大悲劇詩人の一人。
父親ムネサルコスと母親クレイトの間に生まれる。父親は貧しい行商人。母親は市場の野菜売り。アテナイ市もしくはその近くのサラミス島で生まれたとされる。はじめは格闘技の選手を目指すが、のちに精神的世界へ関心を示し、プロタゴラスに修辞学を、ソクラテスに倫理学と哲学を学ぶ。アナクサゴラスへも師事するが、彼の学説が「太陽神アポロンへの不敬」とされ、政治的迫害を受けたのを機に、悲劇作家に転身する。その作風は革新的であり、伝統的な悲劇の世界へ知性と日常性を導入した。作品様式面では「機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)」という劇作技法を多用したことが特徴的である。紀元前408年、マケドニア王アルケラオスに招かれ、都(ペラ)へ赴く。紀元前406年、マケドニアで客死。
劇壇のライバル・ソポクレスは訃報に接し、丁度競演会の予備行事の場にいたが、喪服に着替えて弔意を表したという。
その容貌については「そばかす、濃いあごひげ」との短評あり。作品は三大悲劇詩人の中で最も多い19編が残存している。
主な作品:『メデイア』『ヒッポリュトス』『エレクトラ』『タウロイ人の地のイピゲネイア』『ヘレネ』『オレステス』『バッコス教の信女たち』等

【あらすじ】
古代ギリシアの小王国ペライを治める王アドメトスは突然、「死」の運命に襲われます。ただし、「誰か身代わりになってくれる者を見つければ、その死を免れることが出来る」という条件が付きます。アドメトスは懸命になって身代わりを探しますが、年老いた両親をはじめ誰一人として身代わりを引き受けてくれる者はいません。最後に妻のアルケスティスが身代わりを申し出てくれて、やっとアドメトスは命拾いをします。
アルケスティスが、死に神に導かれて冥界に下る当日。皆が彼女を惜しみつつ、悲嘆に暮れているところへ、アドメトスの友人ヘラクレスが訪ねてきます。トラキア王が所有する人食いの暴れ馬を奪いに行く途中、アドメトス邸へ寄ったのです。ヘラクレスはアドメトスの異変に気づき、「誰が亡くなったのか?」と尋ねますが、情が深く義に篤いアドメトスは「他家の者だから気にするな」と、妻の死を隠してヘラクレスを歓待します。ヘラクレスは事情を知らないまま接待を受け、心地よく酩酊してしまいます。
アドメトスの父親ペレスはアルケスティスの葬儀に参列しますが、親子の間で「身代わりの死」を巡って口論が起きます。アドメトスは「何故、老い先短い父親が身代わりになってくれなかったのだ。臆病者。もう、あなたのことは親とは思わない」と怒りを向けます。父ペレスは「息子の身代わりに親が死ぬ義理もないし、そのような掟もない。お前こそ、妻を身代わりにした臆病者だ」と罵ります。
酩酊したヘラクレスは召使いから「実は亡くなったのは、妃のアルケスティスだ」と知らされます。事情を知ったヘラクレスは喪中を隠してまで歓待してくれたアドメトスの心意気に感じ入り、アルケスティスを冥界から取り戻すべく死に神と格闘し、見事彼女をこの世へ連れ帰ります。甦ったアルケスティスでしたが、この後、三日目の朝が来て、冥界に捧げられた身の清めが済むまでは口が利けません。アドメトスは妻アルケスティスの三日後の完全な「甦り」を待って祝宴を催すことにします。
……と、エウリピデスが書いた『アルケスティス』はここで幕を閉じますが、本作品はこれを受け継ぎながらさらに話を続けます。
三日目の朝、夫や子供に内緒で館を出て行こうとするアルケスティス。生き返った妻を祝う宴会を催すつもりのアドメトス。ところが、二人の間に論争が起きてしまいます。もう一度生きる機会を得たアルケスティスと、これまで通りの「受動的な生」を過ごそうとする夫アドメトス。三日目に口を開いたアルケスティスは夫へ何を語りかけるのでしょうか。
古代ギリシア文学者・丹下和彦による補綴『アルケスティス異聞』。是非、ご覧ください。

【田中孝弥よりご挨拶】
私たちは突然、「死」を宣告されたらどうするでしょうか?ただし、「身代わりを差し出せば死なずに済む」となれば、どうするでしょうか?
ギリシア劇『アルケスティス』の中で、「死」を宣告されたアドメトス王はあちこち色んな人に頼んで回りますが、身代わりを得られません。両親にも頼みますが拒否されてしまいます。最後に妻のアルケスティスが身代わりを承知してくれて、やっと命拾いします。これは何も古い伝承の世界だけの話ではありません。現代の私たちの身の周りにある話です。生死をめぐる人間の精神と行動の有り様は時と場所を選びません。しばしば悲劇的にして喜劇的な様相を呈しつつ、人の世の哀しさ、人の身の悲しさを見せつけます。
原作『アルケスティス』(エウリピデス作)は、サテュロス劇の代用として書かれたとされ、大詰めは「妻アルケスティスの甦(よみがえ)り」を寿ぐ合唱隊の歌で終えています。しかし、本当に「妻が生き返ったこと」は喜ばしいことなのでしょうか?
また、アルケスティスを沈黙させたまま終わる原作の結末が、「出演できる俳優の数に制限があったギリシア劇上演の規則から、<黙(だんま)り>を使わざるを得なかった苦肉の策」というのは、あくまで表向きの理由ではないかと考えます。実のところは、「三日後の妻アルケスティスの行動を想像してみてはどうか?」という、作者エウリピデスの巧妙にして老獪な思惑があったのではないでしょうか。
本作品はその意を汲んで、原作『アルケスティス』に描かれた人間の生死をめぐる家庭の悲喜劇に、「新しく生きること」へ目覚めた妻アルケスティスを描き加えたものです。
『アルケスティス異聞』、ご期待ください。

【ドラマトゥルク】丹下和彦 【舞台監督】K-Fluss 【舞台美術】内山勉
【舞台美術アシスタント】新井真紀 【照明】岩村原太
【照明アシスタント】塩見結莉耶 【照明オペ】木内ひとみ
【音響】廣瀬義昭(㈲ティーアンドクルー) 【音響オペ】奥村威
【衣装】田中秀彦(iroNic ediHt DESIGN ORCHESTRA)
【衣装アシスタント】加藤沙知
【ヘアメイク】歯朶原諭子(High Shock)
【ヘアメイクアシスタント】島田裕子
【小道具】濱口美也子 【振付】東出ますよ
【写真】古都栄二(㈲テス・大阪) 【ビデオ】㈱WAVIC
【web・制作協力】飯村登史佳 【宣伝美術】黒田武志(sandscape)
【特別協力】森和雄 【演出助手】大野亜希
【協力】㈲ウォーターマインド・イズム・㈱MC企画・㈱舞夢プロ・10ANTS・バンタンデザイン研究所大阪校・柏木貴久子・堀内立誉・佐々木治己・川口典成・嶋田邦雄・山下智子・森岡慶介・居原田晃司
【提携】一心寺シアター倶楽 【制作】永朋 【企画】清流劇場

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