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ウスとキネ 5  トドメの一撃 子鹿編

さてさて。
見ず知らずの登場人物によって
いきなり結婚勧告をされる、という衝撃の一日を過ごしたキネ。

完全に上からのメッセージだ、という認識はしていたけれど
元来、自由人なキネにとって
「結婚」というのは自由を奪われる死刑宣告に近かったらしくて
どうにか逃げ道がないものか、と一晩ワタワタ、ハフハフと往生際悪くあがきまくっておりました。

とはいえ、キネは信心深い?というか
私よりも見えない存在を大切にする気質なので
自分でも無駄な抵抗と分かっていたはず。笑 

ま、あがいてても腹は減るもので
ご飯を食べ、気分転換に近所の温泉へあったまりに行きました。

季節は真冬。
寒さも厳しき折です。
時は夕方、白い雪に反射する夕陽がとても綺麗でした。

富士山の見える露天風呂と泉質に大満足して
先に上がってロビーで待っていると
生まれたての子鹿のようにプルプルしながらこちらに向かってくるキネの姿が。笑

「う、ウスちゃん、、、、、
 ボク、見てしもた、、、、、、
 ボク、見てしもたかもしれへん、、、、、」

へ?どしたん???

「あんなぁ。ボク、お風呂の中で聞いててん。
 『もし、この結婚の話が宇宙(神様とか)の意思に沿ってるんやったら
 そのしるし(サイン)を見せて欲しい。
 ちょっとやそっとのサインやったら、ボクは分からへんし
 ちゃんと分かるしるしじゃないと嫌や。
 見たら結婚するし。』って。」

どーーーーしても独身生活に諦めのつかないキネは
どうやら上の人にサインを見せてくれと頼んだらしい。笑

そのままキネが露天風呂で寛いでいたところ
富士山と逆向きのキネの方を
手で額に庇をつくって凝視するおじさんが。

なんや、あの人。とそちらに視線を移した途端、
キネの目に飛び込んできたのは
雪を被って真っ白な富士山をバックにした
どでかい金色の龍の胴体だった、という。

「あ、はい。」

と、反論の余地なく結婚に同意したらしい。笑

ショボくれつつ
一部始終を報告するキネの姿に
大爆笑してしまったのは言うまでもなく。

その温泉の休憩室で、結婚式の日程まで指定があって
両方の家族に挨拶をする日まで決まりました。
↑ここでも、何とかして日を延ばそうと試みるキネ。
 その度にバッサリ斬られる。笑

当然ながら、日にちない・・・・。
駆け足を通り越した、猛ダッシュでいろんな準備をして
無事結婚に至りましたとさ。

キネの子供を産みたかったウスにとって、渡りに船だったことは内緒ですっ笑笑


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