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ウスとキネ 4   強引な〇〇編

12月のとある日。
八ヶ岳のキネ宅を訪れた私は、
家の近くの身曽岐神社へ挨拶のお参りに行きたくてキネと朝から出かけたのです。

ひとしきりお参りを終え、持参した品物をお供えしたところ、
境内の養生殿での薬草茶のお接待券を頂いたので
暖を取ろうと養生殿へ向かいました。

そこには
白髪を後ろで束ねたのサムライのようなご老人(のちに大変可愛がってもらう)とご婦人が談笑していました。
見たところ、どうやら白髪の老サムライは神社の人らしく白い作務衣を着ていて、
ご婦人は懇意な参詣客の様子。

勧められるがままに
ストーブの近くの席に私達が座ると
ご婦人が私達のじっと目を覗きこんで

「 いい? 何があっても大丈夫だからね。
 大丈夫だからね。大丈夫よ。 いいわね。 」


と。  
老サムライも同じようなこと言い、頷く。

あとは当たり障りのない会話をして、養生殿を後にしたのだけれど
その時のただならぬ気配に、聞き流せない何かがあって
神社を後にした車の中でキネと

「あれは完全に私らへのメッセージやったな。
  何があっても大丈夫って、何があるんやろなぁ・・・・」

なんて話てたのです。

それから、夕方の予定まで3時間ほど時間があったので
好みの落ち着けるカフェを探して
お茶でもしながら時間を待つことに。

いい感じの古民家カフェで
メニューが自然食なのもドンピシャ好み。

こりゃ期待できるぞ、とテーブルに着いたら
隣で真昼間から肉じゃが片手にビールを飲んでるおっちゃんが目に止まりました。

カフェとビールのおっちゃんは不釣り合いだなぁ、なんて思いながら
キネといつも通りにお茶しながら喋ってたのですね。

しばらくしたら
私達のテーブルにそのビールのおっちゃんが顔を突き出してきて

いきなり
おっちゃん 「で。 いつ結婚するんだい????」

は????
キ「いやいや、僕らそんなんじゃないんス」

あたくし先にもやらかしてますからね、
これで気まずくなったら嫌やし、と全否定。

ウ「ホンマにちゃうんですよー。遊びに来ただけで」

おっちゃん 「いやいや、そんなのいいんだよ。
       で、いつ結婚するんだい???」
   ※初対面ですよーーー。

酔っ払いの戯言とキネがのらりくらりと話を逸らそうとするも
おっちゃんはぐいっと話を結婚に引き戻す。
キネがまた逸らす、おっちゃんが強引に引き戻す。笑

これを何度か繰り返し、
「今すぐに結婚を決めろ。」と迫るおっちゃん。
   ※繰り返しますが初対面ですよーーーー。


自分の名刺も取り出し、怪しいもんじゃない、と名乗り。
(確かにお堅い肩書きをお持ちの方でした)

しかも、神事に纏わる漢字が苗字に入ってた。笑

どうしても「今すぐ結婚即決」にウンと言わない私達は
そこから結婚について5時間も説教を食らう羽目になりました。。。
カフェの終業時間はとっくに過ぎて、いつの間にかマスターまで隣で頷いてるし。
もちろん、予定していた夕方からの用事はぶっ飛んだ。

おっちゃん:「もう待てないんだよ。
       こっちは急いでるんだ

               今日にでも結婚を早く決めて明日報告に来い。」
キ :「明日はここのカフェ定休日やし、ねえ」
マスター:「いいよ。店開けるよ」キラッ

ウ・キ ;心の声(マスタぁぁぁぁーーーー!!!!泣)

日もとっぷり暮れた夜になってやっと店を出れた私達。

車の中で
あのおっちゃんはなんやったんやろ、と話す道すがら
気づいてしまったのです。

朝から、これまた初対面の見ず知らずのご婦人から言われたことを。

「いい? 何があっても大丈夫だからね。
 大丈夫だからね。 大丈夫よ。いいわね。」

これかぁぁぁぁあーーーーーーーーー!!!!!!!!
このことやったんかぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!




ウスとキネ 5  トドメの一撃 編へ 続く




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