アルマートイフェル【最終話】
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鶴松町の公園は雨上がりの陰鬱とした臭気のせいもあってか、心なしか空気もぼんやりと霞んでいるように見えた。
ちょうど今から一週間前が夕美の誕生日だった。入り口に僕が手向けた彼女への献花が、随分と萎れてはいるものの、辛うじてまだそこに残っていた。公園の右手に手狭な砂のグラウンドがあり、左手にいくつかの遊具が点々としている。鉄棒、雲梯、ブランコ、すべり台。入り口から見て、それらの一番手前にそびえ立つ三メートルほどの、小さな城を模したかのような木組みのアスレチックの天板の