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アートの探索遠足#005 オンライン対話型鑑賞

こんにちは、臼井隆志です。今日は「アートの探索遠足」のお誘いです。「アートの探索」マガジンの読者の方とアートを通じた学びを体験する、ゆるいイベントです。

このマガジンは、子どもが関わるアートワークショップを専門とする臼井隆志が、ワークショップデザインについての考察や作品の感想などを書きためておくマガジンです。週1~2本、2500字程度の記事を公開しています。

開催概要

日時:5月23日(土) 11:00~12:30
会場:ZOOM+MURAL
内容:オンラインで対話型鑑賞における「ブラインド・トーク」を実践する。11:00~11:10 イントロ+自己紹介
11:10~12:00 ブラインド・トーク
12:00~12:30 リフレクション

見えない人に絵を語る「ブラインド・トーク」

今回のアートの探索遠足は、オンラインで「ブラインド・トーク」という手法を使った鑑賞・対話の活動をしたいと思います。

ブラインド・トークは、2人1組で行う活動です。やり方は以下の通り

①「絵を説明する人」「絵を想像する人」に役割を分けます。「絵を想像する人」は絵を見ることはできません。

②「絵を説明する人」は、5分間で絵に描かれているものを言葉だけで伝えます。「絵を想像する人」は相槌を打ったり、説明したりしてOKです。

③その後、10分間でリフレクションをし、ブラインド・トークをうまく行うコツについて検討し、全体で共有します。

④ターンを入れ替えて、別の作品でもう一度行います。

⑤もう一度、ブラインド・トークをうまく行うコツを検討し、全体で共有します。

1時間ほどこちらの活動を行ったのち、「見えない人に絵画を言葉で語ることの難しさと面白さは何か?」「見えない人に絵画を語ることとあなたの生活・仕事との共通点は何か?」と言った問いでふりかえりをします。

この「ブラインド・トーク」という方法は、日本における「対話型鑑賞」の研究・実践の最先端をいくチーム「ACOP」でも採用されている対話型鑑賞の練習プログラムです。

また、この論文「視覚障害者との対話を通した美術作品鑑賞の実践(安斎・平野・山田・塩瀬,2018)」でもその意義が紹介されています。非常に興味深く、オンラインコミュニケーションにおいても重要な視点をくれる論文なので、ぜひご一読いただきたいです。

なぜオンラインで「ブラインドトーク」なのか?

さて、なぜこのような活動をやりたいと思ったのか、理由を書きたいと思います。

ぼくは2020年3月末から完全リモートワークに切り替え、1ヶ月以上オンライン上でのコミュニケーションをとりつづけています。

毎日ZOOMで仕事を進めていると、目(画面・画像・映像)と耳(声・言葉)だけで世界とつながっている感覚が芽生えています。それは、リモートワークをされている皆さんも同じかもしれません。

そのなかで、言葉の使い方に強い制約がかかっているのを感じます。

対面であれば、たとえば手元で何かをいじることで不安を表現したり、前のめりになって話を聞くことで興味を示したりすることができました。しかし、オンラインではそうした身体による表現ができません。そのような制約のなかで、感情の機微を言葉だけで伝えることが難しくなっています。

語り難いことを言葉で他者と共有するために

その困難に向き合うなかで、ぼくたちの「話し言葉」のあり方が変わったと感じています。

人によっては他者と会話の文脈を共有するためによりロジカルに話すようになったかもしれません。あるいは感情の機微を伝えるために比喩表現やレトリックを多く用いるようになった人もいるでしょう。

ロジカルな言い回しにしても、比喩を用いたとしても、創造的な仕事をするためには、自分の頭の中の、なんとも言いがたい感情や感覚のニュアンスを他者と共有していく必要があるでしょう。オンラインでの作法を探求し、共有していく必要があると感じています。

ブラインドトークは絵画作品という語り難いものを言語のみで伝え合うという強い制約がかかった活動です。しかし、だからこそ、この活動にはオンライン時代に伝わりづらくなっている感覚の機微を伝えるための、言語実践のヒントが眠っているように思うのです。

これは、前回の「オンライン対話型鑑賞×3ピースダイアログ」を実践した際に中心にあった「どうすれば、この制約の中で良い対話の場を作ることができるのか?」という問いを探求するものです。

前回のレポートはこちら

感覚の機微を伝えるための、言語実践のヒントを、このワークショップを通してともに探索したいと思っております。オンラインでのブラインド・トークを、ぜひ実験しましょう。

参加をご希望の方は、本マガジン「アートの探索」をご購読の上、下記の参加手続きにお進みください。

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参加方法はこちら

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