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「魅力」とは何か

「アトラクション」という語には、「引きつけること」「魅力的なもの」という意味がある。

そう考えると、遊園地のジェットコースター以外にも、日常のいたるところに「アトラクション」は存在する。

子どもの頃を思い出してみる。道ばたの草や虫、よじ登れそうな物置、偶然見つけた捨てられたFAXなど、「アトラクション」はそこらじゅうにあった。

ワークショップは、このような意味で「アトラクション」でなければならない。なぜなら、そのテーマや内容に魅力がなければ、人々はより踏み込んだアクションを起こさず、没入が生まれず、記憶される経験にならずに終わってしまうからだ。

ワークショップでも、美術展でも、商品やサービスでも、人が何かをデザインするとき、誰しもがその物に「魅力」を込めようとするだろう。しかし、「魅力」とは何か?それはどのようにして作り出すことができるのか?といった問いについては、あまり取り上げられることがないように思う。

ぼくの場合シビアなのは、子どもが参加するワークショップにおいては、子どもが魅力を感じられるものでなければ子どもは参加しないし、その場に足を運んだとしても、つまらなくて飽きてダレてしまう。あるいはつまらなさを我慢しながら参加する。

そんなのぼくは嫌である。子ども自身が魅力を感じ、没入し、振り返ったときにさまざまなことに気づいて欲しい。

このように素朴に「魅力とは何か」を問い直しながらワークショップをデザインすることは、その場を良いものにするために必要なのである。

というわけで、今日は発達心理学者ヴァスデヴィ・レディの言葉を引きながら、「魅力」とは何かについて考えたい。

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