002アートの探索遠足

アートの探索遠足#2 アーティゾン美術館

こんにちは、臼井隆志です。今日は「アートの探索遠足」のお誘いです。「アートの探索」マガジンの読者の方と、リアルな場でアートを通じた学びを体験する、ゆるイベントです。

このマガジンは、子どもが関わるアートワークショップを専門とする臼井隆志が、ワークショップデザインについての考察や作品の感想などを書きためておくマガジンです。週1~2本、2500字程度の記事を公開しています。

今回は、アーティゾン美術館へ!

今回の「遠足」の目的地は2020年1月に新しくオープンした「アーティゾン美術館」です。

こちらの美術館の元の名前は「ブリヂストン美術館」といいます。

あの自転車で有名なブリジストン社の創業者が設立したものです。ブリヂストンは、かつての西武美術館やPARCO劇場などを運営するセゾングループなどと並び、日本の芸術文化の活性化に大きな役割を果たしています。

このブリヂストン美術館が2020年以降における美術の意義を問い直し、コレクションの幅を広げた活動を行うために、数年かけてリニューアルをしました。

リ・オープン初年となる2020年は、コレクション展を皮切りに、4月からはベネチア・ビエンナーレ2019の日本館の帰国報告展、鴻池朋子展、パウル・クレー展を同時開催するなど、精力的な展開を予感させてくれます。

また、ウェブでのチケット予約という個性的なシステムも注目です。ふらっと行く美術館のチケットカウンターで行列することってしばしばありますよね。それを回避する目的なのだと思うのですが、特徴的なUXです。音声ガイドの無料ダウンロードも注目の試みです。

コレクション展の”価値基準”を見る楽しみ

美術展にはいわゆる「企画展」とは別に、美術館が収蔵している作品を会期ごとに入れ替えながら公開する「コレクション展」(あるいは常設展)があります。

「コレクション展」を見る楽しみは二つあります。

一つめは、シンプルに名作とされている作品に出会えることです。ゴッホ、セザンヌ、モネ、ピカソ、フジタ、東山魁夷など、言わずと知れたレジェンドたちの絵画の本物の筆致を見ながらその魅力/非魅力に思いを巡らせるのは、とてもリッチな時間です。

二つめは「この美術館は、どのような価値基準でこの作品をコレクションしたのか」を考察することです。

「コレクション」を日本語で言い換えると「蒐集(シュウシュウ)」です。単に気に入ったものを拾い集める「収集」とは異なり、独自の価値基準を持って体系的にものを集めていくことを「蒐集」と呼ぶそうです。

作品の「蒐集」とは、価値づけられたものを集めるだけでなく、過去の名作・現代に生まれている傑作を新しい”まなざし”で問い直し、編み直していくものでもあると言えます。

その美術館(あるいはその裏にいる経営者や文化政策の意思決定者)が、どのような価値基準でコレクションを作っているのかを体感することも一つの楽しみです。

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