「探索×ごっこ遊び」は最高の経験
こんにちは。ワークショップデザイナーの臼井隆志(@TakashiUSUI)です。今日のテーマは「探索×ごっこ遊び」です。
空想の世界のなかで、手や全身の感覚-運動をたっぷり経験できる遊びこそ、最高の遊びであると考えています。
目次
・探索とは
・ごっこ遊びと探索行動
・空間の探索
・「秘密基地ごっこ」の魅力
探索とは
探索とは、見て、聞いて、手や全身を動かして世界を知ろうとする行動のこと。「感覚-運動経験」とも言い換えられます。
「探索」は、身体に情報を入力する「感覚」と、身体に指令を出す「運動」によって行われます。運動によって感覚が生じ、感覚によって運動を調整するという相互作用があります。
たとえば、今この文章を読んでいるみなさんの手で、スマートフォンの触り心地をたしかめてみてください。「撫でる」という運動によって「つるつる」という感覚が生じたと思います。これはスマートフォンの表面の材質を知ろうと探索したと言えます。
このように「物を知ろうとする探索」だけでなく、他人の顔色や声の調子を聞き分けるなど、「他者を知ろうとする探索」や、ちぎったり組み合わせたりして「物を加工しようとする探索」も活発に行われます。
ごっこ遊びと探索行動
こうした「探索」に、物語や見立てがかけ合わさったものが「探索×ごっこ遊び」です。たとえば、ままごとのなかで「ミルクを用意する」というシーンがあったとします。だいたいは空のコップなどを使って「ふり」をするだけのことが多いと思います。
もしそこに水があり、白い絵の具や砂で濁らせることができたら、よりリアルな「ミルク」に近づけることができます。
こうした素材の探索によって、見立てが豊かになり、ごっこ遊びが加速します。砂+水+容器が使える公園の砂場は、探索とごっこ遊びのオアシスですね。
空間の探索とは
「探索」はあらゆる経験のなかで行われています。人の顔色を伺う(視覚/眼球運動)、しゃべる(聴覚/口や喉の運動)、食べる(視覚、味覚/目、手、口の運動)などにも、探索が含まれています。
なかでもぼくが注目しているのは「空間」の探索です。空間と身体を相互作用させる探索活動は、ソファによじ登る、机の下に潜り込むなど、ハイハイをしはじめた赤ちゃんからよく好みます。
こうした空間の探索に、ごっこ遊びがかけ合わさると「秘密基地ごっこ」になります。物理的に区切られた空間を見つけたりつくったりして、「家」や「部屋」に見立てる遊びです。
秘密基地ごっこの魅力
「秘密基地ごっこ」には、3つの探索活動があります。
1つは「サイズの探索」。空間に合わせて身体を小さくしたり、逆に空間を大きくしたり。
2つめに「用途の探索」。空間のかたちを壁や屋根、椅子やベッドに見立てます。
3つめに「加工の探索」。布や板をとりつけて、屋根や扉につくりかえていきます。
身体の感覚-運動経験を豊富にふくみながら、自分の居心地のいい空間をつくり、仲間と共有する物語あるいは自分だけの空想の世界をひろげていくことができる「秘密基地ごっこ」は、最高の遊びの1つです。
みなさんが子どものころに経験した「秘密基地ごっこ」を教えてください
さて、というわけで、前回にひきつづきLINE@ではみなさんが過去につくったことのある「秘密基地」のエピソードを募集しています。さまざまなエピソードから「ごっこ遊び」のなかで子どもたちはどのような「探索」をしてるのか、ひもといてみたいと思っています。
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赤ちゃんの探索 ごっこ遊びシリーズ 連載
・「遊んでもらう」から「遊んであげる」へ
・「ごっこ遊び」はなぜ高度な遊びなのか
・「リアルごっこ遊び」の可能性
・大人に近づく実感 発達の最近接領域とは
・「探索×ごっこ遊び」は最高の経験
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