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連載:都市空間生態学から見る、街づくりのこれから

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2015〜2020年にかけてNTT都市開発・東京大学Design Think Tank(DTT)・新建築社の3者で行われた共同研究「都市空間生態学」の紹介と、それに紐づく「いま考…
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#温度あるデータ

温度をつくることからしか、街まちづくりははじまらない|都市空間生態学から見る、街づくりのこれから vol.5

文:木内俊克 前回、前々回と扱ってきた「温度あるデータ」と街づくりについて、ここまでの流れをふりかえっておこう。 人びとが感覚や感情で捉える様々な情報のことを、ここでは「温度あるデータ」と呼んでいる。 誰かの記憶や想像にふれ、まだ知らない世界の感じ方や捉え方を経験することができれば、もっと街が楽しくなるはず。 データの向こうに人の営みを感じる「温度あるデータ」の街づくりでの活用は限定的だが進んでいて、Decidimによる合意形成や位置情報ゲームINGRESSなど、発展

都市とデータと私たち|都市空間生態学から見る、街づくりのこれから vol.4

文:木内俊克 前回の記事で、都市空間生態学の研究が発足した当初からテーマとして扱ってきた「温度あるデータ」とはどんなものかについて触れた。 ​ふりかえり: 人びとが感覚や感情で捉える様々な情報のことを、ここでは「温度あるデータ」と呼んでいる。 誰かの記憶や想像にふれ、まだ知らない世界の感じ方や捉え方を経験することができれば、もっと街が楽しくなるはず。 だからこそ、街の人びとの「温度あるデータ」を記録・可視化し、人びとに還元することも、街づくりと言えるのではないか?

「温度あるデータ」とは何か?|都市空間生態学から見る、街づくりのこれから vol.3

文:木内俊克 今回から3回にわたって、都市空間生態学の研究が発足した当初からテーマとして扱ってきた「温度あるデータ」について取り上げたい。これが掘れば掘るほど面白い、実に奥深いトピックなのだ。 ここでは温度という言葉を用いているが、つまりは人びとが感覚や感情で捉える様々な情報のことを指している。こうした一見ふわふわと捉え所のないようなものを、我々はどのようにデータとして扱い、記録し、視覚化し、そして街に住まう人びとに還元できるのだろうか? そんな問いを出発点に、まずは「温