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苦悩の末のお気に入り
ニット物って難しい。
僕は毎年毎年、素材感、ボディ、重量。
本当に難しい。
それに加えて、今年はちょっとハードな気分とか
ライトな感じで攻めたい。
アウターも頭に入れながら編集すると本当にパンクする。
さまざまなお客様と話を交えていても同じ気持ちの方々がちらほら、、、。
店頭でもお客様個人の解答が見出せてないと
「どういうのがいいですか。」
そう聞かれても自分にもわからないんだよな、、、。
僕自身がお客さん時代の時もこういうことを常に感じていました。
特にニット。
こいつは、ちとめんどくさい。
素材に形に重さに色味に、はいはいはい。
トレンドまで混ざってきたら、ややこい。
さて、前置きが長くなりましたが早速本題。
”俺らの正解ニットはなんぞや!?” です。
各々の癖を徒然書き出していくので気になるものがあれば是非。
それでは。
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![](https://assets.st-note.com/img/1703063822145-7YZcSTxpVR.jpg?width=800)
No.1 「今年は若干の癖あり、王道ニット」
Unlimited-lounge-でも定番化されている
BATONER : SOLID WOOL RIB CREW NECK
昨年は、SIGNATUREモデルのラグランスリーブに
リブ有りのアイテムを
セレクトしておりましたが
BATONERのシグネチャー”SOLID WOOL"の
糸を採用しつつ、
変更点として袖がセットインスリーブ。
袖先、裾がリブなしの仕様へ変更されたものづくりに。
僕の印象としては
より構築化されたSIGNATUREモデル。
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構築化と簡単に言われてもパッとはしない。
細かくいうと印象的なのはセットインスリーブ。
アームと身頃で生地が分けられ、肩幅が決まる。
それによりボディに沿ったナチュラルさがなくなり硬派な印象へ。
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プラスでリブなしの提案により、ドレープの効いた
しなやかな落ち感。
従来のニットにはない新鮮さも感じられる1着かと。
どしっと構えた7Gによりダレずらく、
物足りなさもない。
スウェットを普段着の方でも
程よい違いの出るニット。
毛玉も出来づらい、BATONERオリジナルの生地。
ガシっと着用したい方へ提案したい1着になっております。
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![](https://assets.st-note.com/img/1703144039470-qGrOyO9MFv.jpg?width=800)
それでは2着目。
![](https://assets.st-note.com/img/1703071281360-GILX6wwTcV.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1703071524434-PRCuyJByGJ.jpg?width=800)
No.2「ついにここから生まれちゃった、10G?の伝家の宝刀」
BATONER繋がりということで、INNOCENT CASHMEREによる
RIB CREW NECK KNIT。
今季からUnlimited-lounge-から提案されたカシミヤシリーズ。
先にご紹介すると、畦編みではないタイプもございます。
寒暖の差が激しい環境で育った
希少な第一級のカシミヤヤギから
更に均一性のある部分だけを厳選した
イノセントカシミヤを使用した一着。
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紡毛のカシミヤを使用しながら、毛羽が立ちすぎていない
すっきりとした風合いが特徴。
細リブながらも目面がしっかりとしている
美しい表情も楽しめる1着。
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ショルダーにはサドルショルダーを採用。
クラシカルなディテールを取り入れながらも
身幅は若干広め
リブのキツさも程よいさじ加減の
デイリーユース仕様。
ベーシックフィットながらも適度な緩さもある
そう、大人がサラッと着用するのに
程よいバランス感。
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リブ網により、程よい中肉な生地感。
奥山さんにお聞きしたのですが
この生地の肉感を表現するために
特別な製法を取ったとか、、、。
カシミヤのリブ網だからといってごわつかないし
秋口から冬まで幅広く着ていける。
バトナーならではの極上バランス。
それに加えて、均一性のあるカシミヤは
適度な緩さを兼ね揃えているのにも関わらず
落ち感の美しさも光るものがあるかと。
最高級の素材を使うから良いというわけではなく
どう製作するか、どう調理するか
ここの舵の取り方の大切さを是非袖を通して感じていただきたい。
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ん?僕は買った、うん買いました。
それでは、No.3へ。
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![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/125127731/picture_pc_c535c58b3e59a4c3081248b7e357a9c0.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/125127733/picture_pc_fc743298d5a376ab67e766ac3e26a22e.png?width=800)
No.3「これであなたも虜?ストレスフリーのエアリーニット」
お次はカシミア繋がりでBlurhmsからの鬼の着心地 Fur Cashmereです。
柔らかい肌触りに魅力的な着心地が光る
プロダクト。
編地を縮絨する際の温度と時間を
職人の感性を見極め、
1枚ずつカシミヤの風合いを最も醸し出し、
起毛とはことなる繊維を痛めつけないで風合いを出しています。
この繊維を痛めつけないことにより、
糸一本一本が毛足立たないため
ファー素材のボリューム感があるにもかかわらず
着ると驚く軽量感。
![](https://assets.st-note.com/img/1703151103451-bSL1CGFewC.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1703151182435-NJf0So0WSl.jpg?width=800)
そして物好きさん、
大興奮のホールガーメント仕様。
”東洋の魔術”とも言われるこの製法は簡単に言うと
「無縫製」という意味で、
縫い目が出来ない編み方。
通常は前身頃、後身頃、袖などパーツ別に作った生地を縫い合わせて一着の服を作りますが、ホールガーメントは専用の機械で1着の服を編み上げます。
我らが日本「SHIMA SEIKI」が独自に開発した網機。
この製法により、
ボディへのフィット感がかなり高くなり
縫い目がないためゴワつきがないものに仕上がっています。
ここまで綺麗に着れるニットは
数少ないと思いますが
このニットの美しさは、素材感と製法の合わせ方の上手さと自分は感じています。
![](https://assets.st-note.com/img/1703152092350-nsv2T6ZGkz.jpg?width=800)
ファー素材のニットに対して、色提案がMix Feather,Heather Charcoal。
前に出やすいファー素材でこの色味提案は、ものにもよりやすいが
野暮ったい男前な印象になりやすいと思います。
そこでblurhmsでは、カシミヤという細繊維、ホールガーメント
それに加えて、ブランドらしい首の詰まり具合。
止まらなくなるので、これは着て実感していただきたい。
一度袖を通すと病みつきになりますよ、、、。
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プラスで嬉しい、袖先がサムホール仕様
アウターとのMIXにも持ってこいの逸品。
プレーンに使いたい方は折り返していただけると良いかと。
それでは、視点を変えたNo.5へ。
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No.5「着こなしの遊びに。職人技が光る、迫力の1着。」
昨年、僕個人としてもお世話になったもの。
POSTELEGANTによる手編みシリーズ。
Natural Wool Hard Knit Crew Neck
昨年から多く言葉にしているクラフト感。
これが目に見えて導入できるのがこの子。
偏見語りすると、僕個人としてカウチンニットがすごく好きで
詳しく知らない方は下記を読んでいただけると、、、。
カナダのバンクーバー島に住む「カウチン族」が狩猟の際に着ていたと言われるセーターが発祥となっています。
脱色や染色をしていない羊毛を使っているのでグレーや茶、アイボリーなど「羊毛そのものの色味」が特徴です。極太の糸で編まれたローゲージのセーターは伝統的な動物のモチーフが編み込まれてます。
狩猟時の「防寒性」と「防水性」を重視しているため、脱脂をしていない(油が残った糸)で密度を詰めて編まれるためセーターの重さは1着あたり1.5kg前後あります。(写真1枚目のセーターはメンズのLサイズ相当で1.65kgありました)
本物のカウチンにはカナダでは認定制度もあります。
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私物になりますが写真だとこんな感じ。
これもまた手編みの一種でカウチン網みという手法で編まれています。
僕の私物は近代のもので染めが入っていますが
ほとんどが脱色や染色をしていない
羊毛を使っているので
羊毛の雰囲気がいい味を出すんですよ、、、。
しかし、難点がチクチク感にタイトな設計。
そして素材のカジュアル感。
野暮ったさも相まって、個人的には着こなしが難しい、、、。
話が逸れましたが、そう。
POSTELEGANTも同様の手編み、そして無染色糸。
![](https://assets.st-note.com/img/1703155405289-37mC8kgZUP.jpg?width=800)
そしてね、本当に芸が細かいんですよ。
手紡ぎ風にランダムな撚糸を施しており、
網地にした際に
自然なムラとネップのような演出。
そしてこの襟ぐりもそうですが
袖先、裾には敢えて
糸を強く撚り、生地が巻き返してくるように設計。
野暮ったさの中に可愛さのあるディテール。
たまりませんね。
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無染色のナチュラルな生地に手編み。
かなりカジュアルなアイテムかと思われやすいですが
ここにきて胸ポケット採用のモダンな演出。
これにより、ウールギャバジンの面のいいスラックスや
意外にデニム等の普遍的なものづくりでもモダンなスタイリングに。
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襟ぐりがルーズな作りなので
レギュラーシャツやバンドカラー噛ませて
より現代的な見せ方は今季やっていただきたい。
プレーンなアイテム以外のニットをお求めの方へ
是非提案したい1着。
僕は昨年のものを持っていますが、
着心地もライトになり
より着やすいものとなっているかと。
それではラスト、あのブランドNo.6。
![](https://assets.st-note.com/img/1703156929068-tMpu6m5EfE.jpg?width=800)
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No.6「流石の色彩感覚。儚さも感じられる1着」
毎シーズン、LEMAIREのカラーパレットを見ると
あっ、ルメールっぽい。
自然とそうなる方が多いのでは。
今年のカラーは、うちではこのカラー。
"MEADON MELANGE"
MEADONとは、草原を意味します。
草原といえば、さまざまな植物たちが存在し
統一感のある一帯ではあるが、複雑化された景色。
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流石の一枚。
巧妙に編み込まれた編み地。
複数の色の糸を使い表現された
唯一無二のカラーリング
派手さがない色味だとのっぺりしやすいが
じんわりと深みが滲み出る豊かな風合いのあるものに。
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表面は手作業で起毛させたモヘアウール。
裏面はこのように起毛感がないため
モヘアウール特有のチクチク感も
かなり軽量化されているかと。
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そしてディテールは、
縦落ちが綺麗なドロップショルダーを採用。
全体のシルエットは縦長の美しいシルエット。
無理なリブの締まりはなく、
生地の豊かさを活かした
ドレープ感が癖になる。
首元のリブはダブルリブで
仕上げられたオープンカラーネックにより、
僅かながら縦長い形状を強調。
カントリー調のファブリックながらモダンな仕様に仕上がっているかと。
カントリーな雰囲気だからこそ、メンズらしい無骨なカーゴパンツ等で合わせていただくことも◎
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ここまでお読みいただいた方ありがとうございます。
思ったよりもかなりの長編になってしまいました、、、。
まだまだ店頭にはたくさんの洋服がありますが
何か一つでも心に響くものがあれば幸いです。
各々のブランドが企画する物は
良くも悪くも違っていきます。
ご自身がどのようにどんなふうに着られていくか。
そこは僕たち洋服屋の使命だと感じているので
もし何かとありましたらご一報ください。
毎年頭を抱える洋服ですが、悩んだ末のアイテムは
かなり着込むと実感しているので
是非たくさん悩んでみてください笑笑
これを読まれた方が気にいる1着に出会えることを楽しみにしています。
UNLIMITED 牛丸
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