ジェンダーギャップ指数を用いて男女格差を解消しようとするならば、誰も幸せになれない

橘亜季さんが良い記事を書かれてます。

で、そもそもの話なのですが、過去にも再三書いたように、ジェンダーギャップ指数は、ほぼエスタブ界隈における男女格差を数値化しているだけであって、出世競争に関心のない一般的な女性にはほとんど関係のない数値です。性暴力やセクハラの多寡なども加味されてませんし、家庭内における家事・育児の分担についても加味されていません。だから、一般的な女性の幸福度とはほとんど関係がないというのは、最初から自明なわけです。

そして、「出世した人が偉い」「人の上に立つ人が偉い」という価値観は、乱暴な言い方をすると、これは男性的な価値観だと思います。

違いますかね?「それは"男性優位社会"が我々に押し付けているジェンダーロールだ」という反論が返ってくるでしょうかね?

わかりました。じゃあ「出世した人が偉い」「人の上に立つ人が偉い」という価値観は、男性特有のものではありません。だから、女性をどんどん登用・抜擢するべきです、ってことにしましょうか。

でも、そういう価値観の下で抜擢された女性って、今の「男性優位社会」の中で勝ち上がってきた男性と、何か違いますかね?「女性ならではの視点」なんて、持ってますかね?

そもそも、「男性優位社会が我々に押し付けているジェンダーロールが存在する」と主張する人が、同時に「女性ならではの視点」を主張するのは、矛盾しているように思えます。

繰り返します。ジェンダーギャップ指数は、そもそもが「男性的な価値観」に基づいて作られた指数です。少なくとも、私はそう考えます。女性が男性のように出世し、女性が男性のように指導者となることを評価する指数なのですから、女性的な、と言っていいかどうか分かりませんが、従来とは異なる価値観が提示されているわけではありません。

また、これも以前から再三指摘していることですが、ジェンダーギャップ指数は、政治家や管理職、専門職の女性の割合を評価しますが、投資家、株主、起業家の女性の割合はまったく計算に含めてません。

ですから、政治家や管理職における女性の割合が増えても、女性の価値観(なるものが存在するかどうかはともかく)が反映された社会には、おそらくなりません

いささか陰謀論っぽくなってしまいますが、これだけ明らかに欠陥のあるジェンダーギャップ指数を殊更に取り上げ宣伝するマスメディアには、男女格差を解消したいという目的とは別の目的があるような気がしてなりません。それが何なのかはわかりませんが。

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