三原じゅん子議員は間違ってない。
参議院議員の三原じゅん子氏が「政権を握っているのは総理大臣だけ」と投稿した4日のツイートが大きな反響を呼び、同日から5日にかけて多くのコメントが書き込まれた。
とありますが、コメントの大半は三原議員を非難するコメント。「議員なのに無知すぎる」「議院内閣制を知らないのか」「安倍は独裁だったのか」etc。
こんな記事ばかり。おいおい、議院内閣制を理解してないのはおまえらだろ。
法律・憲法の上では与党も野党もない。
まずは、三原議員のツイートを。
まあ、誤解を招きやすい表現ではあるのかもしれませんが、言ってることは何も間違ってません。国会議員は立法府の構成員であって、行政府の構成員ではありません。
国会議員は選挙によって内閣総理大臣を選出します。(憲法67条)
内閣総理大臣は、国務大臣を任命します(憲法68条)。また内閣総理大臣は、国務大臣を罷免することができます(憲法68条の2)。
行政権は内閣に属する(憲法65条)。
内閣の顔ぶれを決めるのは内閣総理大臣の専権事項ですから、内閣=内閣総理大臣と言っても過言ではないわけです。総理に逆らう閣僚は自由にクビにする権限を、憲法によって与えられているわけですから。
マスメディアなどでは「政府与党」「政権与党」という言葉が頻繁に使われますので、「政府(政権)」と「与党」の区別がついてない人が大勢いるようですが、少なくとも憲法上は与党と野党の区別などはないですし、与党は立法府のポジションから内閣(行政府)をサポートする勢力というのが正しいです。それに対して、立法府のポジションから内閣を批判するのが野党、ってところでしょうかね。
なお、与党総裁(=党首、代表)が総理大臣に就任するケースが多い(というか、ほぼ100%)ですが、憲法上は国会議員であれば別に誰が総理大臣になっても良いわけです。
長く政治をウォッチしていると、時折「総総分離論」なる話が出てくることがあります。これは「内閣総理大臣と自由民主党総裁を別々の人に担当してもらおう」という主張です。憲法上は可能ですが、一般的には、与党党首が総理大臣を務める、というのが慣例になっているのです。
また、「安倍四選」という話題についても少し触れておきます。
このニュースをもって、安倍総理を中国の習近平のような独裁者と同列に語る向きがあります。
習近平が延長したのは「国家主席」の任期です。国家主席というのは、要するに大統領のようなものです。
一方、安倍総理が2017年に一度延長し、再び再延長するのでは?と言われているのは、内閣総理大臣の任期ではなく、自由民主党総裁(党首)の任期です。
政党の党首を誰にするかは、国民の選挙ではなく、その党が自由に決めてよいものです。自民党の場合は、党員と国会議員の投票による選挙で決めています。日本共産党の場合は・・・?なんか20年もずっと同じ人がやってますね(笑)
自民党総裁の任期は3年で、以前は2期までしか連続で務めることができないとなってましたが、2017年に、3期まで務めることができるようになりました。これを、さらに4期まで務めることを可能にしようというのが、「四選」の意味です。ちなみに、このルールは法律ではなく自民党の内規にすぎませんから、野党がとやかく言える筋合いのものではありません。
では、内閣総理大臣の任期は?実は決まっていません。内閣総理大臣は国会議員でなければならないので、選挙に落選したら自動的に総理大臣ではなくなります。なので、総理大臣の任期は最長4年(参議院議員の場合は6年ですが、今まで参議院議員から総理が選出された事例は1件もありません)ですが、任期制限がないため、選挙が終わる度に国会で総理大臣に選出され続ければ、死去するまで総理大臣を続けることは、論理上は可能です。