見出し画像

アクティブ投資は死んだのか?

アクティブ投資は死んだのか?

アクティブ投資が死んだ時代はガチホというお話がにわかに活気づいてきました。争い事が大好きな個人投資家界隈もこぞってお気持ちを表明しています。

ただ、主張の内容をよく見ると「アクティブ投資が死んだ」というより「そこそこ大きいファンドは指数に勝てなくなった」というべきでしたので、主張・反論双方共に若干勇み足な印象です。
行われたシミュレーションの内容は不明ですが、単一ストラテジーで指数に劣後するということであれば、ファクターの回帰性・連動性が強くなったことと情報の非対称性がなくなりつつある昨今を踏まえれば分からなくもありません。

アメリカの方でもパッシブ傾倒や短期的なクオンツ運用が問題になっており、著名投資家アインホーン氏が昔日のバリュー投資家のような泣き言を言い始めました。

とはいえ、日本のアクティブは比較的指数に勝っているというデータもあるため死んだというのも言い過ぎな印象ですし、日銀がETFを買い占めている時にアクティブ投資は死ぬどころか元気一杯だったのでパッシブ傾倒を十字架に打ち付けるのも筋が良くありません。

高い給料を払って人を引き抜いている流行中のプラットフォームファンドなども指数に負けるのが珍しくないため、アクティブ投資が死んだと言うのもある意味正しいのかもしれませんが、そういうところは平均して見ると割と昔から指数に負けていることが多いので急に市場が変わったというのも難しいのではないでしょうか。

情報の非対称性が大きく減少したのは事実ですが、例えば機関投資家がよくアピールするリスク管理などはそもそも適切だったかと言われると疑問です。
リスク低減の名の下に無駄に分散して、ファクターだけ見てリスク管理をしている気になり、いざ指数が下がったら保有株を売らされるといったケースも多く、リスク管理者がリスクの中身を理解せずに足を引っ張っていることの方が多いのではないのでしょうか。


そもそも

特定のセクターだけが過剰に上がるのは株式市場の風物詩です。
パッシブ傾倒に水準を押し上げる効果があるのは事実ですが、特定のセクターだけが強いのは大体1-2年で賞味期限が切れるのでのんびり待っていれば良い気がします。

価格発見能力が息をしていないと言われても、過去に投資家が持て囃した企業でもただの特需を過剰に織り込んだだけといったケースも多く、1年後を見れば割安だが3年後を見れば妥当ということに目をつぶるのが価格発見能力やファンダかと言われると違うのではないでしょうか。

もちろん、ストラテジーそのものが駄目になっているケースも多くあります。個人投資家界隈でもファンダが効かなくなったという声が多く、時代が変わりつつあるという認識が広く持たれているのは否定できません。

指数に勝てないファンドはいらない原理主義の方も居られますが、年金などのアセットオーナーからするとストラテジーの分散が必要な関係上、こういったファンドの需要はありますし、そういったファンドは指数に勝つよりパフォーマンスフィーが減る辛さに耐えながら契約に定められたストラテジーを墨守することが付加価値になります。


アクティブ投資で指数に勝つには

指数に勝つには今のアメリカで言えばM7か半導体といった、指数を先導する株を買って握る必要があります。
もしくは、日本で言えば2023年はバリュー株を買って儲けた後に年末から半導体に切り替えたりするといった、タイミング重視のPF入れ替えを行う必要があります。

タイムスパンをただ長くしたところで意味は無く、例えば最初の2年は横だけど最後の1年で50%上がったと言われても3年平均のリターンは微妙な感じに落ち着くため、仮に当たったとしても結構エクスポージャーを傾けていないと指数に勝てないという問題は解決できません。

また、四半期ベースで指数に負けたからといって年単位で見て勝てる保証はどこにもありません。長く持てば劣後した分が減るという意味では単に指数が横ばいの時に出遅れ株が買われただけのことが多く、ファンダというより握力で稼いでいるというべきでしょう。

もしその一時的な含み損が勝つために必要ということであれば、そもそもリスク管理やポジション管理はその前提に立って行われるべきであり、それができないのであれば運用面で課題があるという話になります。
かの著名ドラマーであるマイケル・バーリ氏は「買った株が10倍になる前に半分になる。その間ひたすら買い続ける」と言われており、ストラテジーとポジション管理は一貫していることが重要なのです。

かつてのバリュー投資家はバリュートラップにハマり続けて死んでいきました。それと同じ光景が別の場所で開催されているというなら市場に変化は無いとも言えます。

ガチホで指数に勝つためには保有期間中の平均年値上がり幅が指数にアウトパフォームする必要がありますが、タイミングを考慮せず今上がらない株を抱えるのであればレバをかけるしか手はないと思います。

リターン改善という意味ではタイムスパンを短くして今上がる株を買う方が重要ですが、大型ファンドがこれをやると自分のトレードで株価を振り回すことになるため最終的な利益が微妙になるというジレンマが辛いところです。
最近の日経平均のように外国人投資家はインパクトを無視して指数を押し上げながら買い上がることが多いわけですが、大型ファンドもあれくらい開き直った方がメンタル面だけで言えば良いのかもしれません。

「いつ株が上がるのか分かれば苦労はしない」という前提に立つのであれば、「長期的に見て伸びそうな株をレバかけて引っ張る」という運用が目指す姿になります。

バフェット氏の笑顔が頭をよぎったので今日はここまでにしておきましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?