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日本選手権を目指す高校生

800mで全国トップクラスの高校生アスリート、私と同じ茅野市の二見優輝君。

数年前まで、同じトラックで一緒にトレーニングをしていたのが嘘のように、今では一緒に走るどころか、ついていくことさえもできません。

2019年は、高校2年生にして、インターハイ4位入賞、国体4位入賞、そして、U18日本選手権では大会新記録で優勝。

そんな二見優輝君と牛山純一が、陸上競技についていろんな話をしました。

「二見優輝」×「牛山純一」

今回のテーマは、
「公立高校に進学した理由」
「日本選手権を目指す」
「高校の校歌、歌える?」
今回は現役高校生との対談を、お届けします。

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二見 優輝(ふたみ・ゆうき)
2002年9月11日生まれ

現役の高校生陸上選手。
長野県茅野市出身。
諏訪清陵高校
専門は中距離種目(主に800m)。
2019年インターハイ4位、国体4位、U18日本選手権優勝
800m:1分50秒31(2019年10月)
全諏訪チームで長野県縦断駅伝に出場(2019年優勝)

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牛山:それでは、よろしく。

二見:よろしくお願いします。
声をかけていただき、ありがとうございます。

牛山:数年前までは、毎週一緒に走っていたのにね。高校生になってからは、種目が違うと言うか、スピードが違うと言うか。

二見:そうですね、800mに特化した練習をしていますからね。

牛山:中学生のときは、1500mや3000mもやっていたのに、高校では長距離はやろうとは思わなかったの?

二見:思わなかったですね。1500mを軸にして考えたとき、800mと3000mとより適性があるのは、800mだと思ったからです。

牛山:今思えば、中学のときに、長距離ベースの練習メニューをやりながら、800mで1分58秒35で走ったことがすごいよね。

二見:当時は、練習メニューはあってないようなもので、単純に走っていれば、速くなれると思ってましたね。

牛山:800mがメインのはずなのに、練習も1000mや2000mばかりやってたもんね。ただ、当時にあまり幅を狭めてやらなかったことが、高校になってから生きているのかもね。

二見:そうですね。それはあると思います。

牛山:今でも、秋には長野県縦断駅伝や、冬には天竜梅花駅伝にも出てるよね。

二見:駅伝は楽しいんです。お祭り感覚で、走ることを楽しむ一環で参加しているのですが、やはり普段の10倍くらいの距離を走るので、なかなか勝つことは難しくて、終わった後は落ち込んでいます。

牛山:10倍だからね、しゃーないね。それでも、去年の長野県縦断駅伝は全諏訪が総合優勝できたし、結果オーライなんじゃないかな。二見君がいなかったら、優勝できなかったんだから、やっぱり走って良かったでしょ。

二見:そうですね、貴重な体験をさせていただきました。

牛山:いいよね、駅伝って。関わった人がみんな「俺たちって強い」って言えるからさ。それが活躍した人も、そうじゃなかった人も、走れなかった人でさえも。

二見:そうですね。

牛山:そして、「俺たちって強い」って言った人のそれからの練習に対するモチベーションって絶対に違うからね。

二見:モチベーションも違いますし、より気合が入るというか、自信が付きましたね。

牛山:その点については、地元の高校に進んだメリットの1つかもしれないね。

二見:そうですね。

牛山:ところで、高校に進学するときに、私立校への選択肢もあったと思うんだけれど、どうして公立校の諏訪清陵高校を選んだの?

二見:理由は2つあっては、まず1つ目は、マイルリレーを走りたかったというのがあります。ちょうど選手も集まっていましたので。

牛山:2019年は、マイルリレーもインターハイに行ったよね。

二見:そうですね。そして、もう1つの理由は諏訪清陵高校に清沢先生がいたことが大きいです。

牛山:ほー。

二見:800mを専門的にやっていく上で、指導ができる人がこの辺りでは、清沢先生くらいしかいないと思いまして。

牛山:清沢先生も800mが専門で、全中(=全日本中学校陸上競技選手権大会)とインターハイの出場経験があるんだよね。

二見:そうですね。中学生時代の陸上部の先生はバレーボールが専門でしたからね。

牛山:そうだね。でも、やたら陸上に詳しかったでしょ。

二見:やたら(笑)。

牛山:彼とは、高校が一緒で同じ学年だったのよ。

二見:先生も牛山さんと一緒だったと言ってました。

牛山:彼は、陸上部でも無かったし、高校のときはあんまり話したことも無かったんだけど、気が付いたら陸上部の先生になっていて、今では大会で審判やってるし、俺よりも陸上に詳しくなっていたんだよね。

二見:全中のときにも、その知識に助けてもらいました。

牛山:予選で、接触して転倒したときの「救済」でしょ。

二見:そうですね。

牛山:彼の陸上の知識は、二見君の全中での「救済」のためにあったんじゃないかな。それが無かったら、準決での1分58秒35は無かったわけだし。

二見:担任の先生で良かったと思っています。

牛山:担任の先生だったんだ。

二見:最強の担任の先生でした。

牛山:バレーボールが専門なんだけどね(笑)。

二見:レシーブの姿勢がとてもキレイでした。

牛山:ところで、諏訪清陵高校の清沢先生の指導は、どんなところがいいの?

二見:清沢先生とは、800mを走るにあたって本質的なところが一致しているんです。

牛山:と、言うのは?

二見:練習の基本がJOGと流しが中心というところですね。

牛山:800mを専門的にやるとなると、JOGもペースが速そうな感じがするんだけど、その辺はどうなの?

二見:JOGは、だいたい5分/kmペースです。4分/kmペースくらいでやる人も多いのですが、僕はゆっくり走る方が自分に合っている気がしています。

牛山:へー。もっと速いペースで走ってると思ったけど、意外と変わらないんだね。

二見:実際に聞いたわけではないのですが、努力値が低くて、かつ効果を得るには、一番良いポイントなのではと思っています。

牛山:「努力対効果」っていうのだね。

二見:そういうことになりますね。余裕を持ってできることが大事だと思っています。

牛山:今年はいろいろあって、走れない期間もあったと思うけど、どのように過ごしていたの?

二見:陸上競技場(トラック)が使えない期間は、人を避けるために早朝や夜に家の周りを走ることが多かったです。運動量の確保のために、今までやらなかった筋トレをやるようになりましたね。

牛山:トラックが使えないと不便だよね。

二見:冬場でも、平気でトラックを使っていたので、使えない状況に慣れていなくて、いくらロードで走っても満足感は満たされないし、現状でどれだけ走れるのかも分からない中で不安でした。

牛山:やっぱり、トラックでタイムを計って走っていないと調子の良し悪しが分からないよね。

二見:今まで、トラックに依存していたことが、ハッキリ分かりました。

牛山:それを踏まえて、変えてみようと思ったことはある?

二見:日常的に、ロードでスピードを出して、ロードでのスピード感覚と自分の実力を同期させようと思いました。

牛山:なるほどね。そこで、駅伝とかやっていたときの経験が生きたわけだ。

二見:そうですね。いっそ、周回が取れる場所があれば、アスファルトのコースでもやりたいと思っています。

牛山:1周が400m~500mくらいの周回コースがあれば、トレーニング場所としては、可能性が広がるよね。

二見:なかなか無いですけどね。

牛山:今後は、どこにモチベーションを向けていくの?

二見:まずは日本選手権出場と、全国高校陸上競技大会2020優勝を目標にしています。

牛山:インターハイ無くなっちゃったからね。

二見:僕にとっては、インターハイの中止はかなり心にきました。他の全国大会とは、何をとっても段違いの舞台ですし、今年は優勝できる力もつけられていると思っていたので、残念でしたね。

牛山:そうだよね。高校生にとってのインターハイは特別だもの。毎年行われる社会人の大会とは、比較にならないと思う。

二見:そうなると、あとは日本選手権くらいしか無いんです。

牛山:800mの日本選手権の参加標準記録は、A標準が1分49秒50で、B標準が1分50秒30だから、今の二見君の持ちタイム(1分50秒31)だとB標準に0.01秒足りていないのか。

二見:そうなんです。8月末の東海選手権で狙っていこうと思います。

牛山:そうすると、東海選手権3位以内に入って、かつB標準(1分50秒30)をクリアーしていこうと。

二見:いえ、狙いはあくまでもA標準です。

牛山:おぉ!!

二見:今年の僕の目標は、長野県高校記録の1分48秒46なので、A標準(1分49秒50)は、その通過点としての位置付けです。

牛山:2010年の川元奨選手の記録を更新しようと言うわけだね。

二見:そういうことです。

牛山:県記録は1つくらい持っておいた方がいいよ。

二見:そうなんですか?

牛山:俺も持ってるからね。

二見:たしかに。

牛山:県記録持っていると、いざという時に、「どうだ!」って威張れるじゃん。

二見:威張る場面なんてあるんですか(笑)?

牛山:未だかつてないね。そして、これからも無いと思う。

二見:ですよね。威張ってる人いたら嫌ですもん・・・。

牛山:そう言えば、二見君、ちゃんと校歌歌える?

二見:ほぼ歌えないです。牛山さんは歌えるんですか?

牛山:1番くらいしか歌えない・・・

二見:そんなもんですよね。

牛山:日本一長い校歌と言われているからね。でも、県高校記録更新したら、甲子園みたいに流れてくるかもしれないじゃん。

二見:えっ、それはマズイですね、1番くらいならたぶん大丈夫なんですけど。牛山さんは県記録更新したとき、流れてきましたか?

牛山:いや、いつもの曲が流れてたと思う。

二見:間違いないですね。

牛山:そのへんの話はまた今度にしようか(笑)。

二見:はい、ぜひお願いします。今日はありがとうございました。こんな感じで大丈夫でしたか?

牛山:二見君がこれからどこを目指していきたいのかが分かったことは、良かったと思う。どんどん上に向かおうとしてるんだなって。雨が降ったトラックでも練習はできるけど、晴れてる方がやっぱり気持ちいいって感じがすごくよく伝わってきたよ。

二見:ありがとうございます。今日は牛山さんと話せて良かったです。楽しかったです。

牛山:どうもありがとう。これを機に、また何かやりましょう。

二見:はい、ぜひ!

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2人の対談は、これで終わりです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

長野県茅野市
2020年7月7日 茅野市陸上競技場にて

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