見出し画像

アルファフライネクスト%


今、巷を賑わせている厚底のランニングシューズと言えば・・・

やはり、「ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%」だろう。

ここでは、名前が長いので「アルファフライ」と省略して呼ぶことにする。

今年の東京マラソンで、大迫傑選手が日本記録を更新したときに履いていたのが、このシューズである。

アルファフライは、厚底シューズの「ヴェイパーフライシリーズ」から、さらなる進化を遂げたソールの厚さが39.5mmの超厚底シューズだ。

今年、WA(ワールドアスレチックス)が、競技で使用されるシューズのミッドソールの厚さを40mm以下に制限したことを踏まえても、厚さが上限いっぱいであることが分かる。

こうやってみると、ものすごく大きく見える。
ただ、ヴェイパーフライNEXT%と比較すると、大きさは同じくらいだ。

重量は、28.0cmモデルで計量したところ、ヴェイパーフライNEXT%が200gに対して、アルファフライは240g(ヴェイパーフライ4%は205gくらい)。

前評判の通り、結構重い。
数値だけを見ると、ペガサスターボと同じくらいではないだろうか。

世の中には、「軽量化に勝るチューニング無し」という格言も存在するくらいなので、この「重さ」は大きな懸念事項だと思う。

さて、実際にこのシューズってどうなんだ?と思う人も多いと思う。

そこで、今回はアルファフライを履いて走ってみた感想を書いてみたいと思う。

今回やってきたのは、茅野市の陸上競技場。
アルファフライはロードでこそ力を発揮すると言われているので、ロードで走ってみればいいじゃないかと思う人も多いかもしれない。

たしかにその通りだ。

ただ、最新のシューズをシェイクダウンするのに、摩耗の激しいアスファルト路面を選ぶのも、なかなか勇気がいるものだ。

というわけで、今回はトラックで1000mを走ることにした。

他のシューズと比較するためにも、プランAによりテストをする予定だったのだが、

<プランA>
1本目は、スパイク(マトゥンボ)
2本目は、ヴェイパーフライ4%
3本目に、アルファフライ

今週に限って、ちょうどヴェイパーフライ4%が出払っていたため、プランBにより実施することになった。

<プランB>
1本目は、スパイク(マトゥンボ)
2本目は、スパイク(マトゥンボ)
3本目に、アルファフライ

1本目、2本目は軽く2分58秒くらいで流しながらの暖機運転。
いよいよ、ここからが本番である。

ここで、アルファフライに履き替えようとしたときに、ちょっとした事に気付く。

足をシューズに入れるのに、すごく時間がかかるのだ。
いざ、足を入れてしまえば何でもないのだが、入り口が狭いというのか、靴ベラが必要な感じなのだ。

アルファフライを履いて、早速流しをしてみたのだが、とにかく跳ねる。

例えるなら、初めてヴェイパーフライ4%を履いたときに感じたのと同じくらいの衝撃だった。

3年前は、薄底のランニングシューズを基準にして、ヴェイパーフライ4%の反発力の凄さを感じたわけだが、

今回は、ヴェイパーフライ4%を基準にして、そこからさらに4%くらい跳ねているんじゃないかという感覚だった(4%×4%だと8.16%かな?)。

ここで驚いたのは、重量240gという重さを全く感じなかったことだ。

早速、1000mを1本軽く流すことにした。
感覚的には2分50秒くらい、そんなに無理はしないで余裕を持って走ることにした。

もっとも、今年はスピードトレーニングが全然できていないので、そのペースでも結構速い方だ。

それにもかかわらず、入りの200mは31秒台で通過。

反発力ゆえの、ストライドが広めになっている感覚があった。
これは、ヴェイパーフライ4%を初めて履いたときもそうだったと思う。

コーナーを曲がってきて、バックストレートへ。

特に意識したわけではないが、1レーンの2レーンの境目を何度かまたぐような走りをしていた。

そのときは、あまり認識していなかったのだが、まっすぐ走れていなかったのだと思う。

強い反発力は、ランナーを真っ直ぐに走ることさえも難しくさせていたのかもしれない。

自動車にしても、ハイパワーのミッドシップレイアウトの後輪駆動車ともなれば、ドライバーの想定よりも曲がり過ぎることがあって、運転するのが難しいという。

以前、頭文字Dというアニメの中でも、戦闘力を上げるためにハチロクにターボチューンを施したドライバーがいた。
その車は、パワーと引き換えにターボ作動時に挙動が乱れてしまう特性があった(いわゆる「ドッカンターボ」)が、それをテクニックで押さえ込んで、車体を揺らしながら走っていた。

アルファフライの反発力は強すぎるのだろう。

そのため、このシューズには2つの「ナイキ ズーム エア ポッド」という機構が搭載されていて、エアーの制御によって、真っ直ぐ走れるようにしているという噂を聞いたことがある。

もし、2つの「ナイキ ズーム エア ポッド」のうちの1つが故障したとすれば、明後日の方向に吹っ飛んでいくのかもしれない。

それだけ強い反発力、レース中に失速するようなことがあったら、とてもコントロールすることは難しいだろう。

さて、1000mのテスト走行は無事に終わって、2分40秒くらいで走り終えることができた。

2分50秒の感覚にもかかわらず2分40秒で走ることができたのだから、シューズの恩恵を受けたと言ってもいいと思う。

シューズに慣れていないこともあり、オーバーストライド気味になってしまったことで、ふくらはぎに負担をかけてしまったのか、1000mを終えた後に流しをしている途中で、ふくらはぎが痙攣しそうだったが、アルファフライはうまく使えば、本当にスゴい力を発揮すると思う。

最後に、アルファフライとヴェイパーフライ4%/NEXT%の違いを何かに例えるとしたら、

ドラゴンボールの「スーパーサイヤ人」が分かりやすいかもしれない。

ヴェイパーフライ4%は、スーパーサイヤ人

ヴェイパーフライNEXT%は、スーパーサイヤ人2

そして、アルファフライは、スーパーサイヤ人3

圧倒的な戦闘力を誇る反面、高い反発力ゆえのエネルギー消費も著しいため、力をコントロールすることが難しく、短時間しか維持できないという弱点の克服が課題かもしれない。

いただいたサポートは、アイシングの財源にしたいと思います。