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Kris Bryantは本当にマリナーズに必要なのか

はじめまして、うしとらと申します。
長かったロックアウトがついに終わり、FA市場は再び盛り上がりを見せています。
そんな中、多くのチームからの熱視線を集めているのがKris Bryantです。
マリナーズファンの間でも彼の獲得を熱望する声は多く上がっていますが、今回はそんな彼についての話題です。

そもそもなぜマリナーズはKris Bryant
を獲得したいのか


マリナーズは2018年オフからの再建期を終え、今季からコンテンダーとして戦っていく。
そんな中で長年サードを守っていたKyle Seagerが引退。
もともと得点力不足が顕著なマリナーズは、サードを守ることができて、なおかつ強打者である選手の獲得が急務でした。
その条件を満たしているFA選手がKris Bryantという訳です。
Bryantは昨季ops.834、通算でも.889を記録している強打者であり、守備もサードだけでなく、ファースト、レフト、センター、ライトを守ることができる器用な選手です。
コンスタントに140試合に出る頑丈さも魅力の一つでしょう。
マリナーズからすれば喉から手が出るほど欲しい選手なのは間違いないことでしょう。

Kris Bryant獲得の懸念点


そんな感じにBryantのことを褒めちぎりましたが、彼の獲得に際して二つほど懸念点があります。
1つ目は、Bryantがこれまで通りの成績を残せるかどうかという点。
これはBryantに限った話ではありませんが、打者不利(特に右打者)のT-モバイルパークにおいて彼がこれまでのキャリアのような成績を残すことは難しいと思われます。
事実として彼は昨季のTDLで打者不利のオラクルパークを本拠地とするSFに移籍し、移籍からシーズン終了時までのopsは51試合で.788。
サンプル数が少ないとはいえこの数字はブライアントにしてはいささか物足りない。
また、直近の成績にも不安は残り、イレギュラーシーズンとはいえ一昨年はops.644を記録し、昨季は復活を見せたとはいえ彼のそれまでのキャリアと比べると物足りない感じではあります。
2つ目はユーティリティ性が生きないという点。
前述の通り、Bryantはサードだけでなく、ファースト、レフト、センター、ライトを守ることができるユーティリティ性でありますが、マリナーズではそれを活かしにくいのです。
まず外野はJarred Kelenic、Jake Fraley、Kyle Lewis、Mitch Haniger、Taylor Trammellそして球界でも指折りのトッププロスペクトであるJulio Rodríguezらで飽和状態にあります。
ファーストも高レベルの守備とops.800程度のバッティングを期待できるTy Franceが既にレギュラーを掴んでいるため、サードを埋めるだけなら彼の価値はマリナーズでは発揮しづらいでしょう。
彼の価値を高くたらしめているのはそのユーティリティ性にもあり、サードを埋めるだけならわざわざ高年俸を払ってまで彼を獲得する必要はないかもしれません。
彼の予想年俸はMLBTR によると6年$160MM、
https://www.mlbtraderumors.com/2021/11/free-agent-faceoff-kris-bryant-vs-kyle-seager-vs-eduardo-escobar.html
移動距離などの負担の大きいシアトルに呼ぶとなると恐らくこれ以上の金額や、諸々の契約条項を要求を避けられないでしょう。
現状のマリナーズはペイロールには余裕のある状態ですが、まだまだ若手の多いチームであり、彼らの成長度合に合わせて補強する必要があるチームであることを考えると、少しでも資金に余裕を持たせておきたいのが本音です。

代替案 

ここまで読んで頂いた方の多くは、「Bryantがダメなら誰がいいんだ? Abraham Toroだなんて言わないよな?」とお思いのことでしょう。
私もコンテンダーのサードをAbraham Toroに任せよう!といった酔狂な考えは持ち合わせておりません。
彼は控えにしておきたいです。
そこでいくつかの代替案を妄想しました。

代替案1 Gleyber Torres


Torresはヤンキースで鮮烈なデビューを果たしましたが、近年は攻守共に精彩を欠いている状態です。
しかし過去の実績は目を見張るものがあり、バウンスバックを狙うのなら悪くない物件でしょう。
MLBでのサードの守備は未経験ではあるものの、マイナーではいくらかこなしているのでコンバートもそこまで大きな問題にはならないでしょう。
現在のマリナーズでは J.P. Crawford の控えが存在しないので、(質はさておき)ショートを守ることができるのも素晴らしいポイントです。
Oswald PerazaやAnthony Volpeといった内野のプロスペクトの昇格が控えていて、なおかつAaron Judgeとの契約延長のために少しでも総年俸を減らしておきたいヤンキースにとってはGleyber Torresの放出は渡りに舟であると思いますので、トレードの対価も安く済むであろうローリスクな選択肢です。


代替案2 Matt Chapman


Chapmanはデビュー以降卓越した守備力とパワフルなバッティングを武器に活躍を続けている選手ですが、2020年に右股関節の手術を受けました。
その影響もあってか、2021年はops.716と打撃成績は低迷、三振の数もリーグワーストに近くに増えました。
成績の低迷は怪我によるものと考えられているので、DHを固定していないマリナーズではDHを休養枠にあてることができてコンディション管理もしやすく、バウンスバックを狙うならTorresよりも好物件でしょう。
仮に打撃は復活しなくても、ゴールドグラブ3回受賞の守備力は大きな力になるでしょう。


本来はJosh DonaldsonやGio Urshela、Isiah Kiner-Falefaも代替案として考えていたのですが、執筆中に3人全員が絡むブロックバスタートレードが決まったので泣く泣くお蔵入りに。


代替案から言いたいこと


2つほど代替案を見ていただきましたが、どちらもバウンスバック前提でBryant獲得と比較するとインパクトに欠け、不安要素もBryant以上に内包してるじゃねぇかよ えーーーっ とお思いの方が多数でしょう。
バウンスバック以上に大事なことは保有可能年数なのです。
Torresは3年後、Chapman(と元々考えていたJosh Donaldson、Gio Urshela、Isiah Kiner-Falefa)は 2年後の2024年にFAになる予定です。

2年後に待っているのはMLBの中でもトップクラスのサード、Jose RamírezのFAとマリナーズの期待の内野のプロスペクト、Noelvi Marteのデビューです。

Jose Ramírezは通算ops.856とBryantと比べても見劣りしないバッティングに加え、サードでの通算DRS18、盗塁も年間10〜30を期待できる走攻守三拍子揃ったスイッチヒッターです。
前述の通りサードだけを埋めればよいマリナーズにとってはBryantよりもフィットする存在です。
Bryantを獲得すると彼の獲得の可能性は無くなるでしょう。
そして、Noelvi Marteの存在も今後の編成の大きく関わってきます。
彼は現在ショートを守っていますが、メジャーでもショートに残れるほどの守備力を持っているかについてはまだ分かりません。
Marteは打撃を評価されている選手なので、ショートと比べると守備負担の小さいセカンドやサードに置いて、打撃に専念させる構想は間違いなくあるでしょう。
その際にサードをBryantで蓋をするのはMarteの選択肢を狭める要因になりえます。
この二つの理由からBryantと長期契約を結ぶより、TorresやChapmanのようなコントロールしやすい選手をサードに据えてロースターの柔軟性を確保した方が長期的にはマリナーズにとって良い方向に動くと考えました。

最後に


長々と書いてきましたが、トレードはプロスペクトを消費して行うものなのでそれはそれで将来のトレードチップを失うことにはなります。
トレードでペイロールを抑えるか、FAでプロスペクトを守るかは難しい選択です。
どちらの選択を選ぶにしろ、ファンである我々はチームにとって良い方向に向かうのを願うばかりです。

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