![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/3541359/rectangle_large_9a9410ab5371f717edaa6a1ac469ee97.jpg?width=800)
うしらく、崖から飛び降りたってよ:第6話「フジ子さんの素顔」
〈前回までのあらすじ〉アニオタで非モテなぼくに、ついに恋人ができた。名前はフジ子さん。彼女もまたアニオタなため、ぼくらの会話はほぼアニメに関するものになっていった。
付き合って1ヶ月が経つ頃、ぼくは初めてフジ子さんの家に遊びに行った。
ひとり暮らしの女子の部屋ってどんな感じなのか。そして、ぼくはどう振る舞えばいいのか。期待と不安が入り混じりながらも、フジ子邸のドアを開けた。
一歩足を踏み入れて最初に思ったのは「あ、女子の部屋だ」ということだった。部屋は白とピンクを基調とした内装で、置かれてある小物やクッションがとてもオシャレだ。フローラルな香りもする。
可愛らしいインテリアに驚き、ぼくはフリーズしてしまった。普段、自分が暮らしている空間とはあまりにも違いすぎたからだ。正直、ビビった。
とはいえ、このまま固まってても仕方ない。何か話のきっかけを作れそうなモノはないものか。部屋の中を眺めていると、本棚が目にとまった。そして、その本棚を覗いてみる。
ぼく「な、なんじゃこりゃあー!」
オタなだけあって本棚の大半はマンガで埋め尽くされていたのだけれど、そのラインナップが凄かった。『腐女子彼女。』や『私がモテてどうすんだ』など、腐女子が主人公のマンガが所狭しと並んでいたのだ。
視点を本棚の下段へおとし、ぼくはまた驚いた。乙女ゲーが、ずらっと並んでいる。わりとガチな感じのやつだ。
ふと、フジ子さんの方へと目をやると、彼女はキッチンでハーブティーを淹れていた。
1人で過ごしている時間、彼女はどんなことをしているのだろうか。ニヤニヤしながら乙女ゲーをしているのか、それとも腐女子的なマンガを読みふけっているのか。
フジ子さんの素顔が、まったく読めない。
サポートしていただけると、すごく嬉しいです! スキ!を押すと、ぼくと両思いになれます。10分の1の確率でw