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うしらく、崖から飛び降りたってよ:第7話「声優フェスで大はしゃぎ!」

〈前回までのあらすじ〉愛しの彼女フジ子さんは、アニオタであると同時に腐女子だった。また、オタ度も想像以上に高く、彼女の放つ世界観にぼくは酔いしれていった。

2015年秋。ぼくとフジ子さんは声優フェスに参加した。といっても東京会場に行ったわけではなく、福岡県内の映画館からライブビューイングとして鑑賞したのだ。

豪華声優陣が登壇するこのフェスは参加希望者が異常に多く、チケットの抽選もかなりの倍率まで上がっていた。落選覚悟で応募したところ運良くチケットがゲットできたので、ぼくらはかなりラッキーだったと思う。

フェス開始直後、声優陣が続々と登壇してきた。櫻井孝宏さんや福山潤さん、小野Dさんが舞台に足を踏み入れた途端、会場内では黄色い歓声が上がった。音割れするレベルの歓声...いや、これはもう雄叫びだ。

ぼくの隣にいるフジ子さんも盛り上がってる様子だったけれど、歓声を上げるほどではなかった。普段通りの落ち着いた感じ。彼女は、はしゃぐタイプの人間ではないらしい。

スクリーンへと目を戻し、数分後。フジ子さんの歓声が聞こえた。最初、何に対しての歓声なのかが分からなかったが、はっと気付いた。坂本真綾さんがシークレットゲストとして登壇したのだ。

フジ子さんの坂本真綾愛はハンパない。ファンクラブメンバーになるのは勿論のこと、ツアーライブを追っかけたりグッズを買い漁ったりしてるほどだ。それほどまでに好きなアーティストがシークレットゲストとして出てきたら、テンションが上がって当然だろう。


結局、声優フェスは4時間に及んだ。内容が濃くて楽しかったものの、ぼくは割と疲れていた。会場を後にしたのが夜遅くだったからかもしれない。もしくはファンたちの熱気にあてられたか...。

一方、同じ4時間を隣で過ごしたフジ子さんは、まだまだ元気だった。フェスのパンフレットを眺める瞳がキラキラと輝いている。かなりご満悦なようだ。

好きな人が好きなことに熱中している瞬間を隣で見ていると、その人の意外な一面を知ることができて面白い。

ぼくは益々、フジ子さんに夢中になっていった。

#うし崖 #日記 #エッセイ

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