うしらく、崖から飛び降りたってよ:第1話「リア充王に、おれはなる!」
2016年7月18日。海の日。
とある海岸の崖の上で、ぼくは意を決した。
「さて、そろそろ飛び降りるとすっか!」
手に握っていた900mlのお酒(みかん酒)を一気飲みし、酒瓶を足元に置いた瞬間に助走を始めて、高さ20mの崖の上から飛び降りた。
事のきっかけは1年前に遡る。
2015年7月、ぼくはリア充になった。そう、彼女が出来たのだ。彼女が出来たくらいでそんなにウェイウェイすんなよと思われるかもしれないが、ぼくにとっては2015年度の一大事件だった。
なぜなら、ぼくには家族がいないから。また、人見知りな性格なため、職場でも孤立した窓際族だった。早い話、"ぼっち"だったのだ。
ぼくの趣味は本やマンガを読むことと、アニメ鑑賞。「2次元はおれの嫁」状態だったこともある。TSUTAYAやHulu、アニメイトに幾ら課金しただろうか‥今となっては思い出せない。
まぁ、そんなオタク趣味な自分に彼女なんてできやしないと諦めていたのだが、それでも無性に恋人が欲しくなったりもしていた。
2次元の嫁はいつも優しいけれど、なにせ会話ができない。ぼくは何て寂しい毎日を過ごしているんだろうと思う時が多々あった。よくあった。いや、毎日そう思っていた。
そんなある日、ぼくは自ら「リア充への道」を歩き出すことを決意した。恋人作りのために選んだ戦場は、アニコン(アニメ好きが集まる街コン)。人見知りのぼくでも、好きなものや価値観が同じ人となら楽しく喋れるはずだと思ったからだ。
そして、アニコン当日。ぼくは運命の人と出会うこととなる。
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