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うしらく、崖から飛び降りたってよ:第4話「リア充、爆誕!」
〈前回までのあらすじ〉街コンで出会った女神、フジ子さんと映画デートの約束をこぎつけた。デート当日、ぼくは緊張しながらも勝機を狙うのだが...。
なぜ、デートに映画を選んだのか。理由は2つあった。1つ目は、お互いの好きなアニメ作品が劇場版になったから。2つ目は、心理学でいう「暗闇効果」を狙ったのだ。
真っ暗なところに居ると、人は不安になる。そして、身近にいる人に安心感を求めるため、相手との心理的な距離が縮まりやすくなる。これら一連の心理作用を起こすのが「暗闇効果」だ。
映画館は、暗さも隣の座席との距離もちょうどいい。「暗闇効果」を発動させるのにもってこいの場所なのだ。
また、上映中はスクリーンさえ見てればいいから、一言も話さなくていい。映画が終われば自然と感想を言い合えるので、コミュ障にとって優しい戦略だと思う。ちなみに、「暗闇効果」についての知識は、メンタリストDaigoさんの受け売りである。
映画を見終えたぼくたちは、近くのカフェに入った。お茶を飲みながら映画の感想を話しつつ、一息つくためだ。だが、ここにも1つ戦略を仕込んだ。その名も「スイーツ大作戦」。
人は、食後30分くらい経つと血糖値が上がってくる。そして、血糖値が上がると「決断を下しやすい状態」になる。このタイミングで告白すると、ポジティブな返事をもらいやすいのだ。もちろん、この知識もメンタリストDaigoさんの受け売りである。
まぁ、小難しい話は抜きにしても、美味しいスイーツを食べながらの会話はリラックスできるし、なにより楽しい。ぼくとフジ子さんは、映画についての話だけでなく、好きな食べものの話などでも盛り上がった。
30分後、2人は駅ビルの屋上に出た。血糖値が上がって決断が下しやすいこのタイミングで、あとは告白するだけだ。暗闇効果とスイーツ大作戦。策は全て尽くした。あとは告白するだけだ。
とはいえ、初デートでいきなり告白するのは、さすがに早いかもしれない。3回くらいデートを重ねた末に告白するほうがいいか。やはり、石橋をたたいて渡るべきなのでは…。
いや、逃げちゃダメだ。次いつ会えるか分からないし、そもそも会ってくれるのかも不確かだ。一か八かではあるが、ここはもう告白せざるをえない。チキンな考えを振りほどき、ぼくは口を開いた。
ぼく「フ、フジ子さんのことが好きです!ぼくと付き合ってください!」
フジ子さんは首を縦に振った。その瞬間、ぼくはガッツポーズをしながら飛び跳ねた。それほどまでに嬉しかったのだ。
結果として、初デートでの告白は成功した。正直、デート中はちゃんとエスコート出来ず、ずっと不安な気持ちを抱えていた。戦略どうこうよりも、かなり運頼みなデートだったと思う。
それでも晴れて、フジ子さんと結ばれ、ぼくらはリア充の仲間入りを果たした。
2015年7月12日。一組のリア充が爆誕した瞬間である。
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