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うしらく、崖から飛び降りたってよ:第8話「ふくざつな誕生日」
〈前回までのあらすじ〉オタクな彼女フジ子さんの意外な一面を知ることで、ぼくは彼女のことをもっと好きになっていった。リア充爆発しろと言われてもいいくらいに...。
2015年11月10日。ぼくは30歳になった。子供の頃は「30歳=大人」という方程式が自分の中にあったけど、いざなってみると特に何の実感もない。ごく普通だ。
この日はフジ子邸に招待され、手料理やバースデーケーキをご馳走になった。もちろん誕生日プレゼントも貰い、最高の時間を過ごさせてもらった。こうやって大切な人から誕生日を祝ってもらうのは、何年ぶりだろうか。
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ぼくの家族がバラバラになったのは、25歳の頃だった。原因は一言で説明できないけれど、お金が根源だったように思う。今はそれぞれが別の場所で暮らしていて、家を出て以降は一度も会っていない。
フジ子さんから誕生日を祝ってもらっている最中、ぼくは複雑な気持ちだった。まだ、家庭の事情を打ち明けてないし、正直に話してドン引きされたらどうしようかと悩んでいたのだ。
自分のどこまでを見せるか。幸せな時間が長く続くほど、このことについて頭を抱える時間も増えていった。
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