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川越らぷそでい 最終話

川越妖魔特別対策本部

「よおし、今日はチームワークを高める為一緒にトレーニングだ!」
「はい!」
僕達は体育館でランニングを開始した。
「ぬおおお!」
リリアは顔に似合わずスポ根が好きなのかずっとダッシュをしている。
僕とたきちはのんびりとランニングしている。
これは‥チームワーク高められるのか‥?

リリアは息を一切きらしていない‥バケモンか。
次はリリアと僕で組み手だ。
「虎男、アンタをぶっ飛ばす!アタシの新しい武器よ!」
リリアは棍棒を取り出した。
「アチョー!」
リリアは棍棒を振り回しながら襲って来た。
僕はさすがにふ菓子では戦えないのでイメージの練習をしてきたんだ。
やはりこれでしょ‥!
僕は彩玉にイメージを流し込んだ。

ガキン!

「アンタ‥か弱い女子相手に卑怯ね‥」
「‥なんとでもいえ‥やはり日本人ならこれでしょ!かっこいい!」
僕は日本刀をイメージとして作り出した。だけどやはりふ菓子のイメージが残っていたのか色味は黒い‥が逆にカッコよくなった。
「‥まぁ、ハンデにはちょうどいいわね!」
僕とリリアは本気でぶつかり合った。

3時間後‥
「さ、さすがに疲れたわ‥」
「う、うん‥」
僕はもう限界だったのにリリアは疲れただけか‥
「あんちゃん、ちょっと大人しくしててね」
たきちは僕のひたいに手を当てて何やらぶつぶつ言っている。
なんだか疲れが取れて来た‥す、すごい!
「まぁ、これぐらい余裕だよ!」

ドガン!

ゴゴゴ‥

「緊急事態発生、緊急事態発生。本部内にいる隊員は至急会議室へ。繰り返します‥」

「何か起きたみたいね。」
「あんちゃん達行こっか。」
「そうだね」
僕達は会議室へと向かった

信綱さんが険しい顔で立っている。
「すまない、結論から言わせてもらう。結界が破られた」
会議室が一瞬にしてどよめく‥
「け、結界がや、破られた‥そんな、まさか‥」
「事実だ。既に妖魔が市内に紛れ込んでいる。各位厳重警戒の上装備を万全にし早急に対処願う!」
「はっ!」

「虎之助くん、ちょっと待ってくれ。」
「なんでしょうか?」
「高校生に頼むのは忍びないが君にしか彩玉が使えない‥くれぐれも無理しないでくれ。」
「わかりました!頑張ります!」
「うむ!」
虎之助達は市内へと移動して行った。

「‥ここから動けないワシがなさけない。虎之助くん後は頼んだ」

川越駅付近

「なんだかワンちゃんが一杯いるね。」
「可愛い!」
市民がケルベロスに触ろうと近寄る

ガルル!
「きゃっ!」
ケルベロスが牙を剥き一般市民に襲いかかる!

パン!
「クゥン!」
ケルベロスは逃げていった。

「まずは市民の避難を優先して!2人で必ず行動する事!そして各自の判断でケルベロスの対応を!それから危ないと思ったら逃げて!無事にまた本部で会いましょう!」
「はい!」
隊員達は散っていった。
「私達は一緒に行動!たきち君は怪我人の回復を優先して!」
「はい!」
僕はトン吉を呼び出した。
「トン吉、妖魔の場所特定して来て!」
「あいよー!クルッポー!」
トン吉は飛び立っていった

「さぁて、アタシのせいでこうなってる自覚はあるから存分に暴れさせてもらうわ!」
リリアはグルングルン腕を回している。
「あんちゃん達、バックアップは任せてな!」
うんうん、たきちも頼もしいな。

「おーい、見つけたポ!こっち、こっちポ!」
僕達はトン吉の後を追った。

そこには沢山のケルベロスや妖魔が集まっている。
「うわぁ、ここに一杯集まってるじゃん♪」
リリアは嬉しそうだ‥
「応援を呼んだわ。みんな気をつけて対処するわよ!」
リリアは棍棒を取り出し、僕は日本刀を呼び出した。たきちはブツブツいいながら僕達に水をかけた。
「これで多少の攻撃は弾くよ!でも、油断しないでね!」
「あんがとね、たきち♡さぁ、行くわよー!!」
リリアは走り出し妖魔達の群衆に飛び込んでいった。
僕も突っ込んでいった。怖いけどやるしかない!

バキ!
ドガ!

リリアはドンドンと妖魔達を薙ぎ倒していく。
「アチョーアチョー!」
リリアの勢いは止まらない。
しかし、突っ込み過ぎて囲まれてしまった。
「あ‥やばい」
パン!
パン!
パン!
「まったく、世話の焼けるガキね!」
「おねぇちゃーん、ありがとう!」
「誰がおねぇちゃんだ!戦闘に集中しなさい!」
「はーい♪」
「トン吉豆鉄砲頼む!」
「任せろポー!」
トン吉は口から大量の豆を打ち出し次々と打ち倒していった。
応援も駆けつけ周辺の妖魔はあらかた退治した。

「よし、再度周辺を警戒しつつ巡回しろ!たきちは怪我人の救護を!」
絢音さんのテキパキした指揮はいつみても素晴らしいな。
「さすがに疲れちった。少し休むわ。」
リリアは責任を感じてたのは本当みたいでかなり頑張ってた。
リリアはスヤスヤと眠りだした。
「こんな所で寝るのはさすがに‥」
ふと気づくと周りの人たちが次々と眠り出していく。
「な‥これは何か起きてる‥!?」

「ほう、我が妖力に打ち勝つとはさすがリリアに勝った人間だな。」
突然現れたのは妖艶な魅力を放つ女性、いや、この人がグランマ!
「あなたがグランマ‥」
「気安く呼ぶな、人間のオス!‥ん?お前‥まさか‥」
「お前、名は?」
「越川虎之助だ!」
「越川‥やはりか‥クククク、まさかお前が我が夫の子どもだとわな!妖力が効かぬわけだ。」
「えっ、‥どういう事だ?」
「お前の父は妖魔だ。そしてリリアと同じ父親だ。こんな事になるならあの時、お前も殺しておくべきだったな。リリアを殺さなければならなくなるぐらいなら‥」
グランマは一瞬でリリアの前に移動し、大鎌でリリアの首を刈ろう振り上げた!

ガキン!!

虎之助は日本刀で間一髪受け止めた

「もう何が何だかわからないけど、僕の両親を殺したのはあなたで、さらに実の娘も殺そうとしている。リリアはもう僕の仲間だ‥絶対に守る!!」
「ふん‥仲間か‥父親にそっくりだよ!」
大鎌を振り回す力はとても強くさばくので手一杯だ。
だが、負けるわけにはいかない!
僕も必死に抵抗する。
「何でリリアを殺すんだ!」
「負けたからさ、人間にな!」
「人間に負けるなど恥でしかない!リリアはさらに人間と手を組みおった!殺す以外の選択肢はなかろう!」
「だからといって!」

バキン!!

2人は距離を空けた
「我が夫は優しい妖魔であった!だがお前の母親に会い私から奪っていった!それだけでは飽き足らずその子が我らを殺しにきている!」
「リリアが人間と交わりまたお前のような者が産まれたら我が一族いや妖魔界が滅びる!この悲劇はここでお前とリリアを殺す事で終わらせる!」
ガキン!
「きっとリリアの子はそんな事しない!それに僕だってあなた達を殺したくはない!」
「同胞をここまで殺しておいて、何を今更!!」
また激しい斬り合いが始まる

「リリアは絶対に僕が守る!」
「まさか‥お前リリアを好いているのか?」
「‥最初はそう思った。けど恋愛と違う感情だった。兄妹だと分かった今その気持ちに整理がついた。2人だけの兄妹なら僕が守る!!」
僕は彩玉にイメージを流し込んだ。
「最後に聞くよ、2度と人間界には来ない、リリアには手を出さないと誓える?僕は過去を全て許す。」
「何を言っている!?赦しを乞うのはお前ら人間だ!」
「残念です‥」
彩玉から巨大な槍が現れ、グランマの身体を貫く

「グランマ‥すまなかったな。君を傷つけてしまった。この報いは受けるよ」
「グランマさん、3人で共に行きましょう」
わらわこそ手をかけてしまった‥ずっと後悔していた‥
「もうよいのです。私たちの子どもが幸せなら」
ああ‥なんて優しいオーラ‥
「ママ‥大好きだよ」
リリア‥ママを許して‥幸せにね‥

大きな閃光と共に轟音が鳴り響く

後に「川越ラプソディ」と呼ばれる一連の争いは終わった。
幸い民間人、本部隊員の被害はなかった事で何かのロケという形で終止符が打たれ
民間人の記憶からは消えていった。

時の鐘

「ねぇ、ママ。アタシね、人間界で生きる事にしたの。妖魔と人間、きっと仲良くなれる。本部でね、妖魔と人間の街を作ってるの。アタシそこで町長に選ばれたんだ。
それからね、猫女さんと雪女さんでユニット組んでデビューする事になったの。デビュー曲は『川越らぷそでい』だって。あはは、嫌だったんだけどね、平和の象徴?ってやつで。」
クルッポー!
「あっ、お迎え来たみたい。ママ、これから虎男と一緒に頑張るから‥いつか生まれ変わったら遊びに来てね!それじゃあ、バイバイ!」

『川越らぷそでい』完

#創作大賞2023


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