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読書感想文#1 吉村萬壱『死者にこそふさわしいその場所』

『死者にこそふさわしいその場所』は、ポール・ヴァレリー『テスト氏』の題句からはじまる。 『テスト氏』は疎か、ヴァレリーの作品を一つも読んだことがない。しかしながら、『死者にこそふさわしいその場所』を読み終えてみると、この一文から、町の外れにある朽ち果てた植物園を極めて立体的に、鮮明にイメージできる。 『死者にこそふさわしいその場所』は「苦悩プレイ」「美しい二人」「堆肥男」「絶起女と精神病苑エッキス」「カカリュードの泥溜り」「死者にこそふさわしいその場所」の6つの短編から成る

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