バファローズ・ブルーウェーブ合併の総括3

注、チームを表すときはバファローズ、ブルーウェーブ。バファローズの親会社を書くときは近鉄、ブルーウェーブの親会社を書くときはオリックスと書き分けています。これはチームと親会社をしっかり分けるという意図でそうしています。ここでのバファローズは今のオリックス・バファローズは指しません。

 可能な限りソースを明記していますが、明記していないものは当時の雑誌や新聞で読んだものです。ソースが不十分と思われたら、ご容赦願います。 

 合併の総括を書くつもりでnoteを書き始めたので、これから再開します。合併した2004年の前から、近鉄本体は赤字で苦しみ、球団売却に動いたと聞きます。そこで買い手はつきませんでした。つまり市場から、「投資するコンテンツではない」と判断されたわけです。それでも近鉄は球団売却の時間を稼ぐために、ネーミングライツに動きますが、ネーミングライツに手を挙げたのがアコムだったので、「消費者金融がプロ野球に関わるのはいかがなものか」という理由で却下されます。

 買い手は着かず、ネーミングライツも消費者金融しか手を挙げない。この時点でバファローズは詰んで、合併しか選択肢はなかったわけです。「ライブドアがあるではないか」と言われると思いますが、2004年の前から、証券会社を通してライブドアに打診した結果、「当社はスポーツには興味がありません」と断れたそうなので、ライブドアがホワイトナイトになるわけがないです。

 ライブドアが球団買収に手を挙げたのは、バファローズ・ブルーウェーブ合併を表明した以降でした。もし近鉄が「ライブドアにバファローズを売ります」と表明したら、プロ野球ファンは喜ぶでしょうが、企業としては「動いている話でも、消費者の意見で変わるから、近鉄は信用ならない」と信頼が落ちるので、近鉄の未来を考えると、オリックスに断りを入れて、ライブドアにバファローズを売るのは無理筋でした。

 それに、オリックスに断りを入れて、ライブドアにバファローズを売ったら、オリックスは「合意を取り付けるまでに社内、株主の理解を得たり、合併後のチーム運営の策定など相当労力が掛かっているのに、引っ繰り返すことは何事か」と激怒するので、ライブドアにバファローズを売るのはできないでしょう。出港した船は行先を変えることはできないのです。

 思えばネーミングライツの話が出たとき、「これではバファローズが潰れる」とバファローズの選手会やプロ野球選手会が動いたという話は聞きません。前回棚橋の話を書きましたが、なぜプロレスラーは危機感を持ったのに、プロ野球選手は危機感を持たないのか不思議でなりません。だから、当時のバファローズの選手には同情できないのです。

 ライブドアが手を挙げたとき堀江氏は「渡邉 恒雄さんと話をしたい」と言っていましたが、渡邉氏は全く応じませんでした。渡邉氏は読売の政治部出身、つまりわからないことがあったら調べるのが記者の習性ということを考えると、当時ライブドアや堀江氏に関する情報を相当集めたと察することができます。それで、「あんなチンピラを相手にする必要なし」と判断したのでしょうね。後のライブドアショックを見るとよくわかります。渡邉氏はDenaの南場オーナー曰く「怖そうな人だと思っていたけど、会ってみたら優しいし、凄く知識があったから驚いた。また会いたい」と言っていたので、自分より若い世代を理由なく無視する人ではないと思うんですよね。

 余談ですが、渡邉氏の「たかが選手が」発言で叩かれたのはかわいそうでした。近鉄山口社長の「署名運動なんてしているとプロテクトされへんよ」とかオリックス宮内会長の「選手、スタッフの雇用を守ると言っているのに、ストをやると言っている。私には意味が分からない」という発言も相当ひどいと思うんですよね。叩きやすい人だけを叩くのはどうかと思います

 ライブドアが手を挙げるところまで書いたので、次回はその続きですね。お楽しみに。

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