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今すぐ勝ちたい MOキューブドラフト講座

はじめに

 こんにちは。Magic Online村の住人ことUSentranceと申します。
 さて今回は、MOにて定期的に開催される大人気フォーマット、キューブドラフト、その中でも主にヴィンテージやレガシーキューブについて話していきます。キューブドラフトを長く遊び続けるため、勝利数を稼ぐノウハウを紹介したいと思っています。


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村の祭り、キューブドラフト


 MOのキューブドラフトは各構築フォーマットをフィーチャーしたテーマが多く、主にヴィンテージキューブ>レガシー>モダン>パイオニアの頻度で開催されています。カードプールには、歴史的に活躍したオールスター達が勢ぞろいです。

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Black Lotusと土地から……

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1t神ジェイスも夢じゃない(ヴィンテージキューブ)


 MOのキューブドラフトは参加費10tixまたは100PPと通常のリーグと同じで、プライズは以下の通りです。

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 なんと、2-1以上しないとペイできません。
 
運が絡む不完全情報ゲームにおいて勝率66%は果てしなく遠い数値です。その上で2-1を繰り返してもPPは一切増えません。
 便宜上1-2と3-0を繰り返せば資産は増えますが、リーグが主流の環境では他の卓でスクスクと育った卓一のデッキに頻繁に轢き殺されるため、3-0は至難の業です。「村の祭り」よろしく10tixか100PPをウィザーズに供物として捧げるハメになります。

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半分は供物


 それにもかかわらずキューブドラフトのアクティブプレイヤーは圧倒的に多く昨年末に開催されたヴィンテージキューブでは5000人を超えています。

 理由は単純明快で、キューブドラフトには唯一無二の面白さがあるからです。他のフォーマットに比べてゲームの再現性が低く、ピック含めて繰り返し遊べるため飽きません。また合計3戦とテンポもよく、手軽にプレイできるためクセになりやすいです。

キューブドラフトでしか得られない栄養素は間違いなくあります。

当記事が多少でも勝利に貢献できれば幸いです。



キューブドラフト概観

 MOのフォーマットキューブの特徴として、全体的にカードパワーが高めに設定されています。前述の通り往年の名カードたちで構成されているためアンプレイアブルカードはほぼ存在しません。プレイ感はブースタードラフトよりも構築フォーマットに近いでしょう。

 どのように使ってもカード一枚分の役割を果たすため、キューブドラフトに参加しているプレイヤーの大半は、いわゆる「グッドスタッフデッキ」になりがちです。ドラフトの基本に準じたピックの結果として、彼らは二色のミッドレンジのようなデッキを度々プレイします。

 カードが強いのでそのようなピックでもひとまずデッキにはなりますが、ブースタードラフトと同じような感覚でピックをした場合、パワーが高い順にカードが消えていき、順当にパックの出が良かった卓が勝つでしょう。


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一枚で勝てるボム


 そのような戦略を取り続けていれば当然運の要素に大きく左右され資産は目減りする一方です。周りから抜きん出るためにはコンセプトが必要です。アーキタイプに則った一貫性のあるデッキをつくりましょう。


ピック戦法


①単色アグロ


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〈卓の許容人数:2前後〉

 ブースタードラフトでいう空きアーキタイプのポジションはアグロが担います。基本は赤単・白単で稀に黒単が用意されているキューブもあります。単色アグロを組む上での一番の要点は、1マナ域のクリーチャーの数です。これが勝敗を決すると言っても過言ではありません。1ターン目にドロップできるかどうかで雲泥の差がありますし、2~3ターン目の2アクションはキューブにおいてもドブンムーブの一つです。
 このピック戦法が成立する土壌には、やはり一枚一枚のカードパワーが他に見劣りする点があります。1マナのクリーチャーはキューブにおいても大抵《サバンナ・ライオン》《ジャッカルの仔》であることが多いです。


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彡(^)(^) ???「せやな」


 低マナ域のクリーチャーをかき集めなければ弱い点、見た目のパワーからもプレイヤープールの大半が敬遠しがちに思います。卓が単色アグロを忌避しているようであれば喜んで始めましょう。許容人数は1~2人で、ピックし始める基準としては1パック目の6~10手目あたり、一周したパックの内容から卓の内訳の見当をつけて参入したいです。

 ピックする際には軽さを意識しましょう。候補が複数枚あり迷ったときには軽いカードをピックするのが無難です。3マナ以上のカードは飽和する場合が多いので気をつけましょう。

 また、《神の怒り》への耐性および搦め手の存在は加点要素になります。


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どんと来い全体除去

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クリティカルな置物


 ラスへの耐性はアグロの弱点を補い、多角的な攻め筋はアグロの最大値を高めます。相手がフェアデッキの場合は、サイドボーディング含め裏目のある難しいゲームを相手に強要します。
 特にPWは両方の条件を満たしているので大きな恩恵を得られるでしょう。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》や《鎚のコス》等アグロデッキの方針に合うPWは是非ともピックしたい次第です。



②青コントロール


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〈卓の許容人数:1~2〉

 コントロールは青ベースでないと対応できない傾向にあります。キューブは攻め筋が多角的なので、それらと確定で1対1交換が可能な打ち消しの信頼性が高いからです。裏を返せば、打ち消しのない青以外のコントロールは成立しづらく、ゲーム内での噛み合いを多く要求されます。

 青コントロールを構成する上では、なにより打ち消しの枚数が命です。
 ゲーム中にクリティカルなカードを一回は弾きたいため、4枚を基本として少なくとも3枚は確保しなければなりません。そのため、このアーキタイプに踏み込む判断は難しいです。断言はできませんが、目安としてカウンターが4手目以降にピックできるなら参入を検討します。


カウンターはどんなに取っても取りすぎるということはない(?)


 当然パックから出てくる打ち消しの枚数にも限度があるため基本は1人、運が良ければ2人できる程度です。
 打ち消し・除去・フィニッシャー等デッキの全体像を掴み、ゲームプランをイメージしたバランスの良いピックが求められます。

 ピック方針としては代替の利かない打ち消しを最優先に、青中心に組み立てるのが無難でしょう。青がパッとしないパックでは各所でパワーカードをピックしつつ、空いている色を読んでニ色目に切り込みます。2パック目で色を確定させて3パック目でバランスを整えるイメージです。

 一部カードを除き打ち消しおよび除去は1対1でのトレードが基本のため、それ以外のカードではアドバンテージを重視しましょう。特にコントロールにおいてフィニッシャーの質は重要です。イーブンの場から蓋をできる優秀なPWや、圧倒的なボード支配能力でゲームをいち早く畳めるカードが好ましいです。


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マウント一号 マウント二号 盤面崩壊ニキ



③シグネットデブメガネミッドレンジ



君!!!
ピック方針が何も決まらなかったそこの君だよ!!!!!!



デブでメンコしようぜ!!!!!!!!!!!!!!!


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〈卓の許容人数:2~3〉

 方針が決まらず、とりあえず強いカードをピックし続けた場合の最終手段です。シグネット(2マナのマナアーティファクト。タリスマンの場合もある)で2-4-5-6と、4マナ以上のカードを順序よく叩きつけるのが理想的な展開といえます。
 高マナ域のカードは隔たりなく強い傾向にあるため、シグネットさえ安定してキャストできれば、マジックの「相手よりちょっと重ければ有利」理論よろしく、デッキのパワー面で差をつけられます。


4マナから抜けて強くなる


 卓のシグネットの点数によってピックの優先順位は前後します。
 シグネットさえ確保していれば、カードパワーが高い順にピックすることが正当化されやすいため、初心者でも組みやすいと思います。
 低マナ域の除去でマナカーブを整え、ボード負けしないような意識でデッキを組み上げましょう。


重いやつ、大体ともだち



④多色土地ピック戦略


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〈卓の許容人数:1〉

 上級者向けです。前提条件として、卓の土地の点数が極端に安いときのみ成立します。スペルだけでなく土地の枚数も確保しなければならないため、無駄ピックを最小限に留め、ピック手番をフル活用する必要があります。また必然的にサイドカードも少なくなりがちです。
 多色戦略の利点は、色に囚われずひたすらパワーカードをピックできる点です。


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多色の星


 特に《創造の座、オムナス》および《ニヴ=ミゼット再誕》は、キューブドラフトでも破格の強さです。それぞれ多色の戦略に噛み合った能力でかつ他のアーキタイプでは使えないので、これらを独占できるのが多色ピックの最大のバリューです。

 ピックの際意識する点は、ボード形成能力です。多色デッキはカードの要求マナシンボルが厳しいため、1ターン1アクションになりやすく、テンポを失ってしまうケースが多々あります。肉質の良いクリーチャーを確保して、デッキをまとめましょう。


カードは一枚でもアクションは数枚分


 土地の優先順位は、フェッチランド>デュアルランド≒トライオーム≧ショックランド>その他です(ピックにより変動アリ)。基本土地タイプを持つ多色土地を確保できるフェッチランドは潜在的に五色と換算して点数高めです。トライオームは、セットランドできた場合の恩恵が大きく、フェッチランドから持ってこれるので、一枚あるだけでマナベースの強さが段違いです。
トライオームとデュアルランドで迷った場合、一枚もトライオームをピックしていないならトライオーム、一枚確保できているならデュアルランドのピックを勧めます。

 また、コンボデッキが多いヴィンテージキューブにおいては必殺技をデッキに組み込まないと厳しい傾向にあります。《鏡割りのキキジキ》は見たら即ピックしましょう。


様々なコンボのお供



⑤コンボ


〈卓の許容人数:?〉

 キューブドラフトの中にはコンボが用意されているものが多いです。
 デッキ全体を一つの手段によせるオールインコンボと、通常のプランも持ちつつに複数枚で効果を発揮できるギミックコンボ(一般的な呼び名ではないが便宜上そう呼びます)の二種類に分けられます。


ⅰ. オールインコンボ



 デッキ全体をオールイン構成にするコンボデッキは、レガシーキューブとヴィンテージキューブにおいて存在します。クリーチャーコンボとは違い、通常のゲーム進行ではなく理不尽な手段においてのみ勝利を目指します。
上記の画像の通り、墓地経由のリアニメイト・マナ加速とチューターのストーム・ハンドからの踏み倒しの三種類に大別されます。
 これらのオールインコンボは、パックの内容および卓の状況に左右されるため再現性は低めです。さらに、ピック時点でもオールインしなければならないので、デッキにならなかった場合には当然0-3します。しかし完成したときには概ね3-0できるほど圧倒的な強さを誇ります。

 オールインコンボを狙ったピックでは、卓の流れを読む能力と、悪い流れで逃げ道を作る能力が肝要です。デッキが完成しそうにないとき、どのようにして一勝・二勝をもぎとるかは、MOの資産を守る上でこの上なく重要な技術です。耐える技術はアドリブが求められがちなため、プレイヤーの根本のマジック力・リミテッド力が試されます。ちなみに筆者でも耐える技術は難しいので各々でどうにかしましょう。雑に強いカードやブン回り部分をなんとか導入することで勝ちを拾える気がします。


 オールインコンボの加点要素はドローソースです。デッキの安定性を高め、またキルターンも早くなります。特にストームでは必須ですね。
 ただし、ドローソースは色さえ合えば、ほとんどのデッキに入るため競合しがちです。卓の点数を読みながら拾いましょう。



ⅱ. ギミックコンボ


 通常のゲームプランも持ちながらも機を見て相手を即死、あるいは詰みの状態にさせるデッキを指します。ギミックコンボはデッキ単位の話ではなくカード単位での話なので、アーキタイプと分類するよりかは必殺技の有無という意味でのコンボですね。

 ギミックコンボでは、キーカードをどのように使うか、その方針に合ったデッキを作る、引き出しの数が重要です。知識さえあれば誰でも真似できるので、配信などを見て吸収しましょう。

 例えば《対立》を搭載したデッキであれば、マナクリーチャーをベースにした青緑系で構築すると効果を最大限発揮できます。《対立》があれば手札を使い切ったあとでも、マナクリーチャーを上手く使えるためです。また、トークンで横並びするようなデッキに採用しても絶大な威力があります。

キーカードを上手く使おう


 具体的なギミックについては、次の項で解説していきます。



実例・デッキリスト


※記事にするなど到底思わず保存した自分用の画像のため見辛いです。ご了承下さい。リストがないものは適当にごまかしてます。


・《ハルマゲドン》《戦の惨害》 

 白単等、アグロに入れるとゲームに蓋ができます。


・《Timewalk》+《魂火の大導師》

 それぞれのマナコスト+4マナで無限ドロー無限ターン。無論《Timewalk》は一手目でしか取れないので狙ってできるものではありませんが、引き出しとして持っていることは重要です。


・《欠片の双子》コンボ

 かつての構築と同じく青赤のテンポorコントロールに差すだけで良いのでキューブでも鉄強です。


・《鏡割りのキキジキ》+《修復の天使》,《帝国の徴募兵》etc.

 欠片の双子コンボの亜種。両方ともクリーチャーである点を活かして、《獣相のシャーマン》や《適者生存》でサーチできる利点もあります。


・《繰り返す悪夢》+《獣相のシャーマン》or《適者生存》

 釣りたいクリーチャーをサーチした後、コストとして捨てることで《繰り返す悪夢》によってリアニメイトすることが可能になります。
 通常のリアニメイトデッキと違い、相手にした蘇生クリーチャー返されたとしても釣り直すことができるため、継戦性に優れています。


・《カラカス》+《造物の学者、ヴェンセール》,《ヴェンディリオン三人衆》etc.

 相手の《グリセルブランド》《引き裂かれし永劫、エムラクール》を戻すという対策という面で《カラカス》を認識している人も多いと思いますが、基本的に自分のレジェンダリークリーチャーのCIP能力と合わせることも多いです。マナさえ確保できればハメパターンに持ち込めることもしばしばあります。


・《覆いを割く者、ナーセット》+《Timetwister》

  相手の手札がカッスカスになります。


・《激動》+ マナクリーチャー or マナアーティファクト

ステップ1: マナを出す。
ステップ2: 《激動》を唱える。
ステップ3: マナクリ・マナファクトを出す。


・《堕ちた忍び》+ 《蛇術師》,《マーフォークの物あさり》etc.

 エムラクールが出ます。


・《世界のるつぼ》+《ウルザの物語》,《露天鉱床》etc.

 《世界のるつぼ》《ラムナプの採掘者》は、墓地に落ちる仕様の土地と相性が良いです。


 フェッチランドと合わせるのは定石ですが、ここに《Fastbond》を足すとデッキから大量の土地をアンタップ状態でセットできます。


 《露天鉱床》《不毛の大地》等、土地を攻めるカードも使い回すことができます。モダンキューブおよびパイオニアキューブでは《廃墟の地》《地盤の際》に変更されています。


 タイムラグはあるものの《ウルザの物語》を使い回せるのは犯罪的です。


・《精神隷属器》+《アカデミーの廃墟》or《屑鉄の学者、ダレッティ》

 《精神隷属器》を使いまわして勝ちます。

 

お前のターンはおれのもの。おれのターンはおれのもの。


・《敏捷なこそ泥、ラガバン》



おわりに


 完全課金制と、とっつきにくい印象のあるMOですが、テーブルトップと同じく、カジュアルな額で遊ぶこともできるのです。
 当記事でキューブドラフトに興味を惹かれた、もしくは村の住民が一人でも増えてくれたなら嬉しい限りです。

 あくる六月の一日に、ヴィンテージキューブが開催されます。
 是非ご参加ください。


 それではキューブドラフトリーグでお会いしましょう。

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