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「兎屋まめ」を見失わないようにする為に。

※まず大前提として、当然だけど、ジャンルに上も下もないという事を言っておきます。

コミティアの出張編集部の繋がりから、全く未知のジャンル「TL」の漫画雑誌に拾われて暫く恋愛漫画を作ってた。

制約というかルールもそれなりにあって、
●50ページ程(紙雑誌だったので当然指定されたページジャストにおさめる)の1話完結の読み切り漫画。
●ジャンルは恋愛。学校や会社など、現実的なシチュエーション。
●ハッピーエンドにする。

こんな感じで読み切りTL漫画を30本程作ったと思う。

しっとりテーストだったり、少しオカルトっぽいようなミステリーっぽいような要素を入れてやっていたもののやはり資質が違っていた事もあったしそもそも未熟なので、可もなく不可もない順位を彷徨っていたと思う‥‥。

漫画家としてモヤモヤしてた。
その間も何度かコミティア出張編集部へ赴いて営業もどきのような事はしていた。
名刺を頂いて「何か作って持ってきてよ」という所までは行くけど、そこからの立ち回りが分からず堂々巡りだった。

営業素材がTL漫画しかないのでいくら「実はホラーが好きなんです」と言っても、編集さん達からしたら「ふーん、へぇ〜」で終わりだろう。
それならホラー漫画を作ってこればいいのに何かそれが出来なかった。

状況を変えられないのはもう仕方ないと思ってた。
能力の低い自分が好きなジャンルの漫画を作るなんておこがましいと思ってたから。
自己評価がかなり低いので、勝手に可能性を否定して色々諦めてた。

数年が経って、編集さんが異動になってそのタイミングでTL漫画雑誌とも関係がほぼ切れてしまった。
そのタイミングで別の事情もあって、ペンネームを「兎屋まめ」に変えた時に、自分について見つめ直してみる事にした。

ジャンル云々の前に、自分はどんなものが好きなのか。どんなものが作りたいのか。
そこで浮かんだのが
「綺麗なもの」「可愛らしいもの」「不思議なもの」「不気味なもの」「怖いもの」「切なかったりするエモいもの」

それらを考慮して作ったのが「異界日和」という此処でない何処か、「異界」をテーマに描くシリーズだった。
そして数年ぶりにお仕事以外で漫画を仕上げたのが↓「ヒト屋」という2ページショート。


TL漫画の要素は微塵もないホラーなのか何なのか良くわからない漫画(苦笑)

でも何だか気持ちよかった。達成感があった。

そして放置していたツイッター垢を引っ張り出して「兎屋まめ」として運用も始めた。
好きなものを明確にして幾つかホラーもどきのような漫画や制作ツイートをしていった(今と同じスタイル)

ツイッターの効果は凄かったと思う。

自分の漫画を喜んでくれる人たちと繋がれるようになったし、何より沢山の編集部から声をかけて頂けるようになった。

今自分はTL漫画を作っていた数年前から次のステップに進んでいると思う。

自分が好きなもの、ジャンルを踏まえた上で商業としてどんな漫画を作るのか。

心の内から勝手に湧き出てきて是が非でもこれが表現したいんだ!!という熱い衝動のようなものは正直元々無いので、迷った時はあの時自分を見つめ直して言語化した「綺麗なもの」「可愛らしいもの」「不思議なもの」「不気味なもの」「怖いもの」「切なかったりするエモいもの」を心に留めて「兎屋まめ」を見失わないようにしている。

ふらふらと何処かに迷い込んだり遠回りしてきたけど、ここ1年程でようやく漫画家としての道を歩き始めたと思ってる。

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