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対岸の火事とはいえない情報と世界観の関係の話

ある国が別の国の侵攻開始したとの一報をきいたときに一番初めに思ったことは、「なんて時代錯誤なんだろう」と思った。実際にインターネットを全くしない大統領とテレビをみているだけの支持層、時代錯誤な人々がはじめたことだという。

一方侵攻される側の大統領は44歳の元コメディアンで日本の政治家のイメージからするとだいぶ若く、各国の首脳と話してはその内容を公文書だけではなく、即英語とロシア語(ウクライナ語?)でTwitterで流しYoutubeで世界中に発信している。

これは、完全に時代にマッチしているし、当初ヘルメット5000個のみの支援としていたドイツからの武器提供まで引き出している。

一方ロシアでは、2017年に国内のファイヤーウォールを回避するためのVPNが禁止をされ、twitterやFacebookなどがロシア国内からアクセスできなくなった。

そんな中で親子ですら世界に対する世界観の食い違いがでていることすらあるんだそうで。

ミシャ・カツリンさん:お父さんは、私たちのウクライナ政権がナチス化して、ロシア語を話す人を迫害しているってことを本当に信じているの?
ミシャ・カツリンさんの父:ウクライナには多くのロシア人がいて迫害を受けている。
ミシャ・カツリンさん:自分もロシア語を話すけど、ウクライナに33年住んでいて一度も迫害を受けたことはない。
ウクライナ侵攻は「戦争ではなく人道支援」と信じ込むロシア在住の父。それに対し、ウクライナに住む息子が「これは戦争」だと説得する音声です。
「情報の入手先」に世代間ギャップも
ロシア政治が専門の筑波大学・中村教授によると、実はこうした情報の入手先の違いによる意見の食い違いが、ロシア国内でも起きているといいます
筑波大学 中村逸郎教授:
同じ世帯に住んでいても、インターネットとかも利用しない高齢者もいるんですね。そういう人たちはやっぱり国営放送だけを見てる。そして、若い世代にはインターネットとか外国の情報も入ってきている。そうするとウクライナ侵攻について親とかおじいちゃんおばあちゃんの世代と若い20代では全然意見が食い違うと。それで親子喧嘩が実際に起こっているという話を聞いてます。

どうも、多くのロシア人はウクライナでは在ウクライナのロシア人は迫害を受けていると信じているらしい。これはその人たちを助けるためにいっているのだと。

そして、派兵されたロシア兵も演習だと言われて連れてこられている可能性もあるんだそうで。


別の話:ベナン共和国の場合

20年ほど前になってしまうけれども「ここがヘンだよ日本人」という番組に出演し、母国へ小学校と日本語学校を建てるために本を出版し、日本との正式な国交樹立に寄与したゾマホン・ルフィンさんという人をご存知だろうか?

テレビに出演していた時はただの留学生でにすぎなかったのだけれども、ビートたけしさんの付き人をしながら、草の根支援を続けベナン大使も務めた名実ともに現代を生きる偉人だと思う。

この本とかタレント本かと思っていたのだけれども、今更すぎるくらいに2年ほど前に手にとって思ったのは、電子書籍版を出してみんなに読んでもらった方がいいよねと思った。

そんな彼が、2019年ベナン共和国での選挙で出馬をしようとしたところ、多額な供託金を要求されてなんとか出馬するも自宅を襲撃されたりして結局日本へ逃げてきてしまっている。

「野党を選挙から締め出す4月以前から、政権側は信じられないような立候補の条件を課していました。選挙に出馬するための供託金として、立候補者それぞれに2億4900万CFAフラン(日本円で4980万円)を払うよう求めたのです。こんな大金、ベナンで用意できる人は誰もいません(編注:ベナンの国民1人あたりの年間所得は約9万円)。それでも私は何とかそのお金をかき集めて立候補しました。

この件自体、日本語ではゴシップ誌の週間ポストセブンしか報じていないので、いくつかのフランス語・英語のニュース記事とWikipediaを見たところゾマホンさんが立候補したというニュースは見つからなかった。独裁政権にすべく法改正や出馬のための法外な供託金の要求はあったことは確かで、供託金を用意した立候補者ですら出馬が握りつぶされたそうだ。

ちなみに、供託金の出所はおそらくビートたけしさんなのだけれども、こう語っている。

大竹 「そんなに稼いで(笑)。寄付といえば、ベナンのゾマホンにはどのくらい...? 」
たけし 「あいつには1億円ぐらいあげてるんじゃないかな? ベナンはひどい国だよ、国家予算3億円いかないのに国会議員に立候補するのに3千万いるから誰も国会議員になれない。大統領があげてるんだって。独裁政権みたいなもんだよ。自分の息がかかった奴しか立候補してないんだから。ゾマホンだけが一生懸命日本でお金集めて立候補してるわけ。ゾマホンが一番人気で、立候補してもあいつ暗殺されんじゃないかな」

この背景には、旧宗主国であるフランスの過去から現代にも続く思惑と既得権益がある。そしてゾマホンさんの理想はまずは教育をすることで国を豊かにしていくということなのだけれどもトータルでみればその方がお得だけれどもそこに行くには捨てなければいけない権益のある人たちがいるというあたりだと思う。
教育については、以前日本語の読み書きもある程度できるフランス人の友達と識字率の話をしていて、
「日本語ってひらがなだけでも50個あってさらに漢字も含めたらたくさんあるけど、ヨーロッパ言語の文字それぞれの国でせいぜい30個くらいしかないのになんでヨーロッパの方が識字率低いの?」
と投げかけたときに
「文字読めること自体が特権だからでしょー」
と間髪入れずに返された。いちフランス人の意見だからそれが総意ではないだろうけれども、おそらくそういう思想があったのだろうと思っている。

現代のヨーロッパは大学の学費がほぼ無料なはずで、教育の民主化なんてとっくに行われているけれども、宗主国の古いヴァージョンの思想のままアップデートされてないなんてこともあるのかもしれないとちょっと思った。そこをどうにか動かしたいと思っているのがゾマホンさんなのだろうけれども。

対岸の火事とは言い切れない

子供の頃「先生にしろテレビにしろ大人の言うことが絶対に間違ってないなんてことはない」と母にいわれつづけてきた。(そんな母ですら「世界で一番美人なのは誰?」という問いには「ママ」と答えないと激おこだったのは今回は置いておく。)

今ならわかるのは、真実と事実の違いというのもあって、今の時代ならば編集なしの動画の長回しならば事実は事実になることが多いにしても、それですら解釈をはさむ真実はまた別ということがある。
それをコミカルに描いているのが黒澤明監督の「羅生門」(原作は芥川龍之介の「藪の中」)なのだけれども。(白黒だけどおもしろいのでおすすめ)

1世代2世代程度の年齢差であっても常識が違う中、別の国で同じ世代でも違うこともあるし、それが世論のような民衆発ではなく、上からのプロパガンダによって作られることもある。

そして、

私が「今」「常識的」で、「正義」だと思っていること

それも、「2020年代」の「日本」と「割と西側に操作された可能性がある民主主義的な思想」と「インターネット黎明期から続くP2P的平等思想」との中で培われてきたという意識は心の片隅でもっておくべきだと思っていて。

前述のフランス人の友達には、インターネットの情報ですら一般人を装った諜報的な内容を含んでいる可能性があるから気をつけてねって言われていたけれども。

そして「時代がちょっと変われば」、「場所が変われば」「なんなら場所が変わらなくてもサブカルチャーの文化圏が変われば」吹き飛ぶくらいの常識だということも肝に命じておきたい。

それでも、できる限り正しい判断をするには、できるだけ多くの情報を集めることとそれに偏りがないことが重要だと思っている。できうるならば、日本のことを知るには英語圏フランス語圏など複数の国の海外のメディアがどう報じているのかというのも見た方がいい。自力で外国語を読めなくても、Google翻訳にでもつっこめばそれなりに読める文章になると思うので、必要に応じてそうするべきだと思っている。

ときに黎明期の2ch(現在は5ch)が高学歴の文化だと言われることがあったのだけれど、そのころは全く思い当たらなかった。当時は「ソース(証拠となる記事)をだせ」言われるし「ソースの無いものは安易に信用してはいけない」という暗黙の了解があった。時代がくだりインターネットを使う母数が増え今の「言ったもの勝ち」の文化がインターネットの常識となるとともに無法地帯といわれがちだった2chがよりも今の方がはるかに無法地帯であるし、当時の2chの方が確かに高学歴の文化だったのかもしれないと思う。
それ自体が当時と今とで変わった常識であるとともに、そしてよりソースって大事だよね。

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若かりしころの西村博之氏の「うそをうそであると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい」この名言はインターネット全般にいえるわけで。

いつだって「共感させたら正義」だ。(「恐怖させたら勝ち」の歴史もあるかもしれないが)個人が気軽に発信するの時代になって、確かな情報を得ることとともに、情報の真偽を見抜き精査する必要があるわけだけれども、情報過多すぎて見る側が発信者にソースを求めることすらなくなっている昨今、以前よりもより難しい部分もあるよね。

アノニマスが正義なのか悪なのか?みたいな話とかもあるけれども実態があるようで無い集団にその問い自体的外れに感じる部分もあるけれども、インターネット上での祭りみたいなもんでしょ?って思うと「共感されたら正義」なものの例そのものなんだけれども。

だからこそ、その正義は本当に正義なのか。

きっちりと自分で精査するべきなのだと思う。

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