エネルギー政策論議に中国の影???――原発推進、再エネ叩きの罠(6月4日追記=内閣府調査報告)
これね、資料のチェックということ。余計な誤解を招かないために、もっと言えばバカが騒がないためにということ。こんなことのために意味ある資料が取り下げになったり、委員の信用性が不当に貶められることになったりすることこそ損失。
叩いてる方はだーれも資料の中身の話をしてなくて、せいぜい再エネ推進が気に食わんというレベルのことしか言ってなくて、中国企業との接点がどうだとか、誰とつながっているかとか、毎度のレッテル貼って信用を貶めてだし、原発の邪魔になる再エネを叩いて抑えたいというだけ。10年以上ずーっとこれ。
ほんと、大林さんのことで騒いでる保守派、ネトウヨも、それに飛びつく暇空もナショナリズムと反中と原発への執着だけでほんとアホだよなと思うわ。まあ、3.11以降ずっとこうなんだがね。
3.11から議員秘書としてエネルギー・原発問題に関わっていたし、原発ゼロの会の事務局もやっていたから、暇空らの無知っぷりにはただただ呆れる。何が「発見」だ、「つながった」だよ。
「アジアスーパーグリッド」批判なんかもほんと逆立ちなんだよね。確かに今は状況が悪いが、エネルギーにおける協力がアジアにおける平和と安定に資するという方向から議論する話だし、そもそもエネルギー政策における合理性の観点から導き出された構想だからね。
結局、原発推進の話になると、いやいや経済合理性だけではダメだと言い出して安保とかあれこれ理屈をつける同じ口が再エネ賦課金がと騒ぐ訳だし、その時やっぱり原発のコストは無視か都合のいい前提での過小評価を持ち出す。
太陽光叩きで中国が持ち出されるのも、じゃあ日本企業が競争力を持てず撤退したのはなぜか、政策的にどうだったのかって話は無視か、中国企業のダンピングのせいということにされる。それもずーっと同じ。
そうそう、アジアスーパーグリッド叩きでは、欧州石炭鉄鋼共同体の歴史なんて顧みられないし、ヨーロッパのグリッドは「ドイツはフランスの原発の電気を輸入してる」という話ぐらいでしか言及されないし、ほんと恣意的なんだよね。
とにかく今騒いで妄想を振り撒いている連中は、原発推進に邪魔な再エネを潰したいのだし、中国を絡められるからなお好都合ってことなんだよね。そして、彼らの原発推進の動機には、顕在的にであれ潜在的にであれ、核兵器を持ちたいという願望がある(以下の「原発ゼロ原論」の中でも書いた)。
3.11以降の脱原発・再エネ推進へのバッシングは、菅直人総理・民主党政権・リベラル叩き(一緒くたなのが連中の恣意性)と軌を一にしていたし、陰謀論が飛び交ってきた。太陽光パネルなどから日本企業が相次いで撤退し再エネ部材で中国企業の存在感が高まると反中言説が大いに混じるようになった。
今回は、脱原発・再エネ推進かつ「河野談話」とのこじつけで標的になってきた河野太郎さんが絡んでいるのも連中には好都合だよね。もうね、見ていると大林さん、孫さんのことしかり、河野さんのことしかり、話がどんどん飛躍しているからね。
これは騒ぎとは関係ない話ですよ。中国企業のロゴが入ってたとかシンポの資料だったというだけで飛躍し、アジアスーパーグリッドのことまで顛倒して持ち出され、「中国の手先」「外患誘致」みたいな話になる異様さ。なお、市民団体にとって、中国と断絶せず、でもどう付き合うかは物凄く気を配る点。
中国は原発大国であり、もちろんCO2の大排出国でもあり、日本の環境団体、研究者等にとっても到底無視してはならない国。中国側とどのように議論・対話ができるか、問題改善・解決につながる協力をどう進められるかは大きな課題。それが、中国企業との接点ということだけで問題化される。
日中友好団体の代表すら拘束されるようなことが起きていてセンシティブさが求められる中で、環境団体などは何ができるかと真摯に模索している。その取り組みを反中や原発推進の意図でぶち壊そうとする、その荒さ/粗さ。こう書くと、「真摯に」じゃなくて「中国のため」という論点先取、顛倒で来るし。
3月28日追記
大林ミカさんが再エネタスクフォース委員辞任になってしまったか。とても知見が豊富な人であり損失なんだよね。ツッコミどころを作ってしまったという意味で大林さん、内閣府に甘さはあったけど、そこまで注意しなければならない現状の異様さ。
3月29日追記
杉田水脈がアイヌ団体に対して使ったように、「公金チューチュー」「ナニカグループ」は便利なものとして流通しているし、「〇〇ビジネス」「〇〇利権」もますます乱発されている。私の元ポストが「左翼がやってきたこと」みたいにひっくり返されるように「エコチェン」等も都合よく使われている。
直近で言えば、再エネタスクフォースに関する大林ミカさん、河野太郎さん叩きもネトウヨの常套手段だけど暇空らのやり口と同型で、そういうことが相乗効果でどんどん効果を発揮しやすくなっている。大林さんのことで言えば、玉木雄一郎、音喜多駿はじめ国会議員や産経等のメディアが増幅。
4月7日追記
暇空が雨宮処凛さんのことを何か言ってるけど、暇空、なるも「調査員」らもほんと人物、団体のこと知らないよね。それでちょろっと調べて「つながった」だ何だ一々大発見のように騒いでてほんとバカ。保守派・ネトウヨが今さら大林ミカさんのことを知って騒いでるのも同じ。救いようがない。
4月13日追記
執拗に塩村さんを叩くあの界隈も叩くことありきで、やはり病的なものを強く感じる。ネトウヨ言論人(「言論人」の名に値しないが)の再エネタスクフォース関連の執着と妄想も病的だよ。ウォッチ用アカの狂気と醜悪さが溢れるTLがほんとパラレルワールド。
4月14日追記
暇アノンが今さら「小島敏郎さんって再エネ関係者じゃん」てなってて、そういうところだぞって何百回目かわからんけど思った。再エネタスクフォース資料問題で大林ミカさんを知った保守派言論人、ネトウヨがネットで調べて大発見のように騒いでいるのと同じ。
4月18日追記
反中+原発推進の再エネ叩きに巻き込まれた大林ミカさんの記事が復活してた。叩いた者勝ちの空気は危険。やはり政治・行政・メディアは毅然と対応して欲しい。
最近は、リベラル派、脱原発・再エネ推進派などでも中国(や韓国、北朝鮮、あるいはハマス)が絡められた話題では途端にバグる人がいる。事実関係や文脈が吹っ飛んでネトウヨ的な話に乗ってしまったり、判断留保してみせて事実上是認してしまったり。こういうのも危ういなあと感じている。
女性支援団体叩き、ジェンダー・イシューとも共通するけど、中国などが関わる話題や在日外国人の話題で発言すると矛先が向いて大変なことになるからと敢えて触れない人も多いよね。ちょっと発信しただけで酷い目に遭う例があるから、慎重になるのは責められないが、その空気、環境は危うい。
4月21日追記
問題を丁寧に検証した「こちら特報部」の良記事。全文公開はデマ、ヘイトが蔓延することへの危機感の現れだろう。
自然エネルギー財団のリリースと併せて。
4月29日追記
相変わらずの産経+石井孝明。中国をひっかけての再エネつぶし、原発推進でしかない。そもそも「透かし」って実質的にデマ。しかも、そうやって騒いで大林さんが発言しづらい、大林さんを取り上げにくい暴力的な空気を作っておいて、記事が出ないとあげつらうのは卑劣。
こういうことに積極的に乗っているのが国民民主の玉木らで、その背後には例によって電力関係の影がちらつくんだよね。一昨年の参院選前から、電気代高騰に乗じて再エネ賦課金を槍玉にあげだしたのもそう。そこに元々太陽光パネル等で絡んでいた中国という要素を使えるネタが出てきて飛びついた。
直近ではこんな動きもあったね。これは明らかに電力の仕掛け。
6月4日追記(内閣府調査報告)
「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」 に関する調査結果(報告)
https://cao.go.jp/chousa/pdf/houkokusho.pdf
大林ミカさんの資料に単純ミスで内容とは無関係に中国企業のロゴが混入していた問題の調査報告。原発推進・再エネ叩きと反中の思惑で大騒ぎされた結果が調査への無駄な労力の投入。
内閣府の調査報告を受けた自然エネルギー財団のコメント。大林さんも財団も孫さんはじめ関係者もデマ、誹謗中傷に晒され、玉木国民民主党代表はじめ国会議員らも乗っかって増幅した。そして、大林さんらの専門的知見が生かされる機会がこの間失われた。余波はまだ続くだろう。
元々ソーラーパネルなど中国とリンクさせた再エネ叩きの流れがあったところに、原発推進派には格好の攻撃材料が「発掘」されたというのが今回の騒動。そして、エネルギー政策に関する立場に関わらず「中国」に反応しやすい層まで刺激され誤誘導されてしまった。
ロゴ混入の単純ミス、しかも本人も内閣府担当者も全く気付かなかった。資料内容とは無関係だったし、もちろん「サブリミナル」でも何でもない。しかし、それをきっかけに大林さんや財団と中国との「関わり」が漁られ、勝手に意味づけされ、デマが流布された。暇空問題含め昨今目立つパターンでもある。
今回の騒動では「政策が歪められた」と根拠なく叫ばれたが、実際起こったことはこうやって騒ぎにすることで政策形成過程を歪め、政策そのものを歪めようとする圧力の発動だった。そして、この調査報告に関わらず印象操作を続ける勢力はいるだろう。こんな事実そっちのけのパターンも昨今繰り返される。
今回改めて明らかになったのは、原発推進派が保守派、ネトウヨを刺激し動員する構図と、国民民主、ことに玉木代表が原発推進・再エネ叩きとネトウヨの両方にますます深入りする様。他の動き含め電力総連と電事連が同党をすっかり押さえたのだろうなとも思う。岸田政権の原発回帰とも連動している。
エネルギーシステムをどう設計するか、どう展望してどの方向に向かうのかは経済・社会のあり様に大きく影響する。小規模分散型・地域循環型に向かう流れへの抵抗が一層強まっていると感じる。今何に投資するか、何に優先順位を置くかは数十年先まで影響を及ぼす。
ちょうど議論が始まったエネルギー基本計画の改定でも、原発再稼働の促進はもちろん、新増設や技術開発による原子力延命策が大きな焦点となる。エネ基に書き込んだところで原発推進は画餅に堕す可能性は高いが、再エネ抑制・抑圧の効果は生じ経路依存性をもたらし得る。そこは注視しないとまずい。
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