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皇帝

ベートーヴェン ピアノ協奏曲 第5番 
『皇帝』変ホ長調 Op.73 

この曲が『皇帝』だと
初めて認識するようになったのは中1の頃。
友人宅でクラシック大全集のレコードから
好きな曲を全部、
カセットテープにダビングさせて貰って
擦り切れるほど聴いた。
この曲もその頃から
好きな曲の一つではあったけど、
オーケストラ曲として好きという感じで
あまりピアノ曲として聴いたことはなかった。

大人になってから
辻井伸行さんが演奏する『皇帝』を聴いて、
初めてピアノパートの美しさや
カッコ良さに感動した。
辻井さんのピアノの音色は、
他の誰よりも透明感があり優しい。
どんなに強く激しく弾いても
決して雑には響かないし、
どんなに弱く弾いても
音はしっかり聴衆の耳に届く。
鍵盤の位置を確認するためか、
指の腹を鍵盤の上に寝かせ気味で、
鍵盤を至近距離から抑えているのに、
なぜか鍵盤を上から叩くよりも
遥かに弦を弾いている音がする。
そしてこの曲の美しい旋律が
辻井さんの演奏でより一層煌びやかに華やぐ。

あまりに気に入りすぎて毎日聴いているうちに
自分でも弾いてみたくなってしまい、
思わず楽譜を買ってしまった(笑)
協奏曲の楽譜ってこれまで見た事が無くて、
オーケストラと毎日練習出来る訳でも
なさそうなのにピアノはどうやって
合わせる練習をしているのだろう
と思っていたら、オーケストラパートを
ピアノ版に編曲した第2ピアノの譜面が
一緒にちゃんと載っていた。
オーケストラがいなくても、
2台ピアノでの演奏も可能という訳だ。
辻井さんの様な演奏は無理だとしても、
下手でもいいからこの華やかで美しい旋律を
自分で弾けるようになれたら、
さぞかし気持ち良いだろうなぁ。

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