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UNISON SQUARE GARDEN 考察:今更シュガソン~Dr.Izzyのムーヴを振り返る ①

UNISON SQUARE GARDENについての記事。
以前のエントリで、彼らは「売れすぎない」ための戦略を描いた、との考察を入れた。
それが、言わずと知れた代表曲「シュガーソングとビターステップ」がヒットした2015年から、
同曲が収録されたアルバム「Dr.Izzy」が発売された2016年、
この1年弱のユニゾンの動きこそが、今現在のユニゾンの立ち位置
を作り上げているといっても過言じゃないように感じる。

おそらく、このバンドのフリークなら今更そんなの分かっとるよ、と言うこと含め、自分の妄想交えた想像にて下記に言語化していきたいと思う。

・シュガーソングとビターステップの大ヒット

2015年に同曲がアニメタイアップの曲で発売され、楽曲のキャッチーさ、
アニメのED映像とのマッチングもあり、初動売り上げは過去最高、その後も徐々にユニゾンやアニメファン以外の一般層にも届き、
累積CD売り上げは約10万枚、具体的なデータは知らないが、配信やカラオケ等でもヒットし未だにランキングに顔を出している。
またこの曲は様々なアーティストにカバーされており、その人気は窺い知れるところだろう。

あと地味にユニゾン至上CDジャケットが可愛い。
もし自分が気になる女子にCDジャケットだけでユニゾンを勧めるとしたらこのシュガーソングか、もしくは4thアルバムをチョイスする。間違っても桜のあとは選ばない。気になる人はググって。

同じく彼らの代表曲「オリオンをなぞる」という曲があるが、
どちらかというとこの曲はあくまでアニメ界隈でバズった、という印象で本人達も認める通り、バンドの歴史の転換点になった曲ではある。

得てして世のヒットソングというのはそんなものかも知れないが、
シュガーソングについては本人達もここまでのブームになるとは思っていなかったみたいだ。

当時かくいう自分も、今までシングルで出していないパターンの曲であったが、あくまで既存曲、ユニゾンの手札の一つをアップデートしたもので、まさかここまで売れるとは思いもしなかった。

いくら曲調がポップとは言え、だいたい「平等性原理主義」「蓋然性合理主義」とかいう歌詞がメロに乗ってる曲が10万枚売れるとは、
5年経った今でも正直意味が分からない。

色々書いてはいるけど、この曲が自分は大好きだ。
2016~2017年辺りは通勤経路でこの曲と桜のあとを聴くのがルーチンになっていた。

そしてパッと見、このシュガーソングは歌詞もサビ始めキャッチーなワードが散りばめられているが、

(特に4thアルバム辺りから現在にかけその風潮が強くなった気もするが)
テーマとして「ユニゾンというバンドのシーンにおいてのスタンス」、「音楽・ライブに身を投じる客への問いかけ」があると感じる。
というかユニゾンの曲の歌詞の半分位がそうじゃないかと思う。
良くも悪くもしつこいくらいに歌詞は同じことばっかり言っているのだ(誉め言葉)。
この意味についてはまた後述するが、自己主張が強いこの歌詞を持つ曲がこんな売れるとは世界は良く分からない。

しかし、だからこそ
一貫して以降もそのスタンスを貫き通したからこそ
ユニゾンは世間に「見つかりすぎなかった」のかも知れない。
世間に「見つかった」のはユニゾンというより、
「シュガーソングとビターステップ」という曲なのだと思う。

・シュガーソング以前について

シュガーソングは正直本人達も意図しないところでバブルが弾けたような現象だった思うが、
そんなユニゾンも一時期売れようとした時期、というより「売れてもいい」と思ってた節があるのではないか、と感じる時期がある。

時代は遡り、メジャーデビューから2年後の2010年、2ndアルバム辺り。
この時期はレーベル契約を切られないよう「売らなければいけない」時期だったと思う。これに彼らは「オリオンをなぞる」で応えた。

そして彼らの曲はポップネス要素が強くなっていく。
時期で言うと2011年の3rdアルバム~2014年のシングル「harmonized finale」辺りか。

とにかくこの時期のユニゾンの曲は間違いなくポップだった。
自分がユニゾン沼にハマったきっかけの4thアルバム「CIDER ROAD」なんてポップソングまみれ、初心者ホイホイもいいとこで、
何かしら歯車がかみ合っていたらこの時期に髭男、King Gnu級の人気を獲得していたのではないか、とも本気で思う。

当時はアイドル戦国時代とか言われていたり、
チャートが単純な音楽での評価と完全にかけ離れてしまい(これは今もなおだが)、
客側が何を聴くか、という点において多様性の時代が台頭し、
その中でバンドというものがあまり突き抜けていなかった背景があるかも知れない。
(当時、バンドマン以外の知人にバンドの音楽何聴くの?と尋ねるとサカナクション、アレクサンドロス、ONE OK ROCK辺りが多かった気がする。)

4thアルバムを出した当時、ユニゾンのメンバーは
「このやり方でならスーパースターになってもいいです」とインタビューで発言していた気がする。
この時期は当時のユニゾンにおいてポップネスの最高峰を作り上げており、彼らもそれに自身を持っていたのだろう。

しかし、世間は彼らをスターにはしなかった。
曲がどうこうというより、当時のシーンの背景であったり、
メインのタイアップが一般層に訴求するものではなかったり、
様々な要因が絡み合ったのだとは思うが。

このアルバムの売上は確か2万枚程度で、オリオンで掴んだファンを手放さず若干ファンを増やした、という感じである。
かといって売上的には当時のバンドシーンでもある程度上位であり、
右肩上がりに売れてはいたのだが。

以降のシングル、「桜のあと」「harmonized finale」も一般受けしてもおかしくない程のポップソングで、次は一体どんなもんが待ち受けてるんだと思っていたその先、
5thアルバム「Catcher In The Spy」でユニゾンは揺り戻しをかけロックモードに舵をきった。
個人的にこのアルバムもユニゾンの歴史ではロック寄りというだけで、
十分すぎる程ポップアルバムだと思うのだが。
構成としてはメジャー1stアルバムのロジックに回帰したイメージを持った。

あくまで自分の予想であるが、
世間に「見つかってもいい」と思っていた「CIDER ROAD」がそこまでの評価を得なかった結果を受け、
「じゃあ見つからなくてもいいです」「自分達の音楽を大切にしてくれるファンを裏切らない方向に舵を取ります」という現在まで続くスタンスを取ることを本人達が決断したのだと思う。

→②へ続く


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